東大教授が教える「自分の頭で考え続けること」の重要性とは

東大教授が教える「自分の頭で考え続けること」の重要性とは
東大教授が教える「自分の頭で考え続けること」の重要性とは

近年は、真偽のわからないネットニュースや、賛否の分かれる社会問題なども多く、情報を鵜吞みにするのではなく、自分の頭で考えることの必要性をひしひしと感じている方もいるのではないでしょうか。

東大教授・渋滞学の創設者である西成活裕氏は、著書『東大教授の考え続ける力がつく思考習慣』http://www.asa21.com/book/b564031.htmlで、「自分の頭で考え続けること」の重要性を説いています。

※以下、本文より抜粋

一瞬で自信を吹き飛ばされた東大時代

高校受験に失敗し、人生初の挫折を経験した西成氏は、反逆精神で東大に合格します。

「俺にもできた」と思い自信を取り戻したのもつかの間、東大には頭のよい大学生がゴロゴロ……。

私は自分よりも頭のよい人がたくさんいることを悔しく思い、ずば抜けて頭のよい人たちの言動を細かく観察し始めたと言います。

彼らに「なんでそんなに(勉強が)できるの?」と尋ねると、「考えれば分かるじゃん」「勉強なんかしなくても、どうすればいいか考えればできるじゃん」という言葉がよく返ってきたそうです。

西成氏は、「いやいや、自分も考えているつもりだけれど、分からないから聞いているんだ」と内心で思ったとか……。

その後も、スーパー大学生の共通点を探ったところ、あることにたどり着きます。

それは、「ただ考えるだけではなく、考え続けている」こと。

「考える力」は、筋トレはマラソンのような運動と同じで、鍛えれば鍛えるほど力がつく「考える体力」と言えます。

何か問題に直面したとき、考えることをやめてしまえば、そこで終わりです。

しかし、考え続けている限り、思考は広く、深くなり、最良の答えに近づくことができます。

さらに考え続ければ、その答えをどんどん発展させていくこともできるのです。

私はこの考え続けるために必要な7つの考える力を、身体の「体力」になぞらえて「思考体力」と名づけました。

思考体力「7つの考える力」
思考体力「7つの考える力」

私自身も、思考体力を鍛え、思考体力を使って考え続ける「思考習慣」を身につけることができたのです。

仕事を通じて出会った一流の経営者やさまざまな分野の第一線で活躍している人たちも、やはりみなさん「思考習慣」が身についています。

成功者とそうでない人の差は、「思考習慣」が身についているかいないかの差と言っても過言ではありません。

気合いだけでは問題解決できない

「すぐに行動しましょう」「考えるよりも行動しましょう」など、本やメディアで取り上げられているのをよく見かけます。

実際、行動に移すことは人によっては勇気が必要ですし、なかなか簡単なことではありません。

しかし、行動に移す人には典型的な2つのパターンがあると西成氏は言います。

それは、考え続けるか、考え続けないかです。

先日、その違いがよく分かる場面に遭遇しました。

「地域活性化のためにどうやってお客を呼び込むか?」という課題について議論をしていたときのことです。

話し合いの席にいた方々は、思考習慣がある人とない人に、はっきり分かれていたのです。

「エリアAで新規開店した店舗にどうやって人を集めるか?」といった話題になったとき、思考習慣のない人は、「分かった。俺に任せろ。お店の前で『いらっしゃいませ!』って大声で叫んでお客を呼び込むから」と言います。

いわゆる、「気合い系」の人。

それを聞いた別の人は、全く違う話を始めました。

お客がお店に入ってくる場合、次の3つの行動パターンに分けられると言うのです。

【お店に来るお客さんの行動パターン】
1.情報収集をしてどこのお店に行くか探してから来た人……情報収集タイプ
2.たまたまお店の前を通りかかって、そのお店が入りやすそう、美味しそうと思って入って来る人……ふらっとタイプ
3.前にお店に来たことがある人で、また行きたいと思ってくれたり、もらったクーポンを使うために来てくれる人……リピートタイプ

気合い系の人と比べると、「微分思考力」のレベルが全く違います。

微分思考力とは、物事を細分化して考える力のことです。

さらに、お客を増やすために次のようなタイプ別の対策が必要だと説明され、常に思考の階段のもう1段先を考える「多段思考力」もあることが分かりました。

【お客さんを増やすタイプ別対策】
1.情報収集タイプ……WEBアプリの開発とホームページへのアクセス数を増やす工夫が必要
2.ふらっとタイプ……駅前でチラシを配ってお店の存在を知らせることが必要
3.リピートタイプ……ポイントカードやクーポン、口コミ評価で割引するなどのサービスで顧客ならではのお得感を高めることが必要

