衛星画像を活用し水道インフラを丸ごと分析、 「更新計画支援システム」で事業の最適化を
―ユーティリスから水道管路更新の為の新製品「マスタープラン」―
■ 衛星画像データから水道事業者の管路全体を分析、5段階のリスク分類を行う
■ 調査に必要なのは水道管路のGISデータのみ、管路材質に左右されず自動分析
■ リスク分類の結果とGISソフトとの統合で、水道管路更新計画の最適化とDX推進が可能に
ジャパン・トゥエンティワン株式会社(本社:愛知県豊橋市/代表取締役社長:岸本賢和、略称J21)が国内正規代理店となっているユーティリス社(本社:イスラエル)の衛星画像データとAIを活用した新製品として、水道管路の更新計画支援システム「アステラ・マスタープラン」の提供を開始します。
近年、過去に整備されたインフラが更新時期を迎え、メンテナンス頻度の増加や維持コストの増大、高齢化による作業員の人手不足などが大きな社会課題となっています。水道事業者においても、敷設された水道インフラの老朽化と水道管の維持管理と更新は、大きな課題となっており、実際に国内の水道管は6分の1が耐用年数とされる約40年を超過しているといわれています。しかしながら、水道管の更新率は低迷した状態が続いており、年々、耐用年数を超える水道管の割合が増大しているのが現状です※1。また人口の減少に伴う水道事業者の給水収入の減少予測は、維持管理への財源確保と事業存続の困難さも浮き彫りにしています。既存インフラをいかに効率的に維持・管理・修繕し、最適な更新プランと事業計画を立てられるかが喫緊の課題となっています。
ユーティリス社の衛星画像データ(衛星データ)を用いた漏水検知システムでは、天候や昼夜に左右されず、広範囲を検知・調査することができ、一度に水道事業者のインフラ全体をカバーする漏水検知を行うことが可能です。また、独自のアルゴリズムにより、衛星から地上に電磁波を照射して得られた画像データから、水道水に特有の反射特性をAIで補正・解析し、漏水可能性がある区域を半径100mの範囲で特定します※2。これにより、水道事業者は事前に漏水調査範囲の絞り込みができ、現地にて行う音聴調査の効率化が可能となりました。ユーティリス社の漏水検知システムの採用で、漏水箇所の早期発見と修繕による漏水率の改善、漏水による損失と二次災害の予防、調査サイクルの短縮など、時間やコストの削減効果が見込まれています。また実際に、全世界の45ヵ国で350以上のプロジェクトに採用され、成果を挙げています。
「アステラ・マスタープラン」では、日本(JAXA)の衛星だいち2号から地上に電磁波を照射して得られた2回分の画像データを用いた差分解析を行います。水道管路を維持していく上で問題となる漏水箇所やその数、漏水量などを新たに開発されたアルゴリズムとAIで補正・解析しており、水道管路の状態は、区分ごとに5段階でリスク評価されます※3。予測モデルではなく、漏水自体を検知し分析しているため、水道管の材質やパイプの太さに左右されることもありません。水道事業者は、水道管路のGISデータを提供するだけで、対象となる管路全体を調査することができます。調査結果はユーティリス社が提供するGISベースの管理ソフト(U-View)上での利用とともに、既存のGISプラットフォームに統合し、活用することも可能です。
分析結果は水道管路の区分ごとに色分けされ、判定結果は視覚的に把握できます。
※実際の画面表示とは異なる場合があります。
従来、多大な人手や費用、時間をかけてきた水道管路の管理から、「アステラ・マスタープラン」は、新技術を用いたより精緻な管理を実現します。リスク管理上、対応を優先すべき水道管路の特定、更新の効率化による漏水率の改善、耐震化率の向上、破損などの二次災害予防、音聴調査の効率的運用、さらに積極的な水道管の更新プランの作成など、事業計画を策定する上での業務効率化や予算の最適化に大きく寄与します。
またユーティリス社では、2021年8月より、衛星画像データを用い地下の水分量や水道水の漏水を検知し、インフラの維持管理や更新に活用できるサービスを「アステラ」ブランドでリリースすることになりました。従来の水道管の漏水検知システムも新たに「アステラ・リカバー」として、「アステラ・マスタープラン」を補完可能なサービスとして水道事業者に提供・サポートされます。
<ユーティリス社の水道事業者向けアステラ製品>
水道管の漏水検知システム「アステラ・リカバー」
衛星画像データの解析をもとに水道管の漏水箇所を特定し、水道管の補修・維持管理を効率化します。
