乳がんになりやすいって本当!? 豊かな胸に憧れる女性の不安をきちんと解説

2021-04-26 12:00

豊胸するとがんになる――。

そんな噂を時々耳にします。しかし、現在、日本で実施されている豊胸術において、発がん性について心配する必要はほとんどありません。ほとんど……と申し上げたのは、すでにがんのある人にとっては、豊胸術を受けることでがん細胞増殖のリスクが高まる可能性があるからです。ですから、豊胸術を受ける前には、必ず乳がん検診を受けるようにしましょう。

また、現在がんがなくても、将来の乳がん検診に備えて、検診を受けやすい豊胸術を選ぶことも大切です。今回は、乳がんと豊胸術の関係を探っていきます。

成長因子に働きかける成長再生豊胸…注意が必要なのは既に乳がんの人

豊胸術とがんの過去の関係

乳がんと豊胸術の関連が疑われはじめたのは、今から50年以上前のことです。当時、頻繁に行われていた豊胸術として、液状のシリコンオイルを、直接バストに注射する方式がありました。体内に直接大量の異物を注入するので、何らかの病気が発生してもおかしくはありません。シリコンオイルに含まれる成分が、がんを誘発した可能性があります。また、シリコノーマと言って、シリコンによってできた塊が大きなしこりになって、それが乳がんの診断の妨げにもなりました。

その後、直接、シリコンオイルを注入する方式は、改められて、シリコンバッグを挿入する方法に切り替わっていきました。バッグであれば、バスト内に成分が散らばる危険がないからです。

しかし、1990年代になると、今度は、シリコンバッグによる発がん性が疑われるようになりました。これは、その後約10年の時を経て、2000年代に入ってから、発がん性は否定されました。しかし、2019年には、再び発がん性が問題になりなりました。このがんは、「ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫」(BIA-ALCL)と呼ばれるがんで、シリコンバッグの周囲にたまった水分のなかに、増殖性の腫瘍が発生するタイプのものです。もちろんすべてのシリコンバッグで同様のことが起きたわけではなく、ごく一部の製品に限って発生した事案です。このタイプのバッグはすでに販売停止となっていますから、これから豊胸術を受ける人にとっては問題ありません。

かなり前にシリコンバッグを挿入した人は、自分の体内に入っているバッグの種類を確認し、もし、該当するようであれば、定期的に自分のバストを観察するのと、できれば検診を受けてください。そして、バッグの周囲に液体が溜まっているようであれば、できるだけ早く、適切な方法で抜去することをおすすめします。

ヒアルロン酸はがんの原因になるのか!?

2019年にはヒアルロン酸注入法でも発がん性をうたう研究発表がなされ、ざわつく事件となりました。しかし、ヒアルロン酸には発がんを抑制する力と、発生させる力、その両方が備わっていることは昔から知られていることで、健康な状態の人であれば何ら問題がないというのが、医療界の常識となっています。

豊胸術の実施前に乳がん検診を受けよう

南クリニックが推奨している豊胸術「成長再生豊胸」もヒアルロン酸による豊胸術と同じようなことがいえます。健康な人であれば、がんとの関連を示すものはありませんが、すでにがんを持っている人の場合には、脂肪細胞を増殖させる成長因子の作用によって、がんも増殖させてしまう可能性があります。ですから、カウンセリングでは必ず既往症やご家族のがん罹患について確認させていただいています。もし、少しでもリスクがあれば必ず、乳がん検診を受けていただけるように、お伝えします。

乳がんは定期的な検査が一番効果的

乳がんは早期発見、早期治療のかなう病気

豊胸術をする、しないに限らず、乳がん検診は女性とって、欠かせないものです。日本では女性の14人に1人が乳がんに罹患するといわれています。そのうちの3割が毎年、亡くなっているという統計が出ています。

それだけ多くの人が命を落とす乳がんではありますが、早期に見つけやすいがんでもあります。最低でも2年1度は乳がん検診を受けることで、早期治療、そして完治の道も十分にあり得ます。

