【名城大学】外国語学部の宮下ゼミが「名城大学難民映画祭」を初開催
深刻化する難民問題について知り・伝え・行動する社会連携実践演習に取り組む外国語学部の宮下大夢准教授とゼミ学生が7月15日、ナゴヤドーム前キャンパスで「名城大学難民映画祭」を初めて開催し、在日ミャンマー人家族に起きた、切なくも心温まる感動の実話『僕の帰る場所』を上映しました。一般市民も参加可能な講座とあって、親子連れや学生など60人以上が参加しました。
映画上映に先立ち、宮下ゼミ3人の学生が難民問題の概要を説明。鶴田莉彩さん(4年)が2023年末時点で難民・避難民が1億1,730万人を超えたこと、田口真帆さん(同)からは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界難民の日について、河合琴音さん(同)は2023年の日本での難民申請が1万3,823人に対して303人の受け入れで世界の中でも極めて少ない現状などを、それぞれ報告しました。
宮下准教授「ミャンマーや難民のことを考えてもらうきっかけに」
上映作品の舞台であるミャンマーについて宮下准教授から解説。日本で暮らすミャンマー人は約8万7千人(2023年末時点)で、この1年で3万人増加。独立後50年以上、国軍支配が続いていたが2015年の総選挙でアウンサンスーチー氏率いる民主側が勝利。
しかし、2021年1月に再びクーデターで軍政権が復権しています。「世界はロシアのウクライナ侵攻、パレスチナのガザ地区の問題に関心が向けられているが、ミャンマーも内戦で少なくとも5千人が亡くなっている」と悲惨な現状を話しました。
上映終了後、宮下准教授はミャンマーの友人からのメッセージも紹介。「国軍だけでなく、少数民族の武装勢力の攻撃も進み、毎日内戦でミャンマー人同士が戦い、亡くなっていて悲しい」「武器を持って戦うのではなく、テーブルに座って、時間がかかってもいいから解決を」という悲痛な叫びを紹介しました。宮下准教授は「今回の映画祭が、ミャンマーや難民のことを考えるきっかけになってくれたら嬉しい。今後も学内外で難民の現状を知ってもらう企画をゼミ生と共に考えて実施していきたい」と話しました。
上映作品
『僕の帰る場所』(英題:Passage of Life)
監督・脚本・編集:藤元明緒 / 製作年:2017年 / 製作国:日本、ミャンマー
<あらすじ>
―ある在日ミャンマー人家族に起きた、切なくも心温まる感動の実話―
東京の小さなアパートに住む、母のケインと幼い二人の兄弟。入国管理局に捕まった夫アイセに代わり、ケインは一人家庭を支えていた。日本で育ち、母国語を話せない子ども達に、ケインは慣れない日本語で一生懸命愛情を注ぐが、父に会えないストレスで兄弟はいつも喧嘩ばかり。ケインはこれからの生活に不安を抱き、ミャンマーに帰りたい想いを募らせてゆくが——。
世界的な関心事項である”移民“という題材を、ミャンマーでの民主化の流れや在日外国人の家族を取り巻く社会を背景に描く。出演者の多くには演技経験のないミャンマーの人々を多数起用。まるでドキュメンタリーを思わせる映像は、ミャンマー人一家の生活を優しく見守りつつ、彼らが置かれた厳しい環境をありのままに映し出すシビアな眼差しで貫かれている。
同作品は、第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門作品賞と国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞。