腎臓を大切に! 気温上昇、運動不足とのダブルパンチにご注意下さい
これから夏に向けて水分補給増で腎臓に負荷がかかる時期、腎臓に不安のある方へ、正しい知識があなたの将来を守ります

熱中症対策は「水分補給だけは欠かしませんでした」という方も多いことでしょう。あなたの腎臓はいつも人知れず猛烈に働いています。腎臓は体内の水分調節の要です。「沈黙の臓器」といわれる腎臓は、もし腎臓機能が落ちても、2~3割なら腎臓が頑張ってくれているのです。歳をとってから夜中にトイレに起きるようになるのはどうしてでしょうか? それは腎臓が弱ってくると効率よく尿を作ることが難しくなり、尿を作る腎臓の働きが夜に持ち越されるためです。健康診断などで、「腎臓の数値が悪い」といわれている方!
特に自覚症状がないからといって対策を立てないと、気が付いた時には、人工透析の一歩手前まで来ていた、なんてことになりかねません。「まだまだ大丈夫だと思うけど、何となく心配」という方、『腎臓病をよく知りともに闘っていく本―腎臓病治療30年以上の専門医だから伝えられる治療に直結する腎臓病の真実』(桜の花出版、岩崎 滋樹 著)がお勧めです。
弱った腎臓を守ることは、長寿につながります。本書より、腎臓の働きについてご紹介しましょう。

夜中にトイレに起きることはありませんか?
腎臓の機能の第一は、「老廃物」を体外に排出し、かつ水分を失わないように調節することでした。ここで皆さん、もともとの腎臓は予備力があり、腎機能が落ちても、2~3割腎臓が頑張るため、見かけの腎機能はあまり変わりません。
そのため、まだ血清クレアチニンなどの腎機能検査では機能低下が明らかではなく、まだよくわかりません。でも変わってくるものがあります。
◇まず濃いおしっこを出す力が失われます。
そうなると同じ量の老廃物を外に出すためには、
◇薄いおしっこを多く出す必要がでてきます。そうしますと
◇のどが乾きますが、その症状はあまり気づかれません。
―でも尿の量が多くなるとどうでしょうか?
◇夜の間に膀胱がいっぱいになっておしっこをするために夜中に起きるようになります。
健康な人でも年々腎機能は低下する
腎臓はエネルギーである血液をいっぱい必要とする臓器です。
腎臓には1日約1500リットルの血液が流れます。効率よく老廃物を濃縮するためには多くのエネルギーすなわち血液量が必要です。
昼間は、頭や胃腸そして筋肉などがエネルギーを必要とするため、血液が奪い合いとなり腎臓が弱ってくると、限られた血液量から効率よく尿を作ることが難しくなり、作業を夜に持ち越します。
夜、特に睡眠中になると、さすがに頭や胃腸そして筋肉なども多くの血液を必要としなくなるため、腎臓が血液を独り占めして、毒素を外に出そうとして頑張るわけです。夜中の多尿は、腎臓がけなげに頑張っている証拠ですので、温かく見守っていくしかありません。
ですから、寝る前に水を飲まないという人がいますが、水を飲まなくても尿を出そうとしますし、水を飲まないと結果的に夜間の脱水になりますので危険です。
お年寄りは夜中によくトイレに行くといわれますが、明らかに腎臓機能が低下していなくても、加齢の影響で腎機能は低下します。
そのため多くの高齢者が夜間にトイレに起きることになります。
腎臓を守ることは健康長寿につながる
慢性の腎臓病患者さんも、推定1,330万人で、日本人の1割以上を占めています。
治療が必要とされる患者さんだけでも約600万人と推測されており、その数の多さから「新たな国民病」とも言われています。
高齢になると、ほとんどの人は腎臓が弱ってきているのです。腎臓を守ることは、動脈硬化を抑制し、命を落とす危険のある心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げます。ズバリ、健康長寿につながるのです。もともと腎臓が弱くないと思っていた方々も、寿命100歳時代を見越して、腎臓の保全に心がけていくことは大切です。
腎臓病診療30年以上の専門医からのメッセージ
<はじめに>より
ー腎臓病の本来の姿を知ることにより、一人ひとりにあった腎臓病の悪化を防ぐお手伝いができるために―
この本は、腎臓病の悪化を防ごうと一生懸命大変努力している多くの患者さんとお話ししている中で、腎臓病の本来の姿がわからず
● 必要以上の努力をされ疲れてしまった方々
● 努力の方向性が異なり、努力が報われていない方々
● 情報過多で何をどうしたら良いか混乱している方々
● 逆に、あと一息頑張れば良い結果を生むだろうと思われる方々
のために少しでも役立てられればとの思いで作りました。一人ひとりにあった腎臓病の悪化を防ぐお手伝いができるためには、一人ひとりの腎臓病の種類や病状が異なることから、腎臓病の本来の姿を知っていただくことが最適であると考えました。
そして、各々の患者さんにあった腎臓病治療をお手伝いするために「市民公開講座」や「腎臓病教室」を実施してきました。
10数年にわたる「腎臓病教室」と30有余年の診療経験で感じた手応えから、
「透析に至らない、もしくは透析になるべくさせない実感」
をこの本を通じて広く皆さま方と共有できればと思いました。
本著は、横浜市立市民病院で実施されている秘伝の「腎臓病教室」を実況中継に近い形でお届けすることを目標に書かせていただきました。
また、一部は講演だけでは完璧に理解しづらいと思われるところを丁寧に補足したつもりです。日々多くの患者さんと接してきた経験から、ご本人のみならず、旦那様、奥様、そして、ご家族の方々に、腎臓病の本質を理解していただくことが、結果として患者さんの腎臓病の治療効果に大きく影響したという実感を持っています。そのためお忙しいご家族の方にも短時間で容易にイメージし易く、共感しやすい形で提供できるように心がけました。
本書が、患者さんのみならずご家族にとって、腎臓病の本来の姿を知ることにより、一人ひとりにあった腎臓病の悪化を防ぐお手伝いができるための第一歩になることを祈念しております。
まずは手にとっていただき、ご興味のあるテーマからでも読み進めていただければ幸いです。
岩崎 滋樹
横浜市立市民病院 腎臓内科 部長
昭和大学医学部 腎臓内科学 客員教授
慶應義塾大学医学部 客員講師
イラスト、表、グラフ100点以上!直感的に理解できる『腎臓病をよく知りともに闘っていく本』

1章 腎臓病といわれたら
2章 腎臓を守ることが命を守ること
3章 透析にならないためには、どうすれば良いかわかってきた
4章 腎臓の状態をきちんと知るために
5章 腎臓病の原疾患(診断)はどうすればわかるか?
6章 ネフローゼ症候群の意外な真実
7章 腎臓の驚くべき能力の数々!
8章 腎不全になるとどうなるの?
9章 腎臓病の予想外の悪くなり方を知っておこう
10章 腎臓の負担を減らせたらびっくりした結果が!
11章 透析にならないために行うことは?
書籍『腎臓病をよく知りともに闘っていく本―腎臓病治療30年以上の専門医だから伝えられる治療に直結する腎臓病の真実』
著者:岩崎 滋樹(いわさき しげき)
定価:1,380円(税別)
ページ数:160ページ
ISBN-10:4434245112
ISBN-13:9784434245114
発売日:2018/4/17
サイズ:A5判並製本 14.8 x 21 x 1.3 cm
発行:桜の花出版/発売:星雲社