コンパニオン診断の世界市場-2023年~2030年

株式会社グローバルインフォメーション(所在地:神奈川県川崎市、代表者:樋口 荘祐、証券コード:東証スタンダード 4171)は、市場調査レポート「コンパニオン診断の世界市場-2023年~2030年」(DataM Intelligence)の販売を8月17日より開始しました。

市場概要

コンパニオン診断の世界市場は、2022年に61億米ドルに達し、2030年には150億米ドルまで成長すると予測されています。コンパニオン診断の世界市場は、予測期間(2023-2030年)にCAGR 12.2%を示すと予測されています。

コンパニオン診断市場の動向には、コンパニオン診断の利用拡大、製薬企業と診断薬企業の共同研究、次世代シーケンシング(NGS)技術の統合などが含まれます。

コンパニオン診断には、組織生検、血液サンプル、その他の体液など、様々な種類の患者サンプルの分析が含まれます。これらのサンプルは、特定のバイオマーカー、遺伝子変異、または患者の疾患や治療反応に関する洞察を提供できるその他の分子特性について検査されます。

さらに、ゲノミクスと分子生物学の進歩、慢性疾患の早期発見と予防への関心の高まり、標的治療へのニーズの高まりが、予測期間中に市場を牽引すると予想される要因です。

市場力学

コンパニオン診断検査に対するFDA認可の増加がコンパニオン診断市場の世界成長を促進すると予想される

2022年12月、RAS GTPaseファミリー阻害薬アダグラシブ(商品名クラザティ)は、少なくとも1回の前治療が全身療法であるKRAS G12C変異の局所進行性または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者の治療薬として早期承認を取得しました。アダグラシブの承認と同時に、組織検査用のQIAGEN therascreen KRAS RGQ PCRキットと血漿検査用のAgilent Resolution ctDx FIRST Assayの2つのコンパニオン診断も承認されました。

アダグラシブの承認は、KRAS G12C変異が確認された局所進行性または転移性NSCLC患者116人を対象とした多施設、単群、非盲検試験であるKRYSTAL-1臨床試験のデータに基づいています。

本試験の第2相コホートにおいて、ベースライン時に測定可能な病変を有する患者112人の客観的奏効率(ORR)は43%でした(95%信頼区間[CI]:33.5、52.6)。奏効期間(DoR)中央値は8.5ヵ月(95%信頼区間:6.2、13.8)、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.5ヵ月(95%信頼区間:4.7、8.4)でした。治療歴のある安定した中枢神経系転移を有する33人の患者のうち、頭蓋内ORRが確認されたのは33.3%でした。このように、上記の要因により、予測期間中、市場は牽引役となることが期待されます。

コンパニオン診断と予測バイオマーカーを通じた新興国市場の開拓と個別化治療が世界のコンパニオン診断市場の成長を牽引すると期待される

有望な抗がん剤の後期臨床試験で見られる高い失敗率は、薬剤開発と腫瘍に対する有効性の評価のための代替戦略の探求を促しています。現在、臨床現場で一般的に使用されている予測バイオマーカーはわずかであり、多くの場合レトロスペクティブに確立されています。

しかし、コンパニオン診断の出現は、前臨床の早い段階で予測バイオマーカーを同定し、薬剤開発プロセスを通じて検証することにより、薬剤開発を迅速化する機会を提供します。コンパニオン診断は、腫瘍の遺伝子構成や生物学的特徴に基づいて、特定の患者集団に対する新薬の有効性と安全性を評価するために前臨床段階で使用される検査です。

Spigelらによって行われた最近の研究では、前治療歴のある非小細胞肺がん患者を対象に、エルロチニブとMetMab(METを標的とするモノクローナル抗体)の併用療法とエルロチニブとプラセボの併用療法を検討した無作為化第II相試験の結果が報告されました。この試験では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)と免疫組織化学(IHC)を用いて腫瘍組織におけるcMET発現を評価しました。その結果、エルロチニブにMetMabを追加することで、cMET発現量の高い患者においてのみ、無増悪生存期間と全生存期間が有意に改善することが示されました。

IHCはMetMabの有益性を予測する最も感度の高い因子でした。一方、cMET発現量が低い患者はMetMabの恩恵を受けず、エルロチニブ単独で治療した患者に比べ、転帰が有意に不良でした。この研究は、予測バイオマーカーの前向き評価を示し、実験的治療の評価におけるコンパニオン診断の重要性を強調しています。

