NTTデータ経営研究所が 「男女のウェルビーイングな働き方に関する調査」を実施  ~コロナ禍を経てエンジョイ派が増加、 女性ではワーク重視派を逆転し最多の構成割合に~

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「男女のウェルビーイングな働き方に関する調査」(以下、本調査)を実施しました。
本調査では、女性の社会進出と価値観の多様化を背景に、働く男女を対象にウェルビーイングな働き方に関する意識について調査を行った結果、以下のことが明らかとなりました。

主なポイント

  1. コロナ禍を経て、ワーク重視派が減少。女性では家族・友人や趣味を重視するエンジョイ派が最大の構成割合に
    ・コロナ以前は仕事に関する項目を重視する回答者(ワーク派)が約48%で最多だったのに対し、コロナ禍を経た現在、最も重視する活動は家族・友人との時間や趣味といった私生活の楽しみを重視する回答者(エンジョイ派)が約44%と最多になりました。
  1. 男性にとって、育休・産休などの制度利用を阻む理由の第一は“周囲の目”
    ・ウェルビーイングな働き方の実現に役立つと考えられる育休・産休制度、介護休暇といった制度について、利用意向があるものの利用していない要因を調査したところ、男性はいずれの制度でも「周囲で利用している人がいない」が最多であり、周囲の目を気にして取得を思いとどまるケースが多いことがわかりました。
  1. 誰もが働きやすい職場環境には、働き方タイプに応じたきめ細かな支援策が必要
    ・昇進意欲のあるワーク派の女性にはスキルアップにつながる研修などの提供充実が重要と考えられます。育休・産休等各種制度を利用しながら仕事と家庭の両立を図っているライフ派の女性には、制度を使いやすくする環境整備、また、テレワーク利用を重視するエンジョイ派の女性にはテレワークを使える対象者の範囲拡大といった取り組みを実施することで、ウェルビーイングな働き方の実現につながります。
    ・男性にとっても、利用意向があるものの利用していない割合が高い育休・産休制度等について、上司からの取得推奨や、ロールモデルの創出など利用につながりやすい工夫が重要と考えられます。

背景

●ウェルビーイングな働き方に関する価値観を探り、働く女性にとって望ましい活躍支援策を検討
女性の社会進出が進む中、内閣府の調査(*1)では、共働きの男女世帯における「夫が費やす家事・育児・介護の時間」は、妻の2割程度にとどまっている。また、日本の女性は世界で最も睡眠時間が少ないこと(*2)や、日本の管理職に占める女性の割合が約13%にとどまっていること(*3)など、多様な価値観・希望を持つ働く女性にとって、ウェルビーイングな働き方が十分に実現していない可能性が高いと想定される。
本調査では、役員を含む正社員の男女を対象として、仕事に限らず家事・育児や趣味、ボランティアなど様々な活動について重要度を問うことで、ウェルビーイングな働き方の価値観を探ることを目的とした。あわせて、望む働き方の実現度合いや十分に実現できていない理由、職場における活躍の充実度合なども調査し、働く女性にとって望ましい活躍支援策を検討した。

*1 令和2年版 男女共同参画白書(内閣府男女共同参画局)
*2 Gender Data Portal 2021(OECD)
*3 令和元年版 男女共同参画白書(内閣府男女共同参画局)

主な調査結果・考察

  1. コロナ禍を経て、ワーク重視派が減少。女性は家族・友人や趣味を重視するエンジョイ派が最大の構成割合に
    働く男女のウェルビーイングな働き方に関する価値観を探るため、仕事や家族・友人、ボランティアなどの各項目について最も重視する活動を調査した結果、コロナ以前は仕事に関する項目を重視する回答者(ワーク派)が、男女平均で約48%(女性42.3%、男性54.1%)と最多だったのに対し、コロナ禍を経た現在、ワーク派は約41%(女性34.4%、男性47.5%)と減少し、家族・友人との時間や趣味といった私生活の楽しみを最も重視する回答者(エンジョイ派)が約44%(女性46.7%、男性41.5%)と最多になった(図1)。
    今後重視したい活動では、エンジョイ派が増加し、ワーク派が減少する傾向が拡大しており、コロナ禍を経て、働く男女がプライベートを重視した価値観へと移行している。
    男女の価値観の差として、家事、育児、介護などを重視するライフ派はコロナ前・現在・今後の希望のすべての段階を通じて女性の方が多い傾向にある。男女差は縮小傾向にあり、コロナ以前は女性のライフ派は男性の3倍程度だったが、現状では2.3倍、今後の希望では2倍となった。
図1. コロナ禍を経た働く男女が最も重視する活動(n=1041)
  1. 男性にとって、育休・産休などの制度利用を阻む理由の第一は“周囲の目”
    ウェルビーイングな働き方の実現に役立つと考えられる各種制度の利用状況では、介護休暇・時短勤務・ステップアップにつながる研修の項目で3割以上の回答者が「利用したことはないが、利用したい」「利用したいが制度がない」と回答しており、希望と実態のギャップが大きい。また、制度の利用意向がある回答者のうち、実際に活用したことがある回答者の割合を示した「実践指数」※では、育休・産休制度について男女差が大きく、女性の実践指数が50%であるのに対し、男性は15%となっている(図2)。
    ※実践指数:「利用したことがある」/(「利用したことがある」+「利用したことがないが、利用したい」)

各種制度について制度も利用意向もあるにも関わらず利用したことがない理由として、男性はすべての項目で「周囲で利用している人がいない」が最多であった(図3)。女性はハラスメント対策制度、生理休暇について「利用していることを知られたくない」と考える人が多くいることがわかった。男女ともに制度の導入だけでは利用の拡大には障壁が残るため、利用しやすくするための運用上の配慮が重要と考えられる。

図2. 各制度の利用実績と利用意向の状況(n=1041)
図3. 制度を利用したことが無い理由(利用する事由が生じていない場合を除く)(n=1041)

今後に向けて

  1. 誰もが働きやすい職場環境には、働き方タイプに応じたきめ細かな支援策が必要
    重視する活動や状況がそれぞれ異なる働く女性に対して働きやすい職場環境をつくるためには、それぞれに合った支援策の導入と、実際に各支援策の利用が広がるような工夫が重要と考えられる。
    各制度については利用意向があるものの「利用していることを周囲に知られたくない」といった理由で十分に利用が広がっていない状況が明らかになった。利用の拡大に向けては、制度を利用して活躍するロールモデルの創出や、利用ハードルを下げる工夫が重要である。特に実践指数が男女とも低い介護休暇では「周囲で利用している人がいない」ことが利用に踏み出せない背景となっていることが多い。男女ともに利用実績が少ないことから、会社全体で利用のイメージを持ちやすくなるよう他社事例を学ぶといった機会を持つことが有効と考えられる。
    スキルアップにつながる研修については、男性は「周囲で利用している人がいない」ことが利用していない最大の理由であるのに対し、女性は「利用する時間がない」ことが最大の理由となっている。家庭や趣味などと両立させながら仕事に取り組むタイプが多い女性が、研修を利用しやすくするために、研修の時間を就業時間内に組み込むといった工夫が考えられる。
図4. 女性のタイプごとのウェルビーイングな働き方実現に向けたポイント

調査結果の利用について

本調査は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が共同で行っており、本調査結果の著作権は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が保有します。
調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所/NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」または「NTTデータ経営研究所/NTTコム リサーチ」と併記した上で、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。

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