【調査レポート】保育士の配置基準問題 80%が「配置基準の改善は不適切保育の減少に寄与」と回答
株式会社コドモンは、保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」をご利用の全国の保育施設を対象に、保育士の配置基準に関するアンケートを実施いたしましたので結果をお知らせいたします。
【アンケート概要】
・調査対象:コドモンを利用する全国の保育施設
・調査方法:メール案内、WEB回答方式
・調査期間 : 2023年2月8日 - 2023年2月24日
・回答数: 488件 (回答内訳 私立:83.8% 公設民営:10.9% 公設公営:5.3%)
・調査会社:株式会社コドモン
本プレスリリースはダイジェスト版になります。詳しいグラフや全項目を掲載した完全版をご用意しておりますのでご希望のメディアはご連絡ください。
お申し込みはこちら https://forms.gle/UVNb76qVhjkgmWyWA
【アンケート結果サマリー】
*国の基準よりも管轄の自治体が独自に手厚い配置基準を定めているとの回答が50%
*施設独自に国や自治体よりも手厚い配置基準を定めているとの回答が32.6%
*「子どもの命と安全を守れないと思う場面」として「災害時」の回答が83%。さらに日常的に行われている「お散歩など園外活動」が74%という結果に
*80%の施設が「配置基準の改善は不適切保育の減少に寄与する」と回答
*配置基準の改善には、待遇を改善し保育士の不足を解消する必要があるとの声も
【アンケート結果】
Q1 貴施設の【管轄自治体】の配置基準は国の配置基準より、独自に手厚い配置基準になっていますか?
現在の国の配置基準
【0歳児】保育士1人:子ども3人
【1歳児】保育士1人:子ども6人
【2歳児】保育士1人:子ども6人
【3歳児】保育士1人:子ども20人
【4歳児】保育士1人:子ども30人
【5歳児】保育士1人:子ども30人
50%が「管轄自治体の配置基準は国の基準より手厚い」と回答しました。各自治体が国の基準と比べて独自の手厚い配置基準を設けていることがわかりました。
手厚い基準を設けている自治体において、保育士1人あたりの子どもの人数は最も多い回答でそれぞれ下記の結果となりました。
0歳児:2人/1歳児:4人/2歳児:4人/3歳児:15人/4歳児:20人/5歳児:24人
Q2 貴施設は独自に国や自治体基準以上に保育士を多く配置する基準を設けていますか?
約3施設に1施設は独自の配置基準を設けていることがわかりました。60.9%の施設は国または自治体の配置基準と変わらないと回答しています。
独自に手厚い基準を設けている施設において、保育士1人あたりの子どもの人数は最も多い回答でそれぞれ下記の結果となりました。
0歳児:2人/1歳児:4人/2歳児:5人/3歳児:15人/4歳児:24人/5歳児:24人
Q3 保育士1人が受け持つ子どもの人数について、年齢別に最適だと思う人数を教えて下さい
Q4 配置基準を手厚くしてよかったことはなんですか。
「保育の質向上になった」「子ども一人ひとり丁寧に接することができる」「保育士に余裕ができた」「残業の減少、離職率の低下といった働き方の改善につながった」といった回答が多い結果となりました。
・保育士1人での保育は不可能、ゆとりを持って対応できている。
・保育士の負担軽減につながり、一人ひとりの園児に対して丁寧に対応できるようになった。また本来あるべき姿である「子どもたちと丁寧に関わりたいと考えている保育士の希望・願いを叶えられる職場」であることで、職員の確保や園児の確保につながっており、好循環が生まれている。
・子どもの発達について保育士間で情報を共有でき保育の質の向上に繋がる。
Q5 現在より配置基準を手厚くするための、一番の障壁をあげるとしたら何でしょうか。
・財源。保育士の賃金は補助金でまかなわれているため。
・職員の給与水準が低く、配置基準を元にした人数分の補助金しか入らないため、配置を手厚くすると更に一人あたりの給与がさがり、保育士不足にもつながっている。
・保育士不足。保育士をやってみたいと志す人が増える労働環境や仕組みを改善する必要がある。
・女性蔑視も根底にある。社会全体の意識が変わらないと厳しい。
・福祉職に対する世論と保育園経営の不安定さ。福祉職はボランティアのように捉えられているため、給料が安くてもいいだろう/好きでその仕事をしているのだから当然だといった間違った世論があり、職員の処遇改善に繋がらず、人材確保ができない。きちんと園運営ができる経営に改善すること。
・労働・責任に応じた賃金・休暇をとれるようにし、潜在保育士・保育士離れをなくしていく。
・子どもを中心に主体的な保育をと言われているが、乳幼児期を学校のように指導し、指示に従うものだとするような考え方から変わっていないように思える。
Q6 国の保育士配置基準では「子どもの命と安全を守れないと思う場面」をお答えください。
「災害時」と答えた施設が83%と最多に。さらに日常的に行われている「お散歩など園外活動」が74%、「早朝や夕方の保育」が51%と、多くの保育士が日常の保育で子どもの命と安全を守ることができないと感じていることが分かります。
Q7 国の保育士配置基準では「大きな負担になっていたり十分にやれていない」と感じることをお答えください。
事務作業や、職員間の対話、スキルアップ、休憩など、通常の労働環境であれば当たり前にできるはずのことができていないことが伺える。また、「十分にやりきれていない」という項目にも「お散歩等の園外活動」が56%と高い数字で回答されていることも課題点と思われる。
「Q6」「Q7」へのコメント