早期臨床試験後の腫瘍特異性に焦点を当てた薬剤開発を促進するためには、前臨床試験を実施してバイオマーカーを同定し、その評価のための検査を開発すべきです。このアプローチは、早期臨床試験で臨床的に評価され、ランダム化第II相および第III相試験で前向きに検証される診断予測シグネチャーの開発に道を開くと見込まれます。このように、上記の要因により、予測期間中、同市場は拡大すると予想されます。

精密医療におけるコンパニオン診断に関連する欠点がコンパニオン診断の世界市場の成長を妨げると予想される

コンパニオン診断の開発は、特に疾患や薬剤のメカニズムに関する情報が限られている場合、大きな課題となり得えます。薬剤と診断薬の開発は別々の道をたどることが多く、臨床試験中に両者の整合性をとるのが遅れる可能性があります。

さらに、偽陽性や偽陰性はその有用性を損なう可能性があるため、診断テストの信頼性は極めて重要です。もう一つの障害は、ヘルスケアシステムによる償還が限られていることで、コンパニオン診断の普及を妨げています。コンパニオン診断に関する知的財産法は医薬品に関するものとは異なるため、安価であるが検証されていない検査の作成と販売が可能です。

このような課題にもかかわらず、コンパニオン診断はプレシジョン・メディシンの将来を担うものと考えられており、コンパニオン診断の開発および検査に対するより良いサポートが提供されるような変化が望まれます。したがって、上記の要因により、予測期間中、市場は低迷すると予想されます。

COVID-19影響分析

COVID-19の早期診断は、ウイルスの影響を受けた患者に適切な治療法を見つけるのに役立つため、市場では不可欠となっています。COVID-19の診断に最も一般的に使用され信頼性の高い検査は、鼻咽頭ぬぐい液または咽頭ぬぐい液を含むその他の上気道検体を用いて実施されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査です。したがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた疾患診断は、この疾患を管理するための主要な焦点として浮上しました。

コンパニオン診断市場は、様々な疾患に対する新たなバイオマーカーの開拓、標的治療の研究開発の増加、新興国市場での認知度向上によるオーダーメイド医療への需要の増加、アンメットがん治療ニーズの増加により、大幅な成長が見込まれています。例えば、Systematic Reviews in Pharmacyに掲載された2022年の論文によると、SARS-CoV-2ワクチン接種のためのコンパニオン診断が、COVID-19ワクチン接種戦略を強化するために検討されていました。

これらのコンパニオン診断には血清学的抗体検査が用いられました。研究のその段階で、SARS-CoV-2ワクチンのコンパニオン診断には大きな利点があることが判明しました。特定の検査を組み合わせて免疫反応をモニターすることで、これらの診断薬はCOVID-19に対する耐久性と信頼性のある防御を提供し、医療上の安心を提供することを目指しました。この論文は、ワクチン接種スケジュールの最適化とウイルスに対する効果的な免疫防御の確保におけるコンパニオン診断の潜在的な利点を強調しています。

ロシア・ウクライナ紛争分析

ロシアとウクライナの紛争はコンパニオン診断市場に影響を与えています。紛争はウクライナのヘルスケアシステムとインフラを混乱させ、コンパニオン診断を含む医療サービスと供給へのアクセスに課題をもたらしました。

戦争は同地域の研究開発活動にとって不安定な環境を作り出し、コンパニオン診断の進歩や進展に影響を与えています。限られた資源と軍事活動への資金流用が、コンパニオン診断の開発と実施を含むヘルスケアと生物医学研究への投資を妨げていると考えられます。

さらに、紛争は人口の移動と移住をもたらし、患者ケアとヘルスケア提供システムの混乱を引き起こしています。このような混乱はコンパニオン診断の需要に影響を与え、必要とする人々へのアクセスを制限する可能性があります。

さらに、戦争に起因する地政学的緊張や経済的不安定は、コンパニオン診断市場における国際的な協力関係や投資に広範な影響を及ぼす可能性があります。不確実性と地政学的リスクは、海外の投資家や企業がウクライナ市場に参入することを躊躇させ、同地域におけるコンパニオン診断の利用可能性と導入に影響を与える可能性があります。

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