台風接近までに企業がすべきこと

台風9号、10号が接近 西日本以外も注意が必要

台風9号に続き、台風10号が発生した。海面水温が高いことから、今後発達しながら日本の南を北西へ進み、5日は非常に強い勢力で大東島地方へ接近し、6日は非常に強い勢力を維持したまま奄美地方から西日本にかなり接近するおそれがあるという。

台風の進路だけを見て、西日本や九州だけに被害が及ぶと考えるのは危険だ。名古屋大学宇宙地球環境研究所教授の坪木和久氏によると、令和2年7月豪雨では、「高い水温の海から蒸発した大量の水蒸気が西から入り込んできた」ことで大雨を降らした。昨年の台風19号の被害も、この「大気の河」と呼ばれる水蒸気によるものが大きいようだ。「日本列島に流れ込んでくる水蒸気の量を正確に測定し、初期値に取り込まない限り、豪雨の定量的な予測はできない。そして現状では、海上の水蒸気の量が正確に測定されていない。日本の豪雨予測の最大の問題はそこにある」と坪木氏は指摘する。

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では、企業として今すべき対策は何か。

昨年の台風19号で被災したがきのこ総合企業のホクト(長野県長野市)。BCP担当者は、「さまざまな災害に見舞われる都度、BCPは見直してきました。しかし、さすがに工場の水没は想定していなかった。長野市で千曲川が決壊するとは、想像していませんでした」と振り返る。

珠玉の日本酒「獺祭」で知られる旭酒造は2018年の西日本豪雨で被災した。本社の酒蔵(本社蔵)の目の前を流れる東(ひがし)川は川幅4~5メートル、普段は深さ30センチメートル程度の小さな川だが、その水が高さ約5メートルの護岸の石垣を越え、本社蔵に流れ込んできた。本社蔵と直売所が約70〜120センチ浸水。桜井一宏社社長は「正直、雨によって被害が出るとは思っていませんでした。当然、水害リスクの共有や、参考にしていたガイドラインもありませんでした」と当時の状況を語る。

このほかにも、河川の洪水や内水氾濫などで被災した企業の話は幾度となく聞いてきた。いずれの企業も「まさか浸水するとは思わなかった」と口をそろえる。無理もない。ホクトでいえば、千曲川からは1キロ以上も離れた場所に工場がある。ハザードマップで浸水エリアにあることは分かっていても、周辺一面が平野で、そこで1メートルを超えるような浸水が起きることはなかなか想像できない。旭酒造にしても、30センチ程度の小川が5メートルになることを誰が想定できるだろうか。ましてや浸水想定はハザードマップでも描かれていない。「上流で土砂崩れが起き、本社蔵の上手の橋を押し流したことが原因だった。「土砂と橋が一緒に流れてきて、本社蔵の目の前の橋に詰まってしまった。これにより、一気にダムのように増水した」。

いずれのケースから学ぶべきことは近くに川がある以上、まずは被災することを前提にすべきということだ。

当然、ハザードマップを見ることは必要だが、小規模河川や内水氾濫ではハザードマップが描かれていないケースもある。近くに川があったり、標高が低い地域にあれば浸水を前提に対策を行うことを考えた方がいい。


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