[奈文研コラム]古い建物、「ぐるぐる」

 古い建物を見よう、と思い立ったら、まずは国宝・重要文化財といった、華やかな肩書に心惹かれるのが常というものではないでしょうか。ところが大多数の日本人にとって、そういった建物界のスーパースター達は、ともすれば何か月も前から旅行の計画を立ててやっと会いに行くものです。

 確かに国宝・重要文化財は、古く・美しく・珍しく、さすがはと心動かされる素晴らしいものばかりですが、そんな特別な機会にしか日本の古い建物を楽しめないのでは物足りません。ぜひ、身近な「ふつうの」古い建物を楽しんでいただきたい、と私は思うのです。

 とはいっても、解説板もないような建物を見に行っても何を見ていいのかわからない、という方も多いでしょう。

 そこで今回は、「絵様(えよう)」に注目しては、というご提案をしてみようと思います。絵様というのは、虹梁(こうりょう:梁の一種)の表面に彫ってある、あのぐるぐる模様の事です。神社やお寺の建物には必ずと言って良いほどあるものなので、気を付けて探してみてください。

 このぐるぐる模様には時代によっておおよそ以下のような傾向があるといわれています。

① 古いものほど真円に近い
② 古いものは彫りが細く浅い
③ 新しいものほど絵画的で装飾が多い

 図1・2に例を挙げ、特徴の出やすいポイントを図解しました。神社・お寺を訪ねたら、全体のスナップを撮るついでに絵様の写真もコレクションしてみてください。並べてみると、何気なく見ていた渦巻きが意外なほど個性豊かなことに驚くことでしょう。


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