「ヤングケアラーを探せ」ノンフィクションライターの #最相葉月 さんに新聞一面コラムでご紹介頂きました「静かなる変革者たち」南日本新聞(10/18)

精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り

2020-11-11 00:40
静かなる変革者たち

教科書で学ぶ専門知識だけではカバーできない問題への指摘がある

2020年10月18日(日)付けの南日本新聞にて『静かなる変革者たち 精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り』について、ノンフィクションライターの最相葉月さんに、新聞1面のコラム「朝の文箱 日曜随想」でご紹介いただきました。ありがとうございます。

ヤングケアラーを探せ

最近ある本を読んで多くを教えられた。

精神疾患をもつ親に育てられた子どもの会「こどもぴあ」と専門家が執筆した『静かなる変革者たち』(横山恵子・蔭山正子・こどもぴあ/ペンコム)だ。登場するのか、精神疾患を患う親に育てられ、成長してから精神保健福祉士や精神科看護師などの支援職に就いた人々だ。支援者の目で子ども時代を振り返っているため、教科書で学ぶ専門的知識だけではカバーできない問題への指摘がある。

たとえば、親が世間から受けた屈辱への怒りや親が豹変したときの戸惑い、いつ親が自殺するかわからないので学校に行けなかったと言う声もある。自分のせいで母親が病んだのではないかと罪悪感に苦しんだ人、将来の夢をあきらめた人もいる。

支援者となった元ヤングケアラーが共通して語るのは、「家族は家族、支援者にはなれない」ということだ。親子の心理的距離の近さが期待や甘え、いらだちにつながり、振り回される。家族で抱え込んで外部とのつながりが持てず、潜在化しやすいのも大きな問題だ。

ヤングケアラー支援を表明した自治体はあるが、精神疾患を持つ親と暮らす子供の存在は現状把握からして難しい。早急に彼らを探し出し、家族を丸ごと支援するシステムを構築しなければならないと思う。

「こどもぴあ」は少しずつ全国に広がり、家族学習会を開催しているそうだ。子どもたちに一日も早くつながって情報交換をしてほしい。決して一人では無いのだから。

●最相葉月(さいしょうはづき)さん

ノンフィクションライター。1963年生まれ。神戸市出身。「星新一」が大佛次郎賞受賞。主な著書に「絶対音感」「セラピスト」ほか。(南日本新聞より)

書名:静かなる変革者たち
精神に障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り
著者:横山恵子、蔭山正子、こどもぴあ(坂本 拓、林あおい、山本あきこ、田村大幸)
発売日:2019年11月8日
定価:1,400円(税別)
版型:四六判
ページ数:226ページ
本文色:1色
ISBN:978-4-295-40370-8
Cコード:0036
発行:株式会社ペンコム
発売:株式会社インプレス

著者

この本を書いた著者の皆さん
横山恵子
埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科・大学院保健医療福祉学研究科/教授/看護師。埼玉県立衛生短期大学第一看護科卒業。埼玉県立がんセンター、埼玉県立北高等看護学院、埼玉県立精神保健総合センター(現、県立精神医療センター)準備室を経て、看護師長として勤務。急性期病棟にて精神科看護を経験。その後、埼玉県立大学短期大学部看護学科講師、埼玉県立大学准教授から現職。その間、日本社会事業大学社会福祉学研究科博士前期課程、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。主な研究テーマは、精神障がい者の家族支援・家族会活動・アウトリーチサース・看護師のキャリア支援

蔭山正子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻公衆衛生看護学教室/准教授/保健師。大阪大学医療技術短期大学部看護学科、大阪府立公衆衛生専門学校を卒業。病院看護師を経験した後、東京大学医学部健康科学・看護学科3年次編入学。同大学大学院地域看護学分野で修士課程と博士課程を修了。保健所精神保健担当(児童相談所兼務あり)・保健センターで保健師としての勤務、東京大学大学院地域看護学分野助教などを経て現職。主な研究テーマは、精神障がい者の家族支援・育児支援、保健師の支援技術

精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)

精神疾患のある親に育てられた子どもの立場の人と支援者で運営しているピアサポートグループ。2018年1月設立。つどい(ピアミーティング)と家族学習会を中心に活動し、その取り組みは、東京、大阪、札幌、福岡へと広がっている。つどいは、誰にも悩みを言えずに孤立しつら い状況にある子どもたちがひとりでも多く仲間とつながり、孤立から解放され ることを願い開催されている。

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