総合社会学部 村松ゼミが、市内で「大阪城が見える場所」をMAP化 天守を見通せる、景観を意識した町づくりを示す歴史的価値も
近畿大学総合社会学部(大阪府東大阪市)総合社会学科 社会・マスメディア系専攻 教授 村松秀ゼミは、大阪城天守閣(大阪市中央区、館長 宮本裕次)の協力のもと、大阪城を大阪人にとって真の心の拠りどころにしていく「大阪城・超ランドマーク化計画」を進めています。最初のアプローチとして、市内を丹念に歩き回り、多くのビルに囲まれて見づらくなっている大阪城が実際に見える場所82カ所の位置情報を写真とともに記録し、Googleマップ上にまとめたものを、令和6年(2024年)10月30日(水)から公開します。
【本件のポイント】
●大阪城を大阪人の真の心の拠りどころにすることを目的としたプロジェクトが始動
●多くのビルに囲まれて見づらくなっている大阪城が目視できる場所をまとめたマップを制作
●豊臣時代や徳川時代の大坂城天守方面を見通せる景観「ヴィスタ」を意識した町づくりと、それが今に残ることを示す、歴史的にも価値のあるマップ
【本件の内容】
近畿大学総合社会学部の村松秀ゼミは、"人々の心を動かし豊かにしていく「コトづくり」プロデュース"を研究テーマとして掲げています。その一環として、400年以上にわたり大阪のランドマークとして存在感を示してきた「大阪城」に注目しました。かつての石山本願寺、豊臣秀吉が築城した大坂城、その後徳川幕府が築いた徳川大坂城、さらに昭和6年(1931年)に築かれた現在の天守閣と、常に大阪の中心として視認されてきた大阪城ですが、今では周囲を高いビル群が囲み、その姿をはっきりと捉えにくい状況が生じています。この大阪城を、もう一度大阪の人々の心の拠りどころにできないかと考え、「大阪城・超ランドマーク化計画」というプロジェクトを立ち上げました。
まず、大阪市内をくまなく歩き、実際に大阪城が少しでも見える場所を見出し、位置情報と写真を紐づけてGoogleマップ上にまとめ、「大阪城・見える化MAP」を制作しました。その結果、当初は高層ビルなどであまり見えないと思われた大阪城が視認できる場所を、現時点で82カ所確認しています。
豊臣秀吉によって築かれた当時の大坂城は、天守を存在感があるように見通せる景観「ヴィスタ」を意識し、城下町と一体のものとして作られていたことが知られています。大阪城天守閣館長の宮本裕次氏によると、今回制作したマップ上では大阪城の西側に走る高麗橋通に天守閣が見える場所が多く並んでおり、現在の位置は当時と比べてややずれてはいるものの、大坂城のヴィスタのラインが現代においても効果を保っていることを裏付ける資料として学問的に高い価値があるとのことです。
さらにゼミでは、ビルに隠れて見えないようでいて、隙間などからひょっこりとその姿を見せている大阪城を見つけたときのワクワク感に注目。「見えないようで実は見える」大阪城を発見する喜びを価値化するため、「ほんまは見えるねん!大阪城」というInstagramアカウントを企画制作しました。ごくわずかながら見える大阪城をフィーチャーし、写真を見た人たちにも実際に大阪城を探してもらうことで、大阪城が心の拠りどころになることを再認識できるよう、今年度中に数十カ所の写真を順次投稿する予定です。
これらの活動を通じ、かつて大阪の人々にとって大切な心の拠りどころだった大阪城に改めて着目するきっかけを創出し、大阪城の新たな価値化、そして大阪の街の活性化につなげていくことを目指しています。
【実施概要】
■「大阪城・超ランドマーク化計画」プロジェクトWEBサイト、「大阪城・見える化MAP」
URL:https://osaka-superlandmark.studio.site
■「ほんまは見えるねん!大阪城」Instagramアカウント
ユーザーネーム:osaka_superlandmark(超ランドマーク大阪城@村松ゼミ)
URL:https://www.instagram.com/osaka_superlandmark/
開設日時:令和6年(2024年)10月30日(水)
企画制作:近畿大学総合社会学部教授 村松秀、ゼミ生4名
協力 :大阪城天守閣
【大阪城天守閣・宮本裕次館長のコメント】
「大阪城を見つめる」いとなみには長い歴史があり、その姿は豊臣時代や徳川時代、そして現代に至るまで、たくさんの絵が描かれ写真が撮られてきました。高石垣やその上に建つ櫓(やぐら)などを遠望した構図も多くありますが、昭和6年(1931年)にいまの大阪城天守閣(登録有形文化財、大阪市景観重要建造物)が復興されてからは、とりわけ天守閣が大阪城のランドマークとして注目され、強い存在感を示しています。街を歩いていたら建物の間から予期せず大阪城(大阪城天守閣)が目に入り、何かしらワクワクする、といった感覚は現代ならではのものなのでしょうか? それとも昔の人々も似たような体験をし、今の私たちと共通するような感覚を抱いたのでしょうか? 今回のプロジェクトを通じ、こうした過去との対話を、大阪城の忘れられかけていた潜在能力を引き出し、未来へつなぐ糸口にしていただければと期待します。
【参加学生のコメント】
総合社会学部総合社会学科 社会・マスメディア系専攻4年 村松ゼミ生 吉田莉奈さん
高いビルに囲まれて見えなくなっている大阪城が意外と見えることを知ってもらい、大阪城が身近な存在だったと再確認していただくことを目標に、大阪城が「見える・見えない」場所を明確にした「大阪城・見える化MAP」を作成しました。Instagramでは、大阪城が「見える・見えない」ことをどう楽しんでいただけるか、見つけたときの楽しさをどう伝えるかを考え、半分だけ見える大阪城や、少し移動するだけで見えるようになる大阪城などを発信していきます。
私たちが何度も大阪城周辺に足を運んで作成した「大阪城・見える化MAP」と、大阪城天守閣の宮本館長からレクチャーしていただいた「ヴィスタ」が一致することが分かったときは、私たちにとって新しい発見となりました。
ぜひみなさまにも、この「大阪城・見える化MAP」とInstagramを通して、意外と見える大阪城を発見していただき、大阪城って本当は親しみの湧く大切な存在だと、改めて感じていただければ幸いです。
【関連リンク】
総合社会学部 総合社会学科 社会・マスメディア系専攻 教授 村松秀(ムラマツシュウ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/2784-muramatsu-shu.html