「ビル再生100の物語」商品ラインを増やす。
ビル再生100の物語 第43話
テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。
それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。
内装のリニューアルがしたくてもコスト負担が重く、一度に全室は無理。それすら武器になることもあります。
品川区にある1室70㎡程度のビル。築年から間取り変更などの内装の大規模なリニューアルをしたかったのですが、部屋数が多く、一気にやるほどのコスト負担はできず、悩みとなっていました。
満室続きのビルに長期空室が出るようになった
1980年に賃貸住宅として新築されたこのビルは時代の変化から、徐々に住宅を事務所に変更、内装も畳からタイルカーペットとして対応しました。TOCビルにほど近い上、山手線の五反田からも徒歩圏であり、38㎡と72㎡の2タイプあることで手ごろ感もあり、ベンチャー企業や分室需要などで満室が続いてきました。
しかし数年前から徐々に空室が目立つようになり、馴染みの業者に任せてすぐ申込みがとれていた時代からは変化を感じるようになっていました。思い切った低価格路線を引いて効果が出ていた時期もありましたが、安くしても決まらなくなってきたことから焦りが出てきました。
思い切った改修をしてみる
住宅の間取りを床材を変えるなどしてマイナーチェンジしただけでは成約がとれないことから、スケルトンからの改修という思い切った改修をしてみました。
実は、以前入居していたテナントが天井を外して天高を上げたり、間取りを改修した内装が、居抜きで決まるようなことがあり、そこにヒントを得たのです。
デザイナーの意見を取り入れ、フローリング調のフロアタイルに一部アクセントウォールを設置するなど、今までのオフィスとは全く違ったコンセプトの内装とした結果、程なくして申込みがはいり、低価格路線から坪単価1,000円以上アップした賃料で成約できました。
さらなる改修をかけつつ旧間取りも生かす
さらに思い切った改修をもう1室行いました。前回同様スケルトン解体して、デザイナーに依頼してカウンターキッチンを中心にしたコンセプトのオフィスとしました。トイレも1個から2個にするなど、72㎡と小ぶりながら女性うけも狙った結果、坪単価が既存の部屋から2,000円以上アップでき、前回以上に大成功でした。
ただ、同時期に退去した既存の間取りの部屋を改修するか悩みました。一気に2室改修することはコスト負担も倍となり、同時期の改修はキャッシュフローとのバランスから難しいのです。
悩んだ結果、その部屋は既存の間取り、条件で募集することにしたところ、改修したデザイナー仕様の部屋の注目度に引っ張られたこともあり、早期に成約することができたのです。
もともと募集していた馴染みの業者からすると既存の募集条件で顧客を抱えていることもあり、やりやすいのです。
また、デザイナー仕様の部屋は、デザイン物件に慣れた新規の業者との付き合いもできます。
新旧混ぜた商品ラインとしたことで、バランスよく埋めることができ、期間ロスを避けることができました。