藤井直樹、単独初主演舞台に手応え 舞台『甘美なる誘拐』が開幕!

第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞した平居紀一による小説『甘美なる誘拐』。今回は脚本・演出をかもめんたるの岩崎う大が手がけ、美 少年・藤井直樹が主演を務める。さらに、和田琢磨、礒部花凜、馬場良馬、高畑結希、末永みゆ、土屋翔(劇団かもめんたる)、そして槙尾ユウスケ(かもめんたる)、内博貴、波岡一喜と、若手からベテランまで幅広いキャストが集結した。

◼︎芸達者なキャスト揃いのカンパニー
囲み取材には藤井直樹、和田琢磨、波岡一喜、内博貴と脚本・演出の岩崎う大が参加した。
演じる役柄と意気込みを聞かれ、藤井は「僕が演じるのはヤクザの末端の真二。クールだけどギラギラ感もあるキャラクターです。気だるい感じとギラギラを両立させるのは難しいなと思いつつ、なんとか仕上げてきました。僕がアイドルとして仕事に挑むときはギラギラした気持ちもあるので、それを置き換えて役作りをしました」と明かす。
真二のバディ・悠人を演じる和田は「藤井さん演じる真二とは逆の、お調子者でおしゃべりな役。僕は仲良くなるとおしゃべりするのが好きなので、(藤井に)構って構ってといく感じは役と近いと思います」と話し、波岡は「僕は古風な昔かたぎのヤクザ役。多面性のあるキャラクターなので、いろいろな側面を楽しんでいただきたいです」と語った。内は「見てわかる通りチンピラ役を自由奔放にやっています。役作りにはまったく苦労していません」と話してカンパニーの面々を笑わせる。脚本・演出に加え出演もする岩崎は「みんなコメントの歯切れが悪いんですが(笑)、隠さなきゃいけないところがたくさんあるせいです。それがお話の面白さにつながっています」と補足し、「映像化不可能と言われている作品ですが、演劇ならギリギリできるのが今回上演する大きな意味になっていると思います」と語った。

バディ役を務める和田について聞かれ、藤井は「とにかく優しいです。僕がう大さんからアドバイスされた時に、僕がうまく感情を乗せられるようにリードしてくれました」と話し、和田は「(藤井は)普段柔らかくて人当たりもいいんですが、あるシーンの稽古で、怖い! と思いました。そこから真二の役が良くなっていった」と振り返る。岩崎も「藤井ちゃんにガラの悪さはないのかなと思っていた数日後にグッとよくなった」と頷く。内も「頑張っているなと思いました。一生懸命やる子だという印象が昔からあり、それは変わっていません。過去の舞台では僕が藤井くんをボコボコにしましたが、今回は舎弟役で僕がボコボコにされています。あの頃僕にムッとしたファンの方も、この舞台で僕を大好きになると思います(笑)」とユーモアを交えて語った。
波岡が「可愛いです。役作りや演技についてのアドバイスもしっかり受け止めてくれて、頑張り屋さんだと感じます」と称えると、藤井は「お芝居中、焦って早口になってしまうこともあるんですが、波さんに教えていただいてすごく勉強になりました」と話す。美 少年のメンバーも実力あるキャストたちとの共演を羨むのではないかという問いに、「メンバーみんな見にきてくれたら嬉しいです。最近は、会ったときにお互いの現場のことを話して盛り上がっています」と笑顔を見せた。

最後に、楽しみにしている皆さんに向け、藤井が「僕自身も初挑戦のことがたくさんあります。ミステリーというジャンルですが、謎が生まれて解決する面白さ、う大さんの演出ならではの魅力もたくさん詰まっていると思います。楽しい気持ちで見ていただけたら幸いです」と呼び掛けて囲み取材を締めくくった。

◼︎コミカルでテンポの良い上質なミステリーを展開
物語は冴えない日々を送っていたヤクザの下っ端・真二(藤井直樹)と悠人(和田琢磨)が、ひょんなことから死体を見つけたのをきっかけに大きく動き出していく。各地のヤクザたち、地上げ屋の被害に遭っている自動車部品店、宗教団体・ニルヴァーナの物語が交錯しながら進行するミステリーに惹きつけられる。
藤井と和田は、冷静で頭の回転も早い真二、明るくノリの軽い悠人という凸凹コンビを魅力的に演じる。緊迫したシーンも二人の息のあった掛け合いで面白く見せ、ヤクザながら愛嬌たっぷりなキャラクターを作り上げていた。一見、真二が悠人を利用しているかと思いきや、なんだかんだ仲が良くバランスの取れたコンビ感が可愛らしい。
二人の兄貴分である荒木田(馬場良馬)の悪徳ヤクザっぷりとテンションが高くユーモラスな芝居、硬派な石村(波岡一喜)の渋さと徐々に見えてくる一面のギャップ、チンピラ・堀田(内博貴)が見せるコミカルでチャーミングな表情。憎みきれないメンバーの悪巧みが成功するかどうか、ワクワクしながら見守ってしまう。

物語の中心となるヤクザたちだけでなく、自動車部品店の親子、宗教団体・ニルヴァーナの面々も個性的なキャラクター揃いだ。
廃業に追い込まれかけている植草親子は、少し頼りない父(岩崎う大)とハキハキした娘(礒部花凜)の漫才のようなやりとりが楽しい。岩崎らしいシュールで哀愁漂うセリフに、客席からも笑い声が上がっていた。また、勘の鋭い刑事・篠井(末永みゆ)、事件の参考人・船曳(槙尾ユウスケ)、ニルヴァーナ幹部・佐々倉(土屋翔)、をはじめとするキャラクターたちも強い印象を残している。
ニルヴァーナ教祖の孫娘・春香(高畑結希)とボディガード・萩尾のぎこちなくもほほえましい会話など、コミカルな中に和むシーンも。全体を通して笑えるシーンが多いのに加え、さまざまな事件や思惑が絡み合い、ラストに向けて盛り上がっていく様子が見事だ。原作に仕掛けられた伏線を舞台ならではの表現で見せ、最後まで疾走感のある爽快な作品に仕上げていた。
本作は9月13日(金)~9月16日(月・祝)まで、シアター1010にて上演される。

【ストーリー】

ヤクザの下っ端、真二と悠人。人使いの荒い兄貴分にこき使われる彼らの冴えない日常は、一体の他殺体を見つけてから変わり始める。同じ頃、調布で自動車部品店を営む植草父娘は、地上げ屋の嫌がらせで廃業に追い込まれかけていた。一方、脱法行為で金を稼ぐ宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐され――。様々な事件が、衝撃のラストにどうやって帰結する⁉

【公演概要】

舞台『甘美なる誘拐』

原作:「甘美なる誘拐」平居紀一/宝島社刊
脚本・演出:岩崎う大(かもめんたる)

■出演
藤井直樹

和田琢磨
礒部花凜
馬場良馬
高畑結希
末永みゆ
土屋翔(劇団かもめんたる)
槙尾ユウスケ(かもめんたる)
岩崎う大(かもめんたる)

内博貴(特別出演)

波岡一喜

■会場:シアター1010
〒120-0034 東京都足立区千住3丁目92 ミルディスⅠ番館11F

■上演日程:2024年9月13日(金)〜9月16日(月祝)

■公式サイト:https://delight-company.com/the-sweet-kidnapping/
■公式X:https://x.com/TSK_STAGE

主催:舞台「甘美なる誘拐」製作委員会

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