順天堂大学大学院医学研究科に医療通訳者養成のための「ヘルスコミュニケーションコース」を開設
~ 医療者と患者間のコミュニケーションを支援する、医療通訳者の養成を目指す ~
順天堂大学大学院医学研究科(医学研究科長:服部信孝)は、医学研究科医科学専攻修士課程に、医療通訳者(英語・中国語)を養成するヘルスコミュニケーションコースを開設します(2021年4月開講予定)。ヘルスコミュニケーションコースでは、厚生労働省の医療通訳養成カリキュラムに基づく認定医療通訳者養成講座を修め、医療通訳に必要な専門的知識、技法を体得し、医療通訳を必要としている患者や家族に適切な支援を提供して、医療者と患者間のコミュニケーションを支援する、医療通訳に重要な役割を果たす人材を養成します。
背景
新型コロナウイルス感染症の影響で、今年に入り訪日外国人の数は落ち込んでいます。しかし、日本国内で就労する在留外国人がいるため、病院の外国人患者受け入れ態勢(整備)の必要性は依然として高い状況です。2017年の厚生労働省の調査結果では、外来では79.7%、入院では58.5%の医療機関が外国人患者を受け入れていました。
外国人患者の受け入れをしている病院の多くが、受け入れた外国人患者への言語による対応や、文化・生活習慣の違いを踏まえた対応に困難を感じているのが現状です。外国人診療における言葉の問題はグローバル社会の課題であり、日本における医療通訳者の育成は重要な課題とされています。しかし、現状は医療現場では正式に訓練を受けたプロの通訳者が少なく、患者の家族、友人、医療者など、通訳とは関係のないバックグラウンドの人がにわか通訳者となることも多く、誤診やコミュニケーション不全、病状の悪化につながる恐れがあることが問題視されてきました。このように、深い知識を持つコミュニケーションの仲介者としての訓練を受けた医療通訳者の必要性は、ますます高まっています。
内容
本コースは、専門教育機関として厚生労働省の「医療通訳育成カリキュラム基準」に準拠し、医療通訳技能認定試験の受験資格を得ることができるカリキュラムとして認定を受けた医療通訳者養成課程です。大学で医学関連科目を学んでいない方は、医学の基礎知識を一般教育科目として履修することで、認定医療通訳者として必要となる専門的な知識・技術を習得できるカリキュラム構成となっています。
本コースは一般財団法人日本医療教育財団の認可を受けており、修了者は日本医療教育財団が実施する医療通訳技能認定試験の基礎・専門試験の受験資格を得ることができます。
今後の展望
本コースは、①医科学分野における十分な基礎知識、②認定医療通訳者に求められる能力及び強い責任感と高い倫理観、③ヘルスコミュニケーションに関する知識・専門性を高め、研究の遂行、またその成果を発信できる能力を身につけることを目指します。本専攻を修学、修了した学生は、本学の学是である「仁」の心を兼ね備えた“志高き高度専門職業人”としての活躍が期待されます。
【参考文献】厚生労働省(2017).医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制の実態調査, 2018 年8 月20 日 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000173226.pdf
順天堂大学
順天堂大学は、「不断前進」の理念のもとに学是「仁」を大切にしながら、出身校、国籍、性別の差別のない“三無主義”を学風として掲げ、6学部3研究科6附属病院からなる「健康総合大学・大学院大学」として教育・研究・医療そしてリベラル・アーツを通じて国際レベルでの社会貢献と人材育成を進めております。
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