水道管路の更新計画支援システム「アステラ・マスタープラン」
衛星画像データの差分解析をもとに水道管路のリスク状態を調査・分析します。優先順位付けが可能となり、リスク管理や管路更新計画の最適化が可能になります。
<アステラ製品比較表>
J21では、ユーティリス社の水道事業者へのアステラ製品の提供・サポートを通じ、最新のテクノロジーを活用した水道事業者によるインフラ維持・管理の効率化と課題解決に寄与していきます。
※1 厚生労働省の調査によると、日本の水道管普及率は98.1%で、水道管の総距離は約72万キロ(地球約18週分)ありますが、その多くは戦後の高度成長期に敷設されており、老朽化が進んでいます。
水道管普及率:厚生労働省水道の基本統計より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/database/kihon/index.html
水道管経年化率・管路更新率:厚生労働省 令和2年度全国水道関係担当者会議資料10ページ目
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197003_00004.html
※2 愛知県豊田市にて行われた漏水調査は、漏水箇所の特定に多大な時間を要する山村地域を中心として行われ、検知システムから漏水の可能性が示された区域を絞り込むことで、漏水可能性の管路は対象全管路長の8.5%に絞られました。現地にて漏水音を確認する路面音聴調査が2020年9月から2021年3月まで実施され、その結果、漏水可能性があるとされた556区域のうち、154区域で259箇所の漏水が発見されました。現地調査が行われたのは約7ヶ月という期間ですが、従来の音聴調査方法だとおよそ5年はかかる調査で、作業の大幅な効率化がはかられました。豊田市上下水道局では、漏水箇所の修繕を行うとともに、より効率的な漏水調査手法を検討しています。
実際の調査内容については、豊田市による報道発表をご確認ください。
https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1043553/1044032.html
※3 衛星の画像解析には、「だいち2号(JAXAの衛星)」の画像データを用います。衛星によるLバンドのマイクロ波(1.3GHz前後)が地下2m程度まで浸透し、比誘電率の違いによる反射特徴から水道水と非水道水とを区別できる独自のアルゴリズムを基にAIにて解析し、水道管の漏水を検知します。
■ユーティリス(Utilis)社について
2013年に地球物理学と水文学、地形学を研究していた科学者によって設立され、衛星の画像データを独自のアルゴリズムにより分析する水道管の漏水検知システムは、2016年から提供を開始、すでに世界60カ国・430件以上のプロジェクトに採用され、莫大な量の飲料水の漏水節約に役立てられています。衛星のLバンドマイクロ波データを活用した水道管の漏水検知や更新計画支援のためのシステムは、導入にあたって設備投資や機器の設置が不要なシステムで、これら製品は、2021年8月より、「アステラ」のブランド名で提供されることになりました。イスラエル、米国(サンディエゴ)、英国の拠点では、各分野の専門家が現行システムを継続的に改善し、革新的な新サービス・製品を市場に投入するために、研究開発に多大な投資を行っています。
https://asterra.io(英語)
https://asterra.japan21.co.jp(日本語:J21運営サイト)
■ジャパン・トゥエンティワン株式会社について
1992年9月に創業し、“イノベーションを市場化する”を掲げ、イスラエルを中心に世界最先端のハイテク企業の技術や製品のビジネス開発を日本で展開。主な取り扱い製品には、自動車の後付け衝突防止補助システム「モービルアイ」、車両の運行情報を管理・分析するフリートマネジメントシステム「イトラン」、タブレットの盗難防止製品「コンピュロックス」、プログラミング学習サービス「コードモンキー」、聴力アシスト機能付き無線イヤホン「BeHear® NOW」、衛星画像データを活用した水道インフラ管理・更新のための「アステラ製品」などがあります。
URL:https://www.japan21.co.jp/
お問い合わせ先 広報担当
ジャパン・トゥエンティワン株式会社
東京都渋谷区神宮前6-19-13 J-6ビル4F TEL:03-6775-7450
Email:utilis@japan21.co.jp Web:https://www.japan21.co.jp/