工学院大学・武藤 恭之准教授らの国際研究チームが アルマ望遠鏡で“原始ミニ太陽系”をとらえる

工学院大学(学長:佐藤 光史、所在地:東京都新宿区/八王子市)の武藤 恭之准教授(教育推進機構)らの参加する国際研究チームが、アルマ望遠鏡を用いて、生まれたての星であるおうし座DM星の周りに存在する円盤の詳細な構造を観測しました。その結果、周囲の原始惑星系円盤の塵の分布を、6天文単位(1天文単位は、太陽と地球の間の距離)という、これまでにない高い空間解像度でとらえることに成功しました。この円盤は、私たちの太陽系とよく似た構造を持つことが明らかになり、太陽系の起源の解明に向けた大きなステップとなりました。

おうし座DM星周囲の原始惑星系円盤の観測画像 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO),Kudo et al.

本件のポイント

●武藤 恭之准教授(教育推進機構)らの参加する国際研究チームが、アルマ望遠鏡を用いておうし座DM星の原始惑星系円盤の構造を観測し、その塵の分布を6天文単位というこれまでにない高い空間解像度でとらえることに成功。
●おうし座DM星の周りに存在する円盤に太陽系とよく似た構造があることを明らかにした。
●今回の発見により、おうし座DM星は「私たちの太陽系と似た姿の惑星系はあるのか?」「地球のような惑星は他に宇宙に存在するのか?」という問いに答える鍵を秘めた天体であることがわかった。

本件の概要

武藤 恭之准教授(教育推進機構)らの参加する国際研究チームが、アルマ望遠鏡を用いて、地球からおよそ470光年離れた、太陽の半分程度の質量の若い星であるおうし座DM星を観測し、周囲に存在する塵やガスでできた「原始惑星系円盤」における塵の分布を、6天文単位というこれまでにない高い空間解像度でとらえることに成功しました。

その結果、この円盤には、中心の星から3天文単位程度の距離にリング状の構造があることが見いだされました。この距離は、私たちの太陽系においては小惑星帯が存在する領域に相当します。他にも、私たちの太陽系と似たような構造が発見され、この天体が、中心星の質量が軽い「ミニ太陽系」の原始的な姿であるかもしれない、ということが示唆されました。
今後、さらに観測を積み重ねることで、太陽系の起源を探ることにもつながると考えられます。例えば、今回使用したアルマ望遠鏡(電波観測)に加えて、現在国立天文台ハワイ観測所で開発されている、すばる望遠鏡(赤外線観測)用の新装置「SCExAO(スケックスエーオー)」を用いることで、電波と赤外線の二種類の観測の協力連携を通じ、惑星形成過程への理解がより深まることが期待されます。

また、武藤准教授は「惑星とガス円盤間の相互作用に関する理論的研究とそれに基づいた原始惑星系円盤の観測的研究」で2018年度の日本天文学会研究奨励賞を受賞しました。授賞式は、法政大学で開催される日本天文学会春季年会中、2019年3月16日(土)に行われます。

●地球型惑星の形成現場を描き出す~アルマ望遠鏡で捉えた原始ミニ太陽系~
研究発表掲載ページ: https://alma-telescope.jp/news/press/dmtau-201903 |アルマ望遠鏡 - 国立天文台

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学校法人 工学院大学 総合企画部広報課
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