天才哲学者マルクス・ガブリエルの最新刊『時間・自己・幻想 ―東洋哲学と新実在論の出会い』4月17日発売
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、マルクス・ガブリエル氏の新刊『時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い』(大野和基インタビュー・編/月谷真紀訳)を2025年4月17日に発売します。ガブリエル氏は、ドイツ哲学の旗手であり、「新実在論」の提唱者として知られていますが、今回あえて東洋哲学を語る理由として、「私の存在論は、両者(西洋哲学と東洋哲学)の統合を目指している」ことを挙げています。本書は、史上最年少でボン大学正教授に就任した「天才哲学者」が、仏教・中国思想・日本哲学の現代における価値を語り、時に批判を行なう内容で、PHP新書の「世界の知性」シリーズの一冊として発刊いたします。

西洋思想と東洋思想の最大の違い
ドイツ人であるガブリエル氏の研究は、西洋哲学に偏っていると思いがちですが、本書の中で、「14歳頃から私の知的発達において、東洋思想に触れない時期はほとんどなかった」と明かしています。そして、二つの思想の大きな違いを次のように述べています。
「西洋哲学が不変のものを探求する一方、日本人が問うのは、『変わらないものが存在するという幻想はなぜ生じるのか』です。東洋思想の立場からすると、西洋の形而上学は、初期からずっと幻想なのです」
本書では、これまで氏の著作の中で断片的にしか語られてこなかった東洋哲学と新実在論とのかかわりを正面から取り上げています。
「入れ子構造の危機」の時代に、東洋思想が示す可能性
私たちが今直面している危機をガブリエル氏は「入れ子構造の危機(nested crisis)」と呼び、量子力学から国際関係まで、一つの危機が別の危機に組み込まれ、相関関係を持った状態であると看破しています。現代のような拠って立つべき価値が見えづらくなっている時代を深く理解するには、西洋哲学だけでは十分ではなく、東洋思想が重要な役割を果たすとガブリエル氏は主張するのです。現実はネットワークのネットワーク、すなわち「入れ子構造」であると考え、安定した客体や点は関係の動きの結果にすぎず、客体は無限の関係が一時的に停止した点でしかないと述べています。こうした今起きている事象の本質を理解するには、西洋哲学、東洋思想を総動員しなければならないのです。
「世界の知性」シリーズで4作目となる最新刊
2020年2月刊のガブリエル氏の著書『世界史の針が巻き戻るとき』からスタートした「世界の知性」シリーズは、本作で14作目となり、累計発行部数は50万部を突破しました。なかでもガブリエル氏は、同シリーズでこれまで3冊、語り下ろしており、最新作の『時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い』は4作目になります。
本作のインタビュアーである大野和基氏と編集部は、今回、ガブリエル氏に東洋哲学をテーマとしたインタビューを敢行した理由として、「ガブリエル氏が東洋哲学に大きな関心を抱いていることと、拠って立つべき価値が見えづらくなっている時代において、東洋哲学の価値を現代ドイツ哲学の第一人者が語ることに意義があること」の二つを挙げています。
目次より
●日本には実体があるが、アメリカには実体がない
●「新実在論」のアイデアが生まれた場所
●仏教と資本主義は両立するか
●新実在論と仏教─「世界」に囚われず生きる
●ローマ帝国の終焉を予見していたパウロ
●なぜ酒を飲んではいけないのか
●異教徒を排除する宗教、排除しない宗教
●『老子』と西洋近代哲学の違い
●デカルトよりも西田が優れていた点
●西洋哲学は不変を追求し、東洋思想はそれを幻想と見なす
●社会の変革という考えから卒業する必要がある
『時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い』について
著者略歴

マルクス・ガブリエル[Markus Gabriel]
1980年生まれ。史上最年少の29歳で、二百年以上の伝統を誇るボン大学の正教授に就任。西洋哲学の伝統に根ざしつつ、「新しい実在論」を提唱して世界的に注目される。著書『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)は世界中でベストセラーとなった。さらに「新実存主義」「新しい啓蒙」と次々に新たな概念を語る。京都哲学研究所シニア・グローバル・アドバイザー。著書に『世界史の針が巻き戻るとき』(PHP新書)など。
インタビュアー・編者略歴
大野和基(おおの・かずもと)
1955年、兵庫県生まれ。大阪府立北野高校、東京外国語大学英米語学科卒業。1979~97年渡米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。その後、現地でジャーナリストとして活動。97年に帰国後も取材のため、頻繁に海外に渡航。世界的な識者への取材を精力的に行っている。著書に『代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『私の半分はどこから来たのか』(朝日新聞出版)。訳書に『世界史の針が巻き戻るとき』、『アメリカの罠』(文春新書)、インタビュー・編集を担当した書籍に『わかりあえない他者と生きる』など。
訳者略歴
月谷真紀(つきたに・まき)
翻訳家。上智大学文学部卒。訳書に『わかりえあえない他者と生きる』(マルクス・ガブリエル著、大野和基インタビュー・編、PHP新書)、『ファイナンスをめぐる冒険』(オーニー・パットン・パワー著、英知出版)、『Learn Better』(アーリック・ボーザー著、英治出版)、『ストーリーが世界を滅ぼす』(ジョナサン・ゴットシャル著、東洋経済新報社)など。
書誌情報
書名:時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い
著者:マルクス・ガブリエル
インタビュー・編者:大野和基
訳者:月谷真紀
定価:1,320円(税込)
判型・製本・頁数:新書判・並製・208ページ
ISBN:978-4-569-85901-9
シリーズ:PHP新書
発行:PHP研究所
発売日:2025年4月17日