2021年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館が決定 ~地域の魅力を文化財で発信!国の「たからもの」が地元へ里帰り~

国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉と東京・京都・奈良・九州の4つの国立博物館が共同で実施する「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2021年度事業の実施対象館が決定いたしました。
これにより国立博物館が所蔵する地域ゆかりの文化財計89件が、福島、佐賀、奈良、沖縄、三重の5つの施設で順次公開される予定です。

2021年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)

美術館・博物館名:【福島】やないづ町立斎藤清美術館
展覧会名    :斎藤清とハニワ!
会期(予定)   :令和3年4月24日(土)~6月6日(日)
貸与予定件数  :7

美術館・博物館名:【佐賀】佐賀県立美術館
展覧会名    :白馬、翔びたつ-黒田清輝と岡田三郎助-
会期(予定)   :令和3年9月7日(火)~10月17日(日)
貸与予定件数  :22

美術館・博物館名:【奈良】奈良県立美術館
展覧会名    :生誕200周年記念 森川杜園展(仮称)
会期(予定)   :令和3年9月23日(木祝)~11月14日(日)
貸与予定件数  :24

美術館・博物館名:【沖縄】那覇市立壺屋焼物博物館
展覧会名    :令和3年度那覇市立壺屋焼物博物館特別展 うちなー“赤瓦”ものがたり(仮称)
会期(予定)   :令和3年11月2日(火)~12月26(日)
貸与予定件数  :18

美術館・博物館名:【三重】桑名市博物館
展覧会名    :やまと絵のしらべ -帆山花乃舎と復古大和絵-(仮称)
会期(予定)   :令和4年1月22日(土)~2月27日(日)
貸与予定件数  :18

注目すべきは、佐賀県立美術館の「白馬、翔びたつ-黒田清輝と岡田三郎助-」展。近代日本画壇をけん引した二人の洋画家、佐賀県出身の岡田三郎助と鹿児島県出身の黒田清輝の交流をテーマとしたこの展覧会に、東京国立博物館から、黒田清輝筆の重要文化財「舞妓」、岡田三郎助の代表作「傾く日影(雑草)」をはじめとする22件の文化財を貸し出します。

重要文化財 舞妓 黒田清輝筆 明治26年(1893) 東京国立博物館蔵 (佐賀県立美術館で展示予定)

また、「斎藤清とハニワ!」展(やないづ町立斎藤清美術館)には、重要美術品「遮光器土偶」など埴輪や土偶7件をお貸し出しします。福島県会津出身の版画家・斎藤清が『国立博物館ニュース』(現・東京国立博物館ニュース)で題字やカットを手掛けた縁で、東京国立博物館所蔵の考古資料を間近に見る機会を得て生み出した作品と、その創作の源となった文化財が50年以上の時を経て対面を果たします。

重要美術品 遮光器土偶 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 青森県つがる市森田町床舞出土 東京国立博物館蔵 (やないづ町立斎藤清美術館で展示予定)

さらに那覇市制施行100周年を記念し開催される令和3年度那覇市立壺屋焼物博物館特別展「うちなー“赤瓦”ものがたり(仮称)」には、沖縄の赤瓦への影響を物語る日本国内および東アジア諸国出土の瓦18件などを貸し出します。

2021年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)

やないづ町立斎藤清美術館
「斎藤清とハニワ!」 貸与予定件数:7件
会津出身の版画家・斎藤清の作品とその創作の源となったトーハクの考古資料に出会える展覧会!

会期  : 2021年4月24日(土)~6月6日(日)
URL   : https://www.town.yanaizu.fukushima.jp/bijutsu/
みどころ: 福島県会津出身の斎藤清(さいとう・きよし/1907~1997)は、日本を代表する現代版画家の一人です。昭和22年(1947)創刊の『国立博物館ニュース』(現・東京国立博物館ニュース)で題字やカットを手掛けていた斎藤は、東京国立博物館で実見した埴輪に深い精神性と完成された造形感覚を見出し、埴輪や土器、土偶を主題とした作品を次々に発表しました。本展では斎藤作品とともに、そのモティーフとなった「埴輪 女子頭部」(東京国立博物館蔵)などを展示し、戦後日本における現代版画と考古資料の影響関係を紹介します。

埴輪 女子頭部 古墳時代・6世紀 群馬県前橋市田口町出土 東京国立博物館蔵

佐賀県立美術館
「白馬、翔びたつ-黒田清輝と岡田三郎助-」 貸与予定件数:22件
近代日本の洋画草創期における九州出身の洋画壇の巨匠・黒田と岡田の交流の軌跡をたどる展覧会!

