日本の医療体制の抜本的弱点とは何か⁈

『国民のための名医ランキング』巻頭インタビュー　桜の花出版

2021-04-28 09:30

基幹病院はいつだって余裕がない

2020年3月の緊急事態宣言発令時より、ずっと「医療崩壊寸前」が懸念されています。なぜ一年以上も医療崩壊寸前なのでしょうか？なぜなら、そもそも日本の医療現場は普段からパツパツの状態で余力がないのです。普段でも、病院では予約しても長時間待たされ、医療フタッフにも余裕のなさを感じることが多々あります。そんなところへ、感染症流行という負荷がかかればひとたまりもありません。つまり、医療現場が通常の診療に余力のある状態にならなければ、いざという時すぐにパンクする可能性があるというわけです。

日本は医療先進国ではなかった

去年から一年間、ニュース番組は同じキャッチコピー「医療崩壊寸前」でした。感染症に変異株はつきものです。それを見越しての対策が普段より必要だったのです。緊急時に抜本的な医療体制の変革はできません。しかし、かといって、平常時では国民の関心は医療体制の改善に向かいません。こんな時だからこそ、日本の医療体制の抜本的な問題解決に関心を向けることも必要です。国民が関心を持てば、政府は動かざるを得ません。

かかりつけ医の充実が必須

医療体系を円滑にする解決策の一つに、「かかりつけ医」や「総合診断医」の充実があります。
コロナワクチン接種に、かかりつけ医が対応してくれる地域があり、脚光を浴びています。普段の心身の状況を知っているかかりつけ医がワクチン接種を担ってくれるなら、時間のかかる新たな問診が必要なくなり、患者自身にとっても安心です。

欧米では、かかりつけ医から総合病院に患者さんを紹介する

医療改革は、実は古くて新しい課題です。
自覚または自覚しない諸症状により、どの科を受診したら良いかを見極めるのは、とても重要なステップです。
日本では、この重要なステップを、患者自身が決めるというスタイルが一般的ですが、諸外国では、これを医師や専門医が担っているのです。そうすることで、患者自身は複数の病院を回る必要がなくなり、医療現場も過剰労働が緩和されます。

期待されるドクターX（総合診療医）の活躍

原因不明の病気や複数の病気を抱えている時に頼りになるのが総合診療専門医です。総合病院や大学病院に行くと、数多くの診療科がありますが、自分はどこに行ったら良いか分からない場合があります。例えば、「腰が痛いので整形外科に行ったが、痛みの原因がはっきりしない。内臓系の病気ではないかと思い消化器内科に行ったがこれも問題がない」。または、「高齢者で複数の病気を抱えているので、総合的に診てもらいたい」という場合があります。このような時には総合診療科に行くことをお薦めします。全身の病気を総合的に診て、不調の原因を探ります。長年、原因不明の病気に悩む患者が総合診療専門医によって病気が特定できたということがあります。総合診療の訓練を受けた専門医数はまだ少ないですが、セカンドオピニオンとして相談を受け付けている医師がいます。『国民のための名医ランキング』では総合診内科に注目して、積極的に取り上げています。巻頭では総合診療の名医、竹村洋典医師の特別インタビューを掲載しています。

『国民のための名医ランキング 2021~2023』一家に一冊あると安心

『国民のための名医ランキング 2021~2023―いざという時の頼れる医師ガイド全国名医1045人厳選』では、総合診内科以外にも、各34分野を掲載しています。
ランキングは、自分にとってベストな主治医を選ぶための一つの便利なツールに過ぎません。最終的には患者さんご自身が選ぶ必要がありますが、しかし、一家に一冊あると安心です。

掲載分野(全34分野)

総合診療/神経内科/老年科・認知症/脳神経外科/眼科/耳鼻咽喉科/頭頸部外科/循環器内科/心臓血管外科/呼吸器内科/呼吸器外科/感染症/肝胆膵内科/肝胆膵外科/消化器内科/内視鏡検査・治療/消化器外科/腎臓/高血圧/糖尿病/甲状腺/泌尿器/婦人/不妊/乳がん/血液/放射線/化学療法/整形外科/膠原病・リウマチ/形成/皮膚/小児/<参考情報>歯科

スペシャルインタビュー
◇「診断力のある名医を味方につける」竹村洋典医師東京医科歯科大学
◇「新型コロナウイルス対策」上昌広医師医療ガバナンス研究所
◇「ホウ素中性子捕捉療法」鈴木実医師京都大学複合原子力科学研究所
◇「がんゲノム医療」西原広史医師慶應義塾大学