抗菌薬の世界市場-2023-2030
株式会社グローバルインフォメーション（所在地：神奈川県川崎市、代表者：小野悟、証券コード：東証スタンダード 4171）は、市場調査レポート「抗菌薬の世界市場-2023-2030」（DataM Intelligence）の販売を5月31日より開始しました。
【当レポートの詳細目次】
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市場概要
世界の抗菌薬市場は、2022年に438億5,740万米ドルに達し、2030年には633億2,680万米ドルに達することで有利な成長が予測されます。世界の抗菌薬市場は、予測期間中（2023-2030年）に4.8%のCAGRを示すと予測されています。主要な地域プレーヤーは、売上を増やすために新製品の発売を重視しています。
例えば、2023年2月、日本の製薬会社である塩野義製薬は、デンマークで抗菌薬を発売しました。FETCROJA（セフィデロコル）は、治療法の選択肢が限られている成人（18歳以上）の好気性グラム陰性菌による感染症の治療薬として、デンマークで発売されました。このデンマークでの発売は、世界の抗菌薬市場において抗生物質耐性感染症が増加傾向にある欧州において、cefiderocolへのアクセスを急速に拡大する重要な一歩となります。
抗菌薬は、細菌やカビに由来し、細胞壁の生成を阻害し、細胞膜の透過性を高め、タンパク質合成や核酸代謝などの代謝過程を阻害することで効果を発揮します。抗菌薬は、フェノキシメチルペニシリンやペニシリンVなどがあり、細菌に関連する疾患の治療に使用されます。しかし、風邪やインフルエンザ、ほとんどの咳などのウイルス感染症は治療できません。
さらに、抗菌薬の前臨床開発パイプラインの増加、FDA承認の増加、主要市場プレイヤーによるパートナーシップの増加が、予測期間中の抗菌薬市場の成長を促進する要因として期待されています。
市場力学
抗菌薬耐性（AMR）に対応するための研究開発機関による共同研究の増加が、市場成長を促進する
Global Antibiotic Research and Development Partnership（GARDP）によると、抗生物質耐性は、細菌が時間の経過とともに変化し、治療に反応しなくなることで発症するとされています。毎年、何百万人もの人々が抗生物質耐性に苦しみ、130万人近くが亡くなっています。さらに、世界保健機関（WHO）は、抗生物質耐性を世界の健康上の脅威のトップ10の1つとしており、薬剤耐性感染症のパンデミックとして世界的に広がっています。
2023年3月9日、世界抗生物質研究開発パートナーシップ（GARDP）とリバプール大学は、公衆衛生のために抗菌剤耐性（AMR）に対処するための新しいプロジェクトで協力する覚書に署名しました。
同様に、2023年4月3日、世界保健機関とGARDPは、多剤耐性菌感染症の治療に使用される抗生物質「セフィデロクル」の開発について、メーカーに申請を呼びかけました。WHOのPQP（Prequalification of Medicines Programme）が、複数の細菌感染症を業務に含めるのは今回が初めてとなります。PQPは、多剤耐性菌治療を手頃な価格で利用できるようにするためのイニシアチブを支援するために、招待状を出しています。
新しい抗生物質の開発における課題が、抗菌薬市場の成長を妨げています
研究開発には時間とコストがかかり、失敗も多いため、新しい抗生物質を発見・創出することは困難です。例えば、新しい抗生物質の開発には10～15年の歳月と10億米ドル以上の費用がかかると言われています。さらに、治験の最終段階と最初の製品発売後が、新薬の研究開発費全体の80％を占めることもあり、抗菌薬市場の成長を阻害しています。
COVID-19の影響度分析
COVID-19のパンデミックは、抗菌薬市場に大きな影響を及ぼしています。病院や診療所では、緊急でない診療の予約が遅れたり延期されたりして、適切な治療を受ける患者の数が減少しました。さらに、細菌感染症の患者は、COVID-19の感染を恐れて、医療機関を受診することを躊躇している可能性があります。その結果、抗菌薬市場の収益は減少しましたが、COVIDには依然として使用されており、予測期間中の市場の安定した成長を保証しています。
ロシア・ウクライナ紛争分析
ウクライナのヘルスケアシステムは、ロシアの侵攻により、多くの施設が破壊され、熟練した医療スタッフの不足により利用できる施設が限られているなどの問題を抱えています。国の統計によると、侵略者はウクライナ東部で505の薬局に損害を与え、そのうち47が破壊され、ウクライナ政府や他の国から提供される人道支援を妨害しています。
その上、慢性疾患を持つ患者が大量に薬を購入したため、薬局の販売量はロシア侵攻から11日間で倍増しました。よく購入された医薬品の上位は、抗炎症・抗リウマチ剤、C09、鎮痛剤、精神安定剤、糖尿病治療薬、全身用抗菌剤でした。
ウクライナの医薬品市場は、2022年3月以降、2021年の同時期に比べ、3月は11％、4月は32％、5月と6月は24％と大きく売上が減少しています。減少の原因は、移住、職業、医療人道支援、国民の所得低下です。1月は31％、2月は45％と、戦前に市場が大きく成長した直後から減少傾向が始まっています。
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