会期  : 2021年9月7日(火)~10月17日(日)
URL   : https://saga-museum.jp/museum/
みどころ: 佐賀県出身の洋画家、岡田三郎助(おかだ・さぶろうすけ/1869~1939)は、パリから帰国して間もない黒田清輝(くろだ・せいき/1866~1924)から洋画を学び、明治29年(1896)には黒田を中心に結成された美術団体「白馬会」の創立に参画しました。日本近代洋画の父、黒田との出会いによって、岡田はその後の画壇をけん引する画家として成長を遂げました。本展では黒田清輝筆「舞妓」(重要文化財)をはじめ、東京国立博物館が所蔵する黒田と岡田、そして同時代に活躍した画家の作品を貸し出し、黒田と岡田の交流の軌跡のみならず、近代日本における洋画の草創期を紹介します。

傾く日影(雑草) 岡田三郎助筆 明治41年(1908) 東京国立博物館蔵

奈良県立美術館
「生誕200周年記念 森川杜園展」(仮称)  貸与予定件数:24件
奈良出身の彫工・森川杜園の生誕200周年を記念し、杜園芸術の全貌を紹介する展覧会!

会期  : 2021年9月23日(木祝)~11月14日(日)
URL   : http://www.pref.nara.jp/11842.htm
みどころ: 奈良一刀彫(奈良人形)を芸術の域に高めたことで知られる森川杜園(もりかわ・とえん/1820~1894)。幕末明治期に活躍した奈良出身の杜園は造形力豊かな彩色木彫を手掛けた一方、明治政府が進めた古器旧物調査(壬申検査)を背景に、博物局や博覧会からの依頼を受けて名宝の模写、模造の制作に取り組み、卓越した技術を発揮した彫工です。本展では、杜園が手掛けた奈良人形の代表作「能人形 牛若・熊坂」をはじめ、杜園の超絶技巧が発揮された模造「九面観音立像」など24件の文化財を東京国立博物館ならびに奈良国立博物館から貸し出します。

能人形 牛若・熊坂 森川杜園作 明治時代・19世紀 東京国立博物館蔵

那覇市立壺屋焼物博物館
令和3年度那覇市立壺屋焼物博物館特別展 
「うちなー“赤瓦”ものがたり(仮称) 」 貸与予定件数:18件
首里城の復興を願い開催される、那覇と首里城を象徴する赤瓦をテーマとした展覧会!

会期  : 2021年11月2日(火)~12月26(日)
URL   : http://www.edu.city.naha.okinawa.jp/tsuboya/
みどころ: 2021年に市制施行100周年を迎える那覇市では、焼失した首里城の復興を願い、那覇と首里城を象徴する赤瓦をテーマとした特別展が開催されます。
東京国立博物館からは、京都大宮御所出土「菊丸練込瓦」や韓国・景福宮出土「龍文軒平瓦」、中国・明孝陵出土の「黄釉龍文軒丸瓦」、そして江戸城、紫禁城などの東アジア王宮で使用された瓦など18件の文化財を貸し出します。会場では首里城の瓦との比較展示を通じて、東アジア諸国から影響を受けた沖縄における瓦の歴史と特殊性、琉球産瓦の独自性が確立する過程を紹介します。

