藝大生がダム建設問題を考える。

地域密着プロジェクトからみえてくる寄り添う力とは?

2020-12-17 14:30

(執筆:佐藤志乃)

テレビやネットで目にする地方のニュース、都心で暮らすみなさんにはどのように映っていますか?

メディアを通して知る社会問題は、現地住民のリアルな温度をなかなか感じ取れないことがあります。問題と運動家の対立を煽る文章や映像からは読み取れない、住民たちのさまざまな思いがあるのです。

その人々の複雑な思いに寄り添い、アートを通して社会を考えるアーティストユニットがいます。

石木ダム問題とは?

長崎県・川棚川の下流にある小さな支流、石木川にダムを作る建設計画の推進派と反対派が対立している問題のことです。

石木ダムの建設は、行政が治水対策と水源確保を目的とした計画です。しかし、建設費以外の関連費用もあわせてかかる費用の合計は538億円。そのうち、県の負担分を差し引いた約353億円は佐世保市民の税金があてられます。計画についてよくわかっていない人が多い状況で、本当に巨額の税金を投じて優先されるべき計画なのか。また、ずっと昔から続いてきた人々の暮らしや美しく豊かな自然環境を壊してよいのかなど、さまざまな観点からの意見があります。

  

東京に住む若者が地方のダム問題に取り組むのはなぜ?

彼らが長崎県の石木ダム問題について考えるようになったきっかけの映画があります。アウトドアブランドのパタゴニアが作った映画「ほたるの川のまもりびと」です。

現地滞在で得たリアルな感覚

彼らはプロジェクトに取り組むにあたり、数週間にわたる現地滞在(複数回)、現地の子ども向けにワークショップを開催するなど、さまざまな方法で現地の方々とのコミュニケーションを図ってきました。そこから見えてきた景色は、メディアから伝わってくる情報とは少し違っていたそうです。

お互いに理解できなくても「あ、ちょっと関われたかな」でつながる

この問題の外側の人から見えている「ダム建設に反対する人たち」は、現地で交流を重ねるうちに大きな枠組みで語れないのだと知ることになります。住民一人ひとりが多角的で複雑な想いを持っている。問題の当事者ではない人間が、当事者とかかわる難しさも体感したそうです。

地方には、そこで暮らしている人にしかわからないコミュニティやルールがあります。それらは外部の人にとって決して異質なものではなく、長い年月をかけて人々がつないできた歴史であり、文化です。

簡単には言葉で説明できないものだから、都会で暮らす人々がすべてを理解できるはずがありません。それでも知ろうとする、人々の想いを感じる、その想いに寄り添う。これが私たちにできることなのではないでしょうか。

 

▼ SOCIOについて

『SOCIO(ソシオ)』は人間関係、働き方、新しいライフスタイルを軸にしたウェブ記事を提供するメディアです。人の悩みは9割が人間関係。「あの人苦手だな」「あの人がうらやましい」「なんで自分はこうなんだろう」。

社会で多様性(ダイバーシティ)が語られるほど、自己肯定感や個性についての悩みが増えていきます。価値観は人それぞれ。だからこそ、自分も大切にしてほしい。その第一歩が他人の意見に耳を傾けることだと、私たちは考えます。

その先に価値観が変化することもあれば、譲れないモノを見つけることもあるでしょう。様々な悩みを柔軟に解釈し、なりたい自分を目指していこう。

公式HP→ https://www.socio22.com/
Twitter→@SOCIO_sns

▼ 運営会社 22世紀アート

「みんなを幸せにする出版社」を企業理念に掲げ、「出版とは、今、社会が必要とする情報を発信すること」という思いのもと、誰もが「本」に触れ、「本」を生み出し、「本」を愛する人になる。
そんな文化インフラを作るために、22名のスタッフにより運営されている。

代表者  : 向田翔一
所在地  : 〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3-23-1 ACN日本橋リバーサイドビル5階
設立   : 2014年12月
事業内容 : 書籍・電子書籍制作及び出版
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