宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す 「将来宇宙輸送システム株式会社 代表取締役社長兼CEO畑田康二郎氏・主席研究員 庄山直芳氏」の取材記事を7月10日公開

2040年代の就航開始を目標に、宇宙旅行の先行予約(アンケート)を受付中! 事業経緯、事業戦略などの展望を伺いました。

東京都企業立地相談センターは、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す「将来宇宙輸送システム株式会社(所在地:東京都中央区) 代表取締役社長兼CEO畑田康二郎氏、主席研究員 庄山直芳氏」に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて2024年7月10日に公開しました。

■日本にある技術を最大限活用して次世代の宇宙輸送ビジネスを創出

「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」というビジョンのもと、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す将来宇宙輸送システム株式会社。急成長する宇宙ビジネスの担い手として、革新的な研究開発を進めるスタートアップ企業です。

代表取締役社長兼CEOの畑田康二郎氏と主席研究員の庄山直芳氏に、創業の経緯や事業戦略、今後の展望を伺いました。

代表取締役社長兼CEO 畑田康二郎氏
代表取締役社長兼CEO 畑田康二郎氏
主席研究員 庄山直芳氏
主席研究員 庄山直芳氏

■“ベンチャーの力で日本に宇宙産業を創る”を原点に公務員から転身

2022年5月、畑田氏が立ち上げた将来宇宙輸送システム。起業の経緯を伺いました。

「私はエンジニアではなく、元々は国家公務員として経済産業省でエネルギー政策や産業政策などに従事していました。かつては国がビジョンを示しそれに向かって企業が力を結集して目標を達成してきましたが、今では中心は新しい産業をやろうとしているプレイヤーに移っています。そんな中で10年以上やってきましたがだんだんモヤモヤが募り、自分自身がプレイヤーとなって宇宙産業を創っていこうと思ったのです」(畑田氏)

宇宙業界では珍しい漢字の社名は、『革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会』という文部科学省内の検討会の名称から引用したとのこと。

「今やアメリカを中心に宇宙業界の主人公は国からベンチャー企業に代わり、ビジネスとして宇宙を利用することが当たり前になっています。文部科学省の検討会でも、ベンチャーの力を使って将来の宇宙輸送を一緒に解決していくべきだという議論があり、それがそのまま当社の事業戦略になっています」(畑田氏)

主席研究員の庄山氏をはじめ宇宙開発を目指す仲間が次々と集まり、現在は社員が43名、業務委託や派遣を含めるとメンバーは約70名に。

「新しい開発に最初の段階から関わることができる。そこに魅力を感じました。他の業界からキャリアチェンジをして宇宙開発を目指す人や、重工メーカーを定年退職し知見を若い世代に継承したいと当社に来てくれるシニアも多く、両者がうまく結びついています」(庄山氏)

同社が目指す、宇宙空間を経由して大陸2地点間を高速で移動する手段「P2P」のコンセプト図。実現すれば地球上のどこでも90分以内の移動が可能になる
同社が目指す、宇宙空間を経由して大陸2地点間を高速で移動する手段「P2P」のコンセプト図。実現すれば地球上のどこでも90分以内の移動が可能になる
文部科学省中小企業イノベーション創出推進事業に採択された、今後5年程度で再使用型の宇宙輸送機の開発を目指す事業計画
文部科学省中小企業イノベーション創出推進事業に採択された、今後5年程度で再使用型の宇宙輸送機の開発を目指す事業計画

●アジャイル型開発で連携パートナーを増やし目標実現を加速

宇宙往還を可能とする輸送システム実現の第一歩として、今後5年程度で再使用型ロケットを開発するというチャレンジングな目標を掲げる同社。目標達成のためにはダイナミックな開発戦略とパートナーシップが欠かせないといいます。

「日本の重工メーカーや優秀な技術を持つ海外の企業などと連携しながら、いち早く安定したサービスを創ろうと取り組んでいます。開発戦略として、独自の開発プラットフォームを用いてアジャイル型の開発に挑戦。今年は小さいものを飛ばし、そのデータに基づいて性能を高め、来年はもう少し大きいものを飛ばすというように毎年進捗を出して、結果を見せながら連携パートナーを増やしていく方針です」(畑田氏)

完全再使用型の単段式宇宙往還機を実現するために不可欠な機体軽量化の手段として「トリプロペラント方式」の適用に挑戦。2023年12月、日本で初めてとなるトリプロペラント方式の燃焼試験に成功した
完全再使用型の単段式宇宙往還機を実現するために不可欠な機体軽量化の手段として「トリプロペラント方式」の適用に挑戦。2023年12月、日本で初めてとなるトリプロペラント方式の燃焼試験に成功した

