予防ワクチン-市場シェア分析、産業動向・統計、2024～2029年成長予測
株式会社グローバルインフォメーション（所在地：神奈川県川崎市、代表者：樋口 荘祐、証券コード：東証スタンダード 4171）は、市場調査レポート「予防ワクチン-市場シェア分析、産業動向・統計、2024～2029年成長予測」（Mordor Intelligence Pvt Ltd）の販売を1月30日より開始しました。
【当レポートの詳細目次】
https://www.gii.co.jp/report/moi1403109-preventive-vaccines-market-share-analysis-industry.html
予防ワクチン市場規模は、2024年に895億1,000万米ドルと推定され、2029年には960億4,000万米ドルに達すると予測され、予測期間（2024～2029年）のCAGRは1.42%で成長すると予測されます。
COVID-19のパンデミックは予防接種市場に大きな影響を与えました。麻疹、ポリオ、破傷風など他の疾病の予防接種キャンペーンが、戸締まり制限やCOVID-19管理のための資源流用のために深刻な影響を受け、予防接種数の減少につながったからです。例えば、2022年8月にVaccine Journal誌が発表した論文によると、HBVワクチン接種の減少により、2021年以降、HBV罹患率がわずかに増加し、それが何年も続く可能性があるといわれています。したがって、COVID-19のパンデミック時にHBVワクチンが減少したため、パンデミック初期にはCOVID-19以外のワクチンの市場が下落しました。同様に、2021年12月にCMR誌に発表された研究では、パンデミック時に米国の青少年の間で定期接種ワクチンの投与率が大幅に減少しました。しかし、COVID-19に対するワクチンが開発・承認されたことで、世界中で本格的なワクチン接種が開始され、数年間は市場を大きく押し上げることとなった。
新興国市場における感染症の蔓延、ワクチン開発における革新的技術、政府や国際機関からの資金提供の増加、予防接種プログラムに対する政府の関心の高まりといった要因が、市場の成長を後押ししています。
感染症罹患率の上昇は、予測期間における予防ワクチン需要を促進する主要因です。例えば、WHOが2021年10月に発表した「Global Tuberculosis Report 2021」によると、結核患者の多くはWHO地域の東南アジア（43%）、アフリカ（25%）、西太平洋（18%）で見られ、東地中海（8.3%）と欧州（2.3%）では少なかった。このように、人々の間で結核の負担が増加していることから、結核予防の必要性が高まっており、そのことが予測期間中の市場の成長を促進すると予想されます。さらに、WHOが2021年7月に発表したデータによると、推定5,800万人がC型慢性肝炎ウイルスに感染しており、毎年約150万人が新たに感染しています。同出典によると、C型肝炎ウイルスは血液を介して感染する病原体であり、最も一般的な感染形態は少量の血液への曝露です。従って、肝炎の負担が増加していることが、調査対象市場の成長を促進しています。
さらに、ワクチン技術の急速な進歩は、遺伝子工学、ワクチン送達技術、プロテオミクスの導入によって後押しされています。これにより、予防ワクチン製品の開拓が進み、市場の成長が促進されると期待されています。例えば、2021年3月にAAMCに掲載された論文によると、mRNA技術は、がんや感染症に対する将来のワクチンや治療法に革命をもたらすことが期待されています。また、2022年11月、NMPA中国はコンビデシア・エア社に緊急使用許可（EUA）を与えました。2022年10月、上海は、不活化ワクチン2回接種またはコンビデシア1回接種を受けた18歳以上の成人に対する吸入によるブースター・ワクチン接種を開始した最初の都市となった。
さらに、感染症の蔓延を防ぐために予防接種プログラムを組織する政府のイニシアチブの高まりや、ワクチン接種の必要性が、予測期間中の市場の成長を増加させると予想されます。例えば、2022年2月、インド保健家族福祉省のマンスク・マンダヴィア連邦大臣は、5歳以下の子供にポリオの点眼薬を投与することで、2022年の全国ポリオ予防接種活動を開始しました。このような要因から、この市場は予測期間中に成長すると予想されています。しかし、副作用のリスクやワクチン開拓の高コストが、予測期間中の市場成長の妨げになると思われます。
