生ごみを堆肥にする「コンポスト」って知ってる? 「よく知っている」27.4%、「ある程度知っている」39.5% キッチンから「よりよい未来をつくる」取り組みとして注目が集まる シリーズ「みんなのSDGs」
ごみの削減は、社会全体として取り組むべき課題のひとつ。その解決方法を探るなかで注目を集めているのが、コンポストです。コンポストとは、調理の過程で出た野菜や果物の皮、魚の骨、肉の脂などの生ごみ、落ち葉などの有機物を、微生物の働きで発酵・分解し、堆肥にすること(またはその装置)ですが、近年の環境問題の高まりとともに改めて注目が集まっています。そこで、コンポストへの関心度や実践している人の割合など、今どきのコンポスト事情をリサーチしてみました。
ダイジェスト
コンポストについて「よく知っている」27.4%、「ある程度知っている」39.5%
始めたきっかけは「生ごみの削減」 や「栄養豊富な堆肥が自分でつくれる」
「今後試してみたい」35.4% 、ごみ問題の解決の糸口になるかも!?
コンポストには、庭の土を利用する「設置型」、容器を回転させて堆肥化に必要な酸素を生み出す「回転式」、生ごみと基材を入れてかき混ぜる「バッグ型」「段ボール型」など、さまざまな種類があります。たいらさんが開発した「バッグ型コンポスト」は、トートバッグくらいの大きさで、ベランダや玄関前など、ちょっとしたスペースに置けるコンパクトさが魅力。庭がないマンション暮らしの人などから、気軽にトライしやすいと話題になっているようです。
さらに、生ごみの削減にとどまらず、堆肥化される過程そのものが楽しいといった感想も多く寄せられました。たいらさんがプロデュースしたバッグ型コンポストの場合、生ごみを投入→混ぜるを約2カ月繰り返し、袋を閉めて2 〜3週間熟成させると、中のごみが微生物の働きで発酵・分解されて堆肥が完成します。「揚げ油をコンポストに入れたらとてもいい堆肥になった」(オレンジページスタッフ)、「自家製の堆肥ができると家庭菜園にやりがいを感じられる」(50代・自営業)、「食べ物を使いきる大切さを実感したことと、花や作物を育てる楽しみ、ワクワクした気持ちを味わえる」(50代・パート)など、自分が投入した生ごみが堆肥に変化したり、新たな作物が生長する様子を間近で見ることで、モチベーションがより高まるよう。学校の先生をしている読者からは、「生態系や環境問題について学びながら収穫も楽しめて、よい教材になりそう」という意見もありました。
「今後試してみたい」35.4% 、ごみ問題の解決の糸口になるかも!?
コンポストを試してみたいという人は3割以上。そのいっぽうで、メリットは理解しつつも「使いたくない、迷っている」という人も約半数に。理由としては、「においや虫の発生が心配」53.1%、「堆肥の使いみちがない」51.3%が多く、とくに「マンションに置けるのか?」(40代・専業主婦)について気にする人が目立ちました。ただし、近年はこうした不安を考慮し、省スペースの小さいサイズのものや、においや虫がわきにくい機能を備えたものなど、誰でも使いやすいコンポストも出てきています。また、自治体によってはコンポストの購入補助や、堆肥を引き取る制度を設けているところも。ひと昔前に比べると、ずいぶんハードルが下がってきているのは確かです。
現在、日本の家庭から廃棄される生ごみは、約1000万トンといわれます。生ごみは水分を多く含むため、焼却される際に多くのエネルギーを消費し、CO2を排出しています。最近のコンポストはベランダでも使えるものもあるため、集合住宅に住んでいる人でもトライしやすく、生ごみを削減し、資源に変える大きな力を秘めています。よりよい未来をつくる取り組みとして、今後ますます注目を集めてきそういきそうです。
アンケート概要
●調査対象:オレンジページメンバーズ・国内在住の20歳以上の女性(有効回答数1572人)
●調査方法:インターネット調査
●調査期間:2021年2月25日~3月1日
●「オレンジページくらし予報」について
読者モニター「オレンジページメンバーズ」には、さまざまなくらし情報・くらし体験によってはぐくまれた“くらしの目利き”たちが数多く所属しています。そんなメンバーたちの声を集めて<次のくらし>を読み解いていくのが「オレンジページくらし予報」です。WEB上でのアンケート調査、座談会など、ご相談に応じて展開いたします。
●『オレンジページ』について
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