このように思考習慣があれば、やるべきことがこのように具体化するのです。

地域活性化のためにお客を増やしたいという目的は同じでも、呼び込みの1段しか手段を考えられない人と、客層別の対策まで数十段に分けて考えられる人とでは、結果的に大きな差が出ることは言うまでもありません。

「多段思考力」で3段考えれば人と差がつく

では、どのようにすれば「気合い系」の人ではなく、何段も思考の階段を登ることができるのでしょう。

電車に乗っていると、次のような光景に遭遇することがあります。

子どもがお母さんやお父さんに、「なんで? なんで?」と聞くと、「うるさい」「分かんない」と答えて終わり……。

「多段思考力」で言えば、1段も考えていないケースです。「うるさい」というのは、考えることを拒否しているので思考力ゼロの状態。

他の場面でも、一般の人たちの会話を聞いていると、ほとんどが一問一答式で、「多段思考力」は1段か、せいぜい2段止まり……。普段の生活の中でざっと見渡しても、あまり深く考えない人がとても多いように感じます。

もちろん、仕事の場面になると思考の段数が大幅にアップする人もいるでしょう。

それでも、本も読まず、よく調べもせず、人の意見を聞くこともせずに、早く答えを出そうとする人が少なくないように感じています。

まだまだ経験値が少ない人が考え続けることをサボってしまうと、10年後、20年後に、思考習慣がある人たちとの差が広がっていきます。

たとえば、明日締切の企画書を作らなければいけない場合を考えてみましょう。

1.インターネットで検索して付け焼き刃で考えてみたり、他社で売れている商品を参考にして、1〜2段考えた企画をそれっぽい内容に仕上げて早めに提出する
2.「いやいや、ちょっと待てよ」と思い直して、「もっと面白い企画を考えてみよう」ともう1段、あともう1段とギリギリまで考え続ける

あなたはどちらのタイプでしょうか?

大抵の人は早く終わらせることを優先しがちですが、仕事ができる人はギリギリまで粘り強く考え続けます。

もっと言えば、普段からアイデアをメモしていたり、企画のストックを作っておいて、何度も熟考する思考習慣が身についている人のほうが、よりよい仕事を生み出す可能性が高まります。

西成氏は、どんなに忙しい人でも、まずは最低3段考える習慣をつけたほうがいいという話をよくされるようです。

何でも3段まで考えられるようになれば、その後も3段ずつ分けて考えるようにしてみてください。

そうすると、3段が1段くらいに感じられるようになり、思考の段数が増えていきます。

失敗の数が増えれば増えるほど、消去法で考えられるようになるので、正しい方向の階段へ進んでいけるようになっていきます。

失敗を恐れていると、なかなかそういう経験値が上がっていきません。

最初は間違いや失敗を恐れず、とにかく3段は考えて実行してみることが大切です。

本書『東大教授の考え続ける力がつく 思考習慣』http://www.asa21.com/book/b564031.htmlでは、考え続けるとは何か、考え続けるためにはどうすればよいのかなどが詳しく紹介されています。

自分の頭で考えず、目にした情報を鵜呑みにしてしまっているかもしれないと思った方は、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

西成活裕(にしなり・かつひろ)

著者:西成活裕
著者:西成活裕

1967 年、東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)の学位を取得。その後、山形大学、龍谷大学、ドイツのケルン大学理論 物理学研究所を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター教授。ムダどり学会会長、MUJI COLOGY! 研究所所長などを併任。専門は数理物理学。 さまざまな渋滞を分野横断的に研究する「渋滞学」を提唱し、著書『渋滞学』(新潮社)は講談社科学出版賞などを受賞。 2007年 JST さきがけ研究員、2010 年内閣府イノベーション国際共同研究座長、文部科学省「科学技術への顕著な貢献 2013」に選出、東京オリンピック組織委員会アドバイザーにも就任している。
日本経済新聞「あすへの話題」連載、日本テレビ「世界一受けたい授業」に多数回出演するなど、多くのテレビ、ラジオ、新聞などのメディアでも活躍している。 近著に、『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく高校の数学を教えてください!』『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』(ともに、かんき出版)などがある。

※情報は刊行当時のものです。

書籍情報

表紙
表紙

タイトル:東大教授の考え続ける力がつく 思考習慣
著者:西成活裕
ページ数:216ページ 
価格:1,540円(10%税込) 
発行日:2021年4月7日
ISBN:978-4-86667-213-7
http://www.asa21.com/book/b564031.html

amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866672137/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/16653992/?l-id=search-c-item-text-01

目次

プロローグ まずは“ 7つの考える力 ”で「思考体力」を鍛える
第1章 「やりたいこと」を見つける思考習慣
第2章 「やるべきこと」を考え続ける思考習慣
第3章 「情報」に惑わされない思考習慣
第4章 「ベストな判断」をする思考習慣
第5章 「問題解決」のために発想する思考習慣
第6章 「人間関係」で悩まない思考習慣
第7章 「結果を出す」ための思考習慣


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