コロナ対策に配慮した災害時や医療現場での新様式 1分以内で組み立てできる「超軽量簡易ベッド」を開発

超軽量簡易ベッド(組み立て時)
超軽量簡易ベッド(組み立て時)

近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)放射線医学教室(放射線腫瘍学部門)准教授の門前 一を中心とした研究チームは、新型コロナウイルス感染防止対策として衛生面に優れ、女性1人でも1分以内で組み立て可能な「超軽量簡易ベッド」を開発しました。災害時の被災者の生活の質の向上や医療現場での衛生面の向上が期待できる商品として、令和3年(2021年)2月1日(月)から、株式会社島田商会(本社:大阪市中央区)が販売を開始します。また、開発にあたっては、凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区)ならびにトキハ産業株式会社(本社:大阪市都島区)の協力を得ました。
なお本件は、近畿大学が全学を挙げて取り組んでいる「"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として実施したものです。

【本件のポイント】
●軽くて清潔、新型コロナウイルス感染症対策も加味した超軽量簡易ベッドの販売を開始
●「"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として開発
●女性でも1分以内で組み立てができ、パーツを取りまとめてコンパクトに収納可能

【本件の内容】
従来の簡易ベッドは、アルミ製のものが多く、軽量ですが安定性に欠ける部分があります。また、自治体などで普及が進んでいる段ボールベッドは、湿気や水分に弱く、長期間の利用や再利用には不向きであると言われています。加えて嘔吐物や排泄物の拭き取りによりカビなどが発生しやすく、また高い保温性を伴うことから害虫の発生を誘発する等、衛生面に問題があることなどが課題とされています。
今回開発した超軽量簡易ベッドは、材質に比重の小さい「樹脂発泡体」と「強化プラスチック素材」を用いて高い耐荷重を実現しました。また従来品の課題を解決し、経年劣化を防ぎ強度を高め、嘔吐物や排泄物の消毒を容易にし、丸洗いも可能であることから、衛生面を飛躍的に向上させました。さらに、収納時にはベッド脚部をすべて裏面に貼付することでコンパクトに保管可能で、重量も約10kgのため容易に持ち運びができ、取扱説明書や工具の必要なく女性1人でも1分以内で組み立てることが可能です。新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、床面より30cmを確保した構造となり、災害時の避難所や簡易医療施設での活用が期待されています。

【商品概要】
商品名 :超軽量簡易ベッド
用  途:災害時や医療現場等における被災者や患者の寝床としての簡易ベッド
価  格:150,000円/台(税別)
販売方法:株式会社島田商会 東京支店で注文を受付
サイズ :200cm×80cm×30cm
重  量:約10kg
耐荷重 :約300kg
材  質:樹脂発泡体と強化プラスチック素材を用いた複合部材
お問合せ:株式会社島田商会 東京支店 東京樹脂部 TEL(03)3292-2571

収納時(ベッド脚部をすべて裏面に貼付)(左)、組み立ての様子(右)
収納時(ベッド脚部をすべて裏面に貼付)(左)、組み立ての様子(右)

【開発背景】
近畿大学医学部は以前、がんなどの治療において患者に負担の少ない高精度放射線治療を実現するため、放射線を通しやすい軽量で強度のある樹脂発泡体を用いた、医学物理の観点から人が安全に寝ることのできる放射線治療用のベッドを開発しました。今回、その材質を利用し、女性が片手で持ち上げられる、軽くて高強度の土木用複合部材を凸版印刷株式会社、トキハ産業株式会社と共同で考案し、工業・建築分野への実用化を進めました。
そのような折、多発する甚大な自然災害やコロナ禍によるパンデミックを目のあたりにし、患者・被災者用の簡易ベッドの必要性を感じ、安全で衛生管理のできる簡易ベッドを製作することで、仮設医療施設での衛生面の向上や被災者の生活の質を大幅に改善できると考え、本開発に至りました。

【開発者コメント】
近畿大学医学部放射線医学教室
准教授 門前 一(もんぜん はじめ)

本開発商品は、簡易組み立てベッド、多目的テーブルおよび搬送軽量ボードとして特許の申請を行っています(特願2020-211252)。最も困難を極めた点は、工具を一切使用せずに女性1人の力で1分以内の組み立てを目指したことです。次にベッドのサイズ感と表面材質の決定でした。備蓄時のスペースを可能な限り小さくすることを念頭に、高さ(脚部)は感染対策のための指針に則り、埃や新型コロナウイルスの影響の少ない30cmとし、縦幅は通常の病院寝具を考慮して200cm、横幅はベッドの脚部をすべて裏面に貼付収納可能とするため80cmとしました。
表面には消毒や水洗い可能な特殊な素材を開発し、衛生面の飛躍的な向上とリユース、長期備蓄を可能としました。また、中芯部には特殊な樹脂発泡体を用いることにより保温性を保てるなどの工夫を凝らしています。
本製品は、近畿大学が推し進める産学連携によって異分野・他職種の研究者が集い、知恵を絞った製品です。今後、このベッドと換気フィルタ付きのテントの組み合わせに成功すれば、汚染区域とされるレッドゾーンの考え方が変わり、医療スタッフの負担が軽減されるなどの効果が期待できます。本件に関し、共同開発を行う企業を募集し展開することも検討しています。

【"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクトについて】
近畿大学は、令和2年(2020年)5月15日から「"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」を始動させました。これは、世界で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症について、医学から芸術までの研究分野を網羅する総合大学と附属学校等の力を結集し、全教職員から関連研究や支援活動の企画提案を募って実施する全学横断プロジェクトです。72件の企画提案が採択され、約1億3千万円の研究費をかけて実施しています。

【開発に関わった会社の概要】
社  名:凸版印刷株式会社
所在地 :東京都千代田区神田和泉町1番地
代表者 :代表取締役社長 麿 秀晴
事業内容:「印刷テクノロジー」をベースとした
     「情報コミュニケーション事業分野」、
     「生活・産業事業分野」および
     「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたる事業活動
創  業:明治33年(1900年)
従業員数:52,599人(連結)
資本金 :1,049億8,600万円

社  名:トキハ産業株式会社
所在地 :大阪府大阪市都島区大東町2-17-9
代表者 :代表取締役 藤川 龍磨
事業内容:オフィス用家具の製造、
     家庭用家具・カーテン・インテリア用品の販売、
     家庭用日用品の製造・販売
設  立:昭和37年(1962年)8月16日
従業員数:80人
資本金 :3,000万円

社  名:株式会社島田商会
所在地 :大阪府大阪市中央区安土町3丁目5番6号 ナカヒロビル
代表者 :代表取締役社長 小川 享志
事業内容:化学工業薬品、合成樹脂(原料・製品・機能材料・フイルム)、
     土木・建築資材、パルプ関連商品等の卸売ならびに輸出入
創  業:明治36年(1903年)6月
設  立:大正5年(1916年)2月
従業員数:104人
資本金 :1億5,000万円

【関連リンク】
医学部 近畿大学病院 准教授 門前 一(モンゼン ハジメ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/1301-monzen-hajime.html

医学部
https://www.kindai.ac.jp/medicine/