雑像(沙和尚) 朝鮮時代・19世紀 伝朝鮮開城南大門所用 東京国立博物館蔵

桑名市博物館
「やまと絵のしらべ -帆山花乃舎と復古大和絵-」(仮称) 貸与予定件数:18件
地域文化と芸術の発展に大きな貢献を果たした桑名出身の画僧・帆山花乃舎の功績をたどる展覧会!
会期  : 2022年1月22日(土)~2月27日(日)
URL   : http://www.city.kuwana.lg.jp/index.cfm/24,0,235,414,html
みどころ: 桑名出身の帆山花乃舎(ほやま・はなのや/1823~1894)は、■(りん=舟ヘン+侖)崇寺の住職を務めながら復古大和絵派の絵師として活躍した画僧です。花乃舎は内国勧業博覧会への作品出品で全国的に名声を高めた一方で、桑名萬古焼の再興に挑んだ初代森有節(もり・ゆうせつ/1808~1882)に絵を教えるなど、地域文化と芸術の発展に大きな貢献を果たした人物でした。花乃舎が師事した浮田一蕙(うきた・いっけい/1795~1859)や渡辺清(わたなべ・きよし/1778~1861)、そして復古大和絵の祖である田中訥言(たなか・とつげん/1767~1823)の作品など18件の文化財を、東京国立博物館ならびに京都国立博物館から貸し出し、花乃舎の画風の源流とその功績を紹介します。

若菜摘図 冷泉為恭筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵

※上記5つの展覧会の概要・貸与予定作品は2021年3月23日現在の予定です。今後、変更になる場合があります。
最新情報は各博物館・美術館の公式ウェブサイトなどでご確認ください。

現在開催中の2020年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」展覧会

2020年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 茨城県・土浦市立博物館「東城寺と『山ノ荘』-古代からのタイムカプセル、未来へ」展チラシ

2020年度事業を締めくくるのは、茨城県・土浦市立博物館の「東城寺と『山ノ荘』-古代からのタイムカプセル、未来へ」展(会期:2021年3月20日~5月5日)。県の指定文化財(史跡)である東城寺経塚群が発見されてから130年目の節目を迎えることを記念して開催されるこの展覧会に、〈ぶんかつ〉と東京国立博物館は、東城寺経塚出土の経筒や鏡、さらには平安時代・長徳4年(998)に藤原道長が記した「紺紙金字法華経巻第一残欠」(重要文化財) など14件を貸し出し、公開いたします。

重要文化財 紺紙金字法華経巻第一残欠(部分) 平安時代・長徳4年(998) 東京国立博物館蔵

2022年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」募集予定

2021年4月1日(木)からは、2022年度国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付が開始されます。

申請受付期間:2021年4月1日(木)~6月30日(水)[17時必着]

貸与促進事業の申請、実績に関する詳細は、以下のぶんかつ公式サイトでもご確認いただけます。
URL: https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_free_page/index.php?id=15
引き続き日本各地の美術館・博物館からの意欲的な展覧会企画のエントリーをお待ちしています。

2022年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 募集チラシ

国立博物館収蔵品貸与促進事業とは

国立博物館収蔵品を国内各地の美術館・博物館での展示に活用し、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信 ならびに地方創生・観光振興に寄与することを目的として、〈ぶんかつ〉と国立博物館が2017(平成29)年度から取り組んできた事業。*1 収蔵品を貸し出すだけでなく、文化財の貸し出しにかかる作品輸送費用や保険料等を〈ぶんかつ〉が負担し、サポートしています。
2021年度事業からは東京国立博物館収蔵品に加え、京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の収蔵品が貸与品の対象となり、地方公共団体の美術館・博物館だけでなく、私立の美術館・博物館も申請ができるようになりました。*2 これにより、国の「たからもの」が地元に里帰りし、その地域の魅力を発信する機会はさらに広がりました。

*1 2017年度は東京国立博物館の単独事業。
*2 申請資格は文化庁長官の承認を受けた公開承認施設及び博物館法で定められた登録博物館、博物館相当施設です。

文化財活用センターとは

文化財活用センターは、国内外のさまざまな人が日本の文化財に親しむ機会を拡大するため、2018年7月、国立文化財機構のもとに設置された組織です。愛称は〈ぶんかつ〉。貸与促進事業のほか、文化財を通じて豊かな体験と学びを得ることができるよう、文化財を活用した新たなコンテンツやプログラムの開発、文化財のデジタル情報の公開、また文化財の保存環境に関する相談窓口を開設、文化財の保存と活用を目的とした寄付金の募集を行っています。

ぶんかつ公式サイト  : https://cpcp.nich.go.jp/
Instagram(@cpcp_nich): https://www.instagram.com/cpcp_nich/
Twitter(@cpcp_nich) : https://twitter.com/cpcp_nich
YouTubeチャンネル  : https://www.youtube.com/c/cpcpnich

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