2024年4月にはアメリカのロケットエンジン開発企業と連携し、日米の民間企業が協働する再使用型ロケット開発「ASCA 1プロジェクト」が始動。また、3月には福島県南相馬市と連携協定を締結し、同社としては初の自治体とのパートナーシップもスタートしています。

2024年4月4日、アメリカのロケットエンジン開発企業Ursa Major Technologies社とのパートナーシップ締結を発表。現地法人も設立した
2024年4月4日、アメリカのロケットエンジン開発企業Ursa Major Technologies社とのパートナーシップ締結を発表。現地法人も設立した

●東京立地のメリット~多様なプレイヤーが集積し交流・共創に有利、各地との連携もスムーズ

中央区日本橋の本社のほかに、江東区にラボ、大田区にベースと都内3カ所に拠点を持つ同社。東京立地のメリットを伺いました。

「日本橋は、日本における宇宙ビジネスの中心地。X-NIHONBASHI(クロス・ニホンバシ)をはじめ宇宙関連のベンチャー企業が集積し、さまざまなプレイヤーとコネクションを築きやすいです。また、どこへ行くにも便利で本拠地として申し分のないロケーション。連携パートナーとコミュニケーションがとりやすく、名古屋サテライトや地方でリモートワークをする社員の本社出張も負担が少ない。加えて、海外のパートナーのもてなしにも、最先端の街でありながら歴史が感じられる日本橋エリアは重宝しています」(畑田氏)

日本橋駅直結のビル5階、スタートアップ企業が集まる「THE E.A.S.T.日本橋一丁目」にある本社オフィス。昨年秋に移転したばかりだがすでに手狭になっているそうだ
日本橋駅直結のビル5階、スタートアップ企業が集まる「THE E.A.S.T.日本橋一丁目」にある本社オフィス。昨年秋に移転したばかりだがすでに手狭になっているそうだ

「東京都立産業技術研究センター内にある青海ラボは、研究開発の拠点という位置づけです。同じ建物内に各種機器を利用できるサービスがあり、依頼試験にも対応しているのでとても便利。加えて、お台場エリアは東京のど真ん中にいることを実感しつつも、落ち着いていて研究に没頭できる好環境。東京タワーやレインボーブリッジ、海の眺めが気持ちよくモチベーションが上がります。また、東京ビッグサイトが近いのも利点。多様なジャンルの展示会があり情報収集がしやすいし、連携パートナーが展示会への出張がてら立ち寄ってくれることも多いです」(庄山氏)

最後に今後の展望を伺いました。

「今取り組んでいる最初の試験機は今年12月頃に打ち上げを行う計画です。また先ごろ、次世代型宇宙港のワーキンググループを発足。ロケットの打ち上げや着陸を行うのはもちろんのこと、商業施設やエンタメ施設、宿泊施設などを一体的に開発していくことを想定しており、陸上だけでなく、洋上にも検討の範囲を拡大。洋上の施設であれば太平洋側を移動して各地で打ち上げができるかもしれません。日本列島を丸ごと宇宙港にするぞというコンセプトで、私たちと一緒に考えてくれるメンバーを募集しています」(畑田氏)

次世代型宇宙港のイメージイラスト。2024年4月にワーキンググループのメンバー募集を開始、8月にキックオフが予定されている
次世代型宇宙港のイメージイラスト。2024年4月にワーキンググループのメンバー募集を開始、8月にキックオフが予定されている

■企業概要

会社名:将来宇宙輸送システム株式会社
所在地:東京都中央区日本橋1-4-1
代表者:代表取締役社長兼CEO 畑田康二郎
設立:2022年(令和4年)5月
事業内容:革新的な宇宙輸送システムの事業化に向けた企画検討
ホームページ:https://innovative-space-carrier.co.jp/
宇宙旅行 特設サイト[宇宙旅行の先行予約(アンケート)]:https://innovative-space-carrier.co.jp/space-tour/

■情報配信元

東京都企業立地相談センター
ホームページ:https://ilsc.tokyo/

■東京都企業立地相談センターとは
企業や個人事業者様を対象に創業や事業拡大する「場所」探しのご相談を不動産専門アドバイザーが無料で承っております。ご希望条件をお伺いし、事務所、店舗、工場、事業用地などを取り扱う民間不動産事業者に一斉照会いたします。
その他、都や都内区市町村の公的物件情報や支援制度もご案内しております。
(東京都企業立地相談センターは東京都産業労働局が運営しております。)

■記事掲載
東京都内に立地し活躍されている企業様や区市町村の企業支援担当者へインタビュー記事を東京都企業立地相談センターホームページに掲載しております。
ページURL:https://ilsc.tokyo/voice/045.html

■ 日本にある技術を最大限活用して次世代の宇宙輸送ビジネスを創出


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