日本における民間初かつ大学初の原子炉が臨界到達60周年 近畿大学原子力研究所の取り組みを紹介する特設サイトを開設

原子力研究所原子炉(UTR-KINKl)
原子力研究所原子炉(UTR-KINKl)

近畿大学原子力研究所(大阪府東大阪市)は、令和3年(2021年)11月11日(木)に原子炉の臨界到達※ 60周年を迎えます。近畿大学原子炉(UTR-KINKI、以下近大原子炉)は、日本における民間の原子炉、大学原子炉第1号として、昭和36年(1961年)に運転を開始し、同年11月11日に初臨界を達成しました。臨界到達60周年を記念して、近畿大学原子力研究所の歴史や取り組みを紹介するとともに、原子炉教育の意義などを伝える特設サイトを開設します。
※ 原子炉を起動させ、出力を引き上げ、核分裂連鎖反応が安定的に継続する状態に到達した時点

【本件のポイント】
●日本における民間初かつ大学初の原子炉が臨界到達60周年を迎える
●近畿大学原子力研究所の歴史や、原子炉教育の意義などを伝える特設サイトを開設
●近大原子炉はきわめて安全性が高く、学生実習だけでなく理科教員、一般市民対象の研修会にも広く活用される

【本件の内容】
近大原子炉は、「科学を実践に移すべし」を持論とする本学初代総長の世耕弘一が、「民間原子炉第一号で近畿大学が技術者を育成する」という教育家としての情熱によって設置したものです。昭和36年(1961年)11月11日に初臨界を達成し、今年で臨界60周年を迎えました。
国内における民間初かつ大学初の研究・教育用原子炉であり、現在でも貴重な実験施設として多くの研究に活用されています。本学の学生・教員だけでなく、全国の大学・研究機関に共同利用されており、毎年20課題以上の研究が行われています。原子炉そのものを対象とした研究の他、放射線医療で用いられる様々な放射線検出器の開発や、放射線の生物影響を調べる照射実験など、その内容は多岐にわたります。
臨界60周年を迎えるにあたり、特設サイトを開設し、近畿大学原子力研究所の歴史や取り組みを紹介するとともに、原子炉教育の意義などを伝えます。

【60周年特設サイト】
公開開始 :令和3年(2021年)11月11日(木)12:00
URL   :https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aeri/60th/
対   象:どなたでも閲覧可能
コンテンツ:学長あいさつ、沿革、原子力研究所紹介動画 他

【近大原子炉の歴史】
昭和35年(1960年)4月 近畿大学原子力研究所 設立
昭和35年(1960年)8月 近畿大学原子炉(UTR-KINKI)設置認可
昭和36年(1961年)11月11日 臨界に到達(熱出力0.1W)
昭和49年(1974年)10月 熱出力を1Wに増加
昭和56年(1981年)1月 全国大学研究者による共同利用研究開始
昭和59年(1984年)1月 小動物用照射設備、中性子ラジオグラフィ用設備等を新設
昭和62年(1987年)12月 原子炉実験研修会開始
平成25年(2013年) 試験研究用原子炉施設新規制基準 施行
平成26年(2014年) 東京電力福島第一原子力発電所事故後の新規制基準への適合のために、運転停止
平成29年(2017年) 我が国で初めて新規制基準の下、試験研究用原子炉の利用を再開
平成30年(2018年)7月 IAEAアジア・オセアニア地域研究炉スクールを日本で初開催(京都大学、若狭湾エネルギー研究センターと共同開催)
令和3年(2021年)11月11日 臨界60周年

【近大原子炉の特徴】
近畿大学原子力研究所の原子炉(UTR-KINKI)は、大学での教育と研究を目的として設計された、最大の熱出力が1Wの原子炉です。きわめて安全性が高いため、原子力・放射線を専門とする学生だけでなく、小・中・高の理科教員や一般市民を対象とした研修会にも広く活用されており、以下のような特徴があります。
(1)原子炉として最小限の要素で構成されており、構造と原理を理解しやすい
(2)極低出力のため運転中も温度上昇がなく、冷却不要
(3)核分裂生成物の発生が少なく、炉心へのアクセスが容易
(4)漏えい放射線が少なく、運転中の原子炉の近くでも作業をすることができる
(5)きわめて安全性が高いので、学生が自ら原子炉を運転して実験を行うことができ、座学で得た知識を総合的に実践する場として教育効果が高い

【原子力人材育成と教育】
近大原子炉は、学生が実物の原子炉を使った実習を行うことのできる施設です。現在、日本で原子炉を保有する大学は、本学と京都大学のみです。
理工学部電気電子工学科エネルギー環境コース(1学年約90人)では、原子炉を用いた学生実習を行っています。令和4年度(2022年度)には、理工学部にエネルギー物質学科が新設され、原子力・放射線を専門として学んでいきます。また、文部科学省「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」に平成25年度(2013年度)から継続的に採択されており、全国の大学から原子力・放射線を専門的に学ぶ学生を広く受け入れ、原子炉実習の機会を提供しています(今年度は10の大学と高専機構が参加)。
さらに、原子力・放射線に関する知識普及活動にも長年貢献しており、昭和62年(1987年)から中学高校の理科教員を対象とした研修会を開催しています。同研修会では、参加者が実際に原子炉を運転し、放射線を測定することを通じて、原子力や放射線についての科学的な知識と判断力を習得し、教育現場で役立てることを目的としています。

【関連リンク】
原子力研究所
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aeri/


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