BSI、「現代奴隷制」に対応する新たな規格を提案

BSIは、「Anti-Slavery Day」(反奴隷制の日)である10月18日、「BS 25700:現代奴隷制への組織的対応」を発表しました。この革新的なガイダンスにより、BSIは企業/組織があらゆる形態の現代奴隷制を根絶できるよう支援し、社会変革をリードします。

※本プレスリリースは2022年10月18日(英国時間)に英国で配信されたプレスリリースの抄訳版です。

BSIの現代奴隷制への取り組み

英国、ロンドン、英国時間:BSI(英国規格協会)は「Anti-Slavery Day」(反奴隷制の日)である10月18日(英国時間)、英国ならびに世界中の組織が現代奴隷制を根絶するための世界初の国家規格を発表しました。

企業/組織は、サプライチェーンに関する課題や、人と地球の健康を保つための取り組み、ESG(環境、社会、ガバナンス)報告に関する監視の目を強めていかねばなりません。現代奴隷制規格(BS 25700)は、企業/組織が現代奴隷制のリスクや潜在的な被害者を特定するために必要なガイダンスを提供し、この問題に取り組む現実的な方法をアドバイスします。

また、先駆的な試みとして、この新規格はオープンアクセス方式で誰でも入手可能になっており、現代奴隷制の廃止に向けたBSIのコミットメントを明確に示しています。この規格は、英国のみならず国際的なあらゆる規模の組織が利用でき、予防措置、曝露リスクの特定、分析、評価、特定したリスクに対処するためのアプローチ、現代奴隷制の慣行の是正、報告メカニズムに関するガイダンスを提供します。

現代奴隷制とは

強制労働、児童労働、債務奴隷、人身売買など、さまざまな搾取行為を指します。現代奴隷制に関する権利と義務は、2015年現代奴隷法に代表される英国の法律や、国連や国際労働機関などの国際的な枠組みにも定められています。

国際人権団体であるWalk Freeおよび国際労働機関、国際移住機関の試算によると、2021年時点でこの犯罪行為に苦しむ人々は世界で4,960万人にのぼり、そのうちの2,760万人が強制労働によって搾取されています(※1)。これにより犯罪者が得る利益は、年間約1,500億米ドルに達しています(※2)。英国内の現代奴隷に関する登録制度(National Referral Mechanism)によると、英国における現代奴隷制の潜在的な被害者の数は2014年の2,340人から2021年には12,700人以上に増加しています。その数は増え続けているため、実際の被害者数ははるかに多いと考えられます。2022年1月から6月の間だけでも8,000人近い増加を見せているのです(※3)。

BSIの最高経営責任者であるSusan Taylor Martinは、次のように述べています。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行や、ヨーロッパにおける戦争の再来などの世界的混乱は、現代奴隷法が制定された2015年よりもさらに大きな現代奴隷制のリスクを生み出しています。政策と現実の間にあるギャップを埋めるためにできることは数多くあります。BSIは、グローバル経済を苦しめ続けているこの腐敗した犯罪行為を根絶するために何ができるのかを企業/組織に理解してもらえるよう取り組んでいます。」

BSIの規格ディレクターであるScott Steedmanは、続けてこのように述べています。

「規模の大小を問わず、あまりにも多くの企業/組織が、自らのサプライチェーンでの現代奴隷制の広がりとそれがどこで起きているのかを把握しておらず、そのリスクから組織を守る方法についての知識も不足しているように思えます。BSIが提供するこの新しい国家規格は、強く待ち望まれていたガイダンスとして、企業/組織が現代奴隷制を理解し、リスクを特定し、その根絶に断固として取り組むことを支援します。」

BSIは英国の国家規格協会として、企業/組織が国連の持続可能な開発目標に沿ったベストプラクティスのフレームワークを採用するよう支援する上で重要な役割を果たしています。その中には組織が現代奴隷制のリスクを理解し管理するためのサポートも含まれており、政策と現実との間のギャップを埋めることを目的としています。これには、コンプライアンスの欠如、現代奴隷制に関する不適切な声明、および2015年現代奴隷法が定めた既存要件を損なう問題における企業/組織の発言と行動の間のギャップが含まれます。

また、現在の法律では、年間売上高が3,600万ポンド以上の組織に対し、現代奴隷制について報告する義務を課していますが、BS 25700はあらゆる規模や種類の組織に適用できます。これは、英国では中小企業が企業全体の99%、雇用の3/5を占めていることを考えると極めて重要になります。

■現代奴隷制の被害者アライアンスおよびBSI奴隷体験寄稿者委員会のメンバーであるK氏は、次のように述べています。
「BSIとともに現代奴隷制の規格に取り組んだことは、素晴らしい学びの経験になりました。このような重要な規格に貢献でき、私の体験がいつか現代奴隷制の影響を受ける多くの人々を救うことになると知り、勇気づけられ、私自身が社会へ復帰するためにも不可欠な要素となりました。また、被害者アライアンスの一員であることは私にとって心の支えであり、この重要な規格がすべての人に受け入れられ、現代奴隷制に対する認識が高まり、完全に終止符を打てるようになることを願っています。」

■Slave-Free Allianceのスペシャリストを務めるShirley Goodrick氏は、次のように述べています。
「Slave-Free Allianceは、あらゆる分野に適合するガイダンスを提供する最初の規格であるBSIの現代奴隷制に向けた規格を歓迎します。あらゆる規模の組織が、その事業とサプライチェーンにおける現代奴隷制を理解し、防止し、対処するための適切で有意義な措置を講じることができます。この規格に準拠することで、現代奴隷制や労働搾取に対する組織のレジリエンスを高めることができるでしょう。」

「BS 25700:現代奴隷制への組織的対応」は、防止、特定、対応、是正、緩和、および報告を通して現代奴隷制を根絶するために企業/組織がどのように実践的な手段を講じることができるかについてのガイダンスを提供する先駆的な英国規格です。

「BS 25700:現代奴隷制への組織的対応」規格の全文はこちらからダウンロードできます(英文)。
URL: https://www.bsigroup.com/en-GB/standards/bs-25700/

専門委員会

この規格は、以下の組織の代表者によって策定されました。
ノッティンガム大学ライツラボ、Action Sustainability、Orbis Procurement、保険とリスクマネージャー協会(AIRMIC)、グリニッジ大学、ナショナル・グリッド、United Utilities、Walk Free Foundation、Survivor Alliance、マンチェスター大学、Anti-Modern Slavery Alliance、英国内務省、Shiva Foundation、キングス・カレッジ・ロンドン、コーンウォール・カウンシル、セーブ・ザ・チルドレン、Institute of Environmental Management、Building Research Establishment、Seafish、イギリス労働安全衛生研究所、Ardea International、および多数の独立系コンサルタント。

BSI(英国規格協会)とBSIグループジャパンについて

BSI(British Standards Institution:英国規格協会)は、1901年の設立以来、世界初の国家規格協会として、また、ISOの設立メンバーとして活動する規格策定のプロフェッショナルです。現在、193カ国で84,000組織以上のお客様の活動に貢献しています。BSIグループジャパンは、1999年に設立されたBSIの日本法人です。マネジメントシステム、情報セキュリティサービス、医療機器の認証サービス、製品試験・製品認証サービス及びトレーニングコースの提供をメインとし、規格開発のサポートを含め規格に関する幅広いサービスを提供しています。
URL: https://www.bsigroup.com/ja-JP/

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