【プレスリリース】英国と日本、自律運航船実現への加速に向けた取り組みで合意
海上における安全確保と自律運航システムの導入に向けた将来的な協力関係構築について、英日双方が革新的な可能性の訴求に向け、日英協働でワークショップを実施
英国と日本のステークホルダー的関係性の構築は、本年3月4日~7日に日本で開催された4日間のワークショップ実施を経て、海上における自律運航船への保証など双方の枠組み等の開発を加速させ、適切な地域的・国際的規制の策定を促進に向け協力することを意味するものです。
英国を本拠点とする船級であるロイド船級協会(LR)と、同英国の国立物理学研究所(NPL)は、3月上旬に来日し、国土交通省海事局や海上保安庁、大学、研究機関などの政府・学術機関ほか、海運会社大手である日本郵船、商船三井、川崎汽船など、日本の海事産業界を牽引するリーダー、そして自律運航船実現に向けたDFFAS+プロジェクト(日本財団が資金を提供するイニシアチブ)の代表が参加し、主要な議論が交わされました。
当協議の目的は、英日間での規制当局が海事における自律性の可能性を理解するのを助け、安全かつ信頼性のある導入に向けた保証枠組みを構築、自律運航がもたらす機会を活用し、さらに今後の道筋を開発することにあります。
日本の目標では、2026年までにLRの自律運航性能レベル4(AL4)に相当する船舶が自国の海域で運航され、2025年半ばまでに物理的な実証船を航行させることを意味します。これらの目標に沿い、LRとNPLは、衝突回避や訓練・監視に関連するものを含め、技術開発と配備に合わせた検証と妥当性確認の加速化を推進することに合意しました。
これらの活動を通じて、英国、日本、そして世界における、効果的かつ安全な自律型船舶と関連技術の開発、実証試験、技術革新、商業的な実現に向かうまで、適切な規制の枠組み推進が目的です。
保証の枠組みに関する作業は、LRとNPLが主導する英国の海事産業における自律性保証テストベッド(MAAT)パ ートナーシップに由来するもので、安全な採用への道筋を提供する試験・認証プログラムの構築に焦点を当てています。
自律運航と人工知能(AI)市場は、急速に拡大しており、2023年4月に発表されたロイド・レジスターとテティウスの共同レポート「Outside of the Box」によると、2023年には14億7000万ドル規模になり、5年間の複合年間成長率(CAGR)22%で成長し、2028年には30億9000万ドル規模になると予想されています。
LRのプリンシパル・スペシャリストであるトニー・ボイレンは、次のように述べています: 「海事産業の自動運航に向けた取り組みとしては、先駆的な取り組みがすでに行われており、LRはこの分野のリーダーたちとの対話に参加できることを光栄に思っています。最近の会合は、日本と英国の行政当局と産業界との間で、考え方の一致がますます深まっていることを示している。我々は、海上オートノミーに対する投資家と研究開発の信頼を生み出す保証枠組みを開発するため、パートナーシップの機会を模索することを楽しみにしています。
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所の中川直人主任研究員は、次のように述べています: 「自律型船舶は、経済効率、船員の労働環境、海上交通の安全性を向上させるという意味で、大いに期待されている。その一方で、安全な自律システムをいかに構築し、検証するかという新たな課題も生じている。これらの課題解決に向け、世界全体で取り組むことは、新たな時代に相応しい。英国の国立物理学研究所(NPL)とロイド船級協会による日英の関係者間の交流を通じて、新たな可能性がもたらされたことを大変嬉しく思います」。
国立物理学研究所(NPL)のアンドル・バージェス氏(パートナーシップ・リード、アシュアード・オートノミー)は、次のように述べています: 「今回の会合では、自律型船舶の運用開始に向けたペースを加速に向けた協力関係構築の重要性とともに、これらの技術の革新レベルと将来の能力の双方が浮き彫りになりました。 これらに関する野心を後押しするため、英日間で新たな研究開発と技術革新主導のパートナーシップを発展させることを楽しみにしている」と述べています。
当分野での取り組みは、シンガポールマリタイム・ウィーク期間中の4月18日に開催される英国政府主催の「海上における自律運航に関するサミット」でも継続して実施される予定です。当サミットでは、海上自律航行技術や運用上の導入事例や開発に関する最新の知見や、試験、基準、保証に関する既存の研究成果を共有させていただく予定です。
編集者の方々へ 注記:
LRは2016年に自律型船舶設計のガイダンスを導入し、2017年には自律レベル1(AL1)から完全自律型船舶(AL5)までの船舶の自律レベル/リモートアクセスに関する定義を更新しています。
ロイド 船級協会について
信頼できる海事アドバイザーであり、海運経済における包括的パフォーマンス向上の促進に向け、顧客と提携をしています。
ロイド レジスター(LR)は、海洋工学と技術を専門とする世界的な専門サービスグループです。世界初の海事産業における船級協会の設立から260年以上の伝統を持つLRは、船舶の安全基準を設定し、改善することに日々専心しています。
今日では、LRは、海洋およびオフショア産業における船級およびコンプライアンス・サービスのリーディング・プロバイダーとして、顧客が安全および環境コンプライアンスに適合した資産を設計、建造、運用できるよう支援しています。また、船隊のパフォーマンス、船隊の最適化、航海の最適化に関するアドバイス、サポート、ソリューションを提供し、顧客のデジタル機能を強化しています。当社のデジタル・ソリューションは2万隻以上の船舶に利用されています。
ゼロ・エミッションに向けた競争においても、当社の研究、技術的専門知識、業界初の取り組みは、安全で持続可能な海事エネルギーの移行を支援しています。ロイド・レジスター・グループは、ロイド・レジスター財団(Lloyd's Register Foundation)の完全所有であり、政治的にも財政的にも独立した世界的な慈善団体で、安全と教育を促進しています。
詳しくは lr.org
NPL(National Physical Laboratory)について
NPLは英国の国立物理学研究所であり、英国の繁栄と生活の質を支える測定能力を提供しています。
耐性菌に対処する新しい抗生物質や、より効果的な癌治療から、安全な量子通信や超高速5Gまで、技術の進歩が成功するには信頼できる計測の基礎の上に築かれなければなりません。100年以上にわたって培ってきた専門知識を基に、私たちの科学、エンジニアリング、テクノロジーはこの土台を提供しています。私たちは、人命を救い、環境を保護し、市民が安全で安心できるようにするだけでなく、国際貿易や商業上のイノベーションも支援しています。国立研究所として、私たちのアドバイスは常に公平で独立したものです。つまり、消費者、投資家、政策立案者、起業家は、NPLの活動を常に信頼しています。
ロンドン南西部のテディントンに本拠を置くNPLは、600人以上の科学者を擁しています。NPLはまた、サリー大学、ストラスクライド大学、ケンブリッジ大学、ハダースフィールド大学の3Mバックリー・イノベーション・センターなど英国各地に拠点を置いています。
詳しくは www.npl.co.uk をご覧ください。
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吉田 麻貴(日本語)
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