・休暇やノンコンタクトタイムなど、保育者が働きやすい職場にすることを心掛けているが、保育活動の中では「危険だな」「つらいな」と思うことが多いように感じる。保育者一人ひとりのスキルはあっても、子ども一人ひとりの個性を大切にと考えるのであれば、関わる保育士(対人数)は余裕をもって配置できるようにしてほしい。保育を知らない企業の社員などは、「対人数が決まっているのだから、それ以上必要ないし、できないのは自身の能力不足」などと言ってくることもある。そのことで保育者は傷つき、仕事への意欲を失い、そこから保育の質も下がっていったり、退職にもつながる。
・保育士は食事、睡眠の他、日常的な保育活動の中で常に子どもの命を守る、という責任を感じながら保育にあたっている。その上で、保護者対応、地域活動、障害あるなしに関わらず気になる子への対応など、あまりにも膨大な業務量に、疲弊していく一方である。
・あらゆるシチュエーションにおいて人手が足らず、結果として、すべての業務で負担が大きくなってしまっている。
・ノンコンタクトタイムや休憩時間などをとりたくても、子どもの安全確保が優先されるので、国の基準以上の人員配置をしなければ保育士自身の時間の確保が難しい。
Q8 保育士にとって安全を守るのが難しい場面(地震や災害・防犯・お散歩・水遊びなど)において、貴施設で独自の対策や工夫をされていますか。
約70%の施設が、安全を守るのが難しい場面で施設独自の対策や工夫をしていると回答しました。
「Q8」ではいと回答した方 安全を守るのが難しい場面や活動について、どのような対策や工夫をされていらっしゃるか詳細を教えてください。
・担任以外に、支援員や補助者フリーの職員や園長などが入り、保育士の配置基準プラス1人多い配置でお散歩などに出かける。
・以上児のプール活動の時、未満児の保育士も目となれるよう場所や時間の設定を考慮して活動を行う。避難訓練時は、クラスに固執せず、園内全職員の動きを捉え役割分担をしている。
・園外さんぽは複数のクラスで行い、職員の人数を多くしている。食事では子どもと対面になり、どの子どもの状態も把握できるようにしている。
・地震や災害時に0、1、2歳児が速やかに避難できるように室内外にベビーカーや避難車を多く設置している。
・職員が足りないときは散歩先を近隣にしたり公園に行かず歩き散歩のみとするなど活動の制限をしている。
・ICTの活用。またどうしても人手が足りない場合は、活動に制限をかけるしかない。
・保護者との連絡手段としてコドモンを利用している
・玄関のオートロック。
・災害の場合には、地域の自治会に支援を貰えるよう予てからお願いをしている。
Q9 保育士の人手が足りないと、より管理的な保育になりがちだと感じますか。
85.9%の施設が「保育士の人手が足りないと管理的な保育になりがちだと感じる」と回答しました。
Q10 配置基準が改善されることで不適切保育は少なくなると思いますか。
79.1%の施設が「配置基準が改善されることで不適切保育は少なくなると思う」と回答しました。適切な配置基準で余裕を持った保育ができることで不適切保育の減少に繋がることがわかります。
Q11 今までの施設勤務において不適切保育の兆候に気がついたことがありますか?
約60%の施設が「不適切保育の兆候に気がついたことがある」と回答しました。
Q12 不適切保育のニュース・報道を見て、保育現場において業務に当たる際に、ストレスや不安を感じるようになりましたか。
不適切保育のニュース・報道を見て、保育業務に当たる際にストレスや不安を感じるようになったとの回答が77.5%という結果でした。
※近日中に、配置基準を独自に手厚くして運営している保育園2園のインタビューも公開予定です。
【データの引用について】
本調査結果データを一部引用・二次利用等される場合は、「株式会社コドモン調べ」と表記の上、リンクのご協力をお願いいたします。
リンク先:https://www.codmon.co.jp/?p=7711
その他ご不明点や調査に関する詳細は、下記よりお問い合わせください。
【株式会社コドモン 会社概要】
◆所在地:東京都港区三田3丁目13−16 三田43MTビル 3F
◆資本金:68,250,000円
◆代表者:代表取締役 小池義則
◆WEB:https://www.codmon.co.jp/
◆事業内容:子どもを取り巻く環境をより良くするための事業を手掛け、働く人にとっても働きやすい組織づくりを体現。子育てに優しい社会に変わるよう多角的に環境整備を行い、社会に貢献する。
◎こども施設職員の労働環境を整え、保育・教育の質向上を支える子育てインフラとしての保育ICTシステム「コドモン」の開発・提供。2022年12月時点で、全国約13,000施設、保育士約25万人が利用。全国約300の自治体で導入および実証実験の導入が決定。導入施設数・自治体導入施設数・契約自治体数でシェア1位(※)
◎保育士採用を支援するウェブサービス「ホイシル(https://www.hoicil.com/)」の提供。こども施設が簡単に施設の魅力を発信でき、保育学生や再就職希望者が採用情報にアクセスしやすいような情報提供を行う。
その他、保育園向け写真ネット販売「コドモンプリント(https://www.codmon.com/print/)」こども施設を対象とした専門のECサイト「コドモンストア(https://store.codmon.com/)」、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的としたオンライン研修サービス「コドモンカレッジ(https://college.codmon.com/)」、こども施設職員への福利厚生サービス「せんせいプライム」などを展開。※(2023年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)
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