自治体などで金銭的補助が出るのは40歳以上ですが、40歳未満であっても、検診は必要であると厚生労働省も発表しています。また、自身でバストを触ってしこりがないか、鏡で見て形に変化がないかなど、チェックを続けることも大切です。

乳がん検診の種類とそれぞれの特徴

乳がんの検診には大きく3つの検査があります。国が推奨しているのはマンモグラフィですが、マンモグラフィとエコー検査を定期検診ごと、順番に行うとさまざまな大きさのがんに対応できる可能性があります。

視触診

ドクターが直接バストに触れ、しこりや陥没がないか、分泌液は漏れていないか、リンパ節に腫れがないかを確認する検査です。厚生労働省のガイドラインでは、現在「視診と触診は推奨しない」となっており、定期検診では視触診を行わない医療機関が増えています。理由は「死亡率減少効果 が十分ではなく、精度管理の問題もある」とされていますが、若い人ではがんの進行が早い傾向があります。ドクターに実施してもらえない場合には、自身で月に一度はバストに触って、チェックするようにしてください。

マンモグラフィ(乳房X線撮影検査)

X線でバストを撮影する検査です。機械に片方ずつバストを挟み、押しつぶして撮影が行われます。厚生労働省が乳がんの検査としてもっとも推奨している検査です。早期がんを発見するのに適しており、小さな石灰化のある乳がんをはっきりと写し出せる特徴を持っていますが、若い女性の場合、乳腺組織が真っ白に写ってしまい、石灰化の発見が困難なことがあります。

乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)

バストに超音波を当て、跳ね返ってくる音から画像を映し出す検査です。マンモグラフィと違いX線を使用しないため、妊娠の可能性のある人でも検査を受けることができます。脂肪量が多い人では深部まで超音波が届かない場合がありますが、病変の検出精度が高い方法です。

検査を妨げる豊胸術で、手遅れになることも……だから豊胸なら「成長再生豊胸」

マンモグラフィと他の豊胸術との残念な関係

マンモグラフィは、シリコンバッグ挿入法の施術を受けている人には不向きです。撮影時にはバストを強く圧迫しますから、バッグが破裂する危険性があるからです。医療機関によってはシリコンバッグを入れていると、検査そのものを断られてしまう場合もあります。

また、ヒアルロン酸注入法でも、乳腺がバスト表面に押し上げられて白く写ってしまい、腫瘍があっても読み取れないことがあります。

脂肪注入法では大きなしこりができていると、バストを圧迫したときにしこりがつぶれる危険性があります。さらに、そのしこり自体が、がんの検出の邪魔になることもあります。

厚生労働省が乳がんの検査として、もっとも有効だとしているマンモグラフィで情報を得られないのは悩みどころです。シリコンバッグ挿入法、ヒアルロン酸注入法、脂肪注入法を受けた経験のある人は、検査前に必ず申し出て、乳腺エコー検査も並行して受けるようにするべきでしょう。

すべての乳がん検診を問題なく受診できる豊胸術は「成長再生豊胸」だけ

南クリニックがおすすめする豊胸術「成長再生豊胸」の施術は、乳がん検診の検査方法で不具合が生じることはありません。バスト内にあるのは、患者さん自身の脂肪細胞と乳腺です。

ですから、自然のままのバストと変わりなく、検査を受けることができるのです。マンモグラフィでバストを強く圧迫しても危険はありませんし、しこりの形成や石灰化が起きることもありませんから、触診で腫瘍と間違えられることもありません。安心して乳がん検診を受けてください。

ただし、冒頭でも述べた通り、成長再生豊胸の施術を受ける前にも乳がん検診を受けるようにしましょう。がんのリスクを最小限にしたうえで、自身の希望に沿ったバストアップを目指してください。

南クリニック院長:南晴洋

南クリニック院長:南晴洋

京都第二赤十字病院形成外科勤務、大手美容外科院長を経て1997年 南クリニック開業。創業以来、豊胸に力を入れている。注射で豊胸を行う「成長再生豊胸」を海外の学会でも発表。

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