予防ワクチン市場の動向
COVID-19セグメントは予測期間中に著しい成長率を示す見込み
COVID-19セグメントは、予測期間中、予防ワクチン市場において著しい成長を遂げると予測されます。同分野の成長要因としては、世界各国におけるワクチン接種の継続的な推進、COVID-19の新規株の出現、COVID-19に対する新規ワクチンの発売と承認などが挙げられます。
COVID-19は、呼吸器系を侵す重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARSCoV2）によって引き起こされる感染症です。適切な段階で賢く治療しなければ、命にかかわることもあります。
WHOのコロナウイルス（COVID-19）ダッシュボードによると、2022年11月最終週には、世界で290万人以上のCOVID-19の新規症例が報告され、西太平洋地域からの症例数が最も多く、次いで欧州、南北アメリカとなっています。さらに、同じ情報源によれば、2022年11月29日までに130億回以上のCOVID-19ワクチンが接種されたが、これは最近、このような短期間に世界規模で接種されたワクチンの中で最も多い回数の一つです。
さらに、各国政府だけでなく、WHO、GAVI、ユニセフなどの組織も、COVID-19のリスクを低減できるよう、対象となるすべての人にCOVID-19ワクチンを提供することを目指しています。したがって、これらの団体は数100万回分のワクチンを発注しており、予測期間中に調査した市場の成長を後押しすると予想されます。例えば、2022年10月、ワクチンアライアンスであるGaviは、Gavi COVAX Advance Market Commitment（AMC）が支援する低所得国へのCOVID-19ワクチンの供給に関する契約をModernaと締結しました。この契約により、GaviはAMC参加者に代わり、Modernaの最低価格で最大1億回分のバリアント含有ワクチンを入手する権利を持つことになります。
さらに、効果的なワクチンの開発における企業の活動の増加や、ワクチン承認の拡大も、このセグメントの成長に寄与しています。例えば、2022年10月、EMAとCHMPは、SARS-CoV-2一次株を標的とするComirnatyとSpikevaxの使用拡大を提唱しました。委員会は、生後6カ月から4歳までの小児にComirnatyとSpikevaxを使用することを提案しました。同様に、米国FDAは2022年8月、Moderna COVID-19ワクチンとPfizer-BioNTech COVID-19ワクチンを二価ワクチンとして承認し、一次接種またはブースター接種から少なくとも2カ月後に単回ブースター接種として使用することを認めました。
したがって、人口の間でCOVID-19感染の負担が増加していること、政府の取り組みが増加していること、企業活動が活発化していることなどの前述の要因により、このセグメントは予測期間中に成長すると予想されます。
予測期間中、北米が大きな市場シェアを占める見込み
北米は、感染症の流行、ワクチン需要の増加、感染症を発症しやすい高齢者人口の増加、市場における主要参入企業の存在などの要因により、予測期間中に予防ワクチン市場で成長すると予想されます。
同地域における感染症負担の増加は、効果的なワクチン需要を促進する主要要因であり、市場の成長を後押ししています。例えば、WHOが発表したデータによると、2022年11月現在、メキシコでは約712万5,176件のCOVID-19確定症例が報告されています。また、同国では2022年11月10日までに2億2,315万8,993回分のワクチンが投与されています。
さらに、政府が予防接種プログラムの実施に力を入れるようになっていることも、市場の成長に寄与しています。例えば、2022年1月には、A型肝炎の蔓延を受け、ヌナヴィークでA型肝炎ワクチン接種キャンペーンが開始されました。このキャンペーンでは、18カ月から9歳までの子どもと、それ以前の予防接種キャンペーンに参加していない1970年から1981年生まれの成人にワクチンが提供されました。さらに、米国HHSは2021年1月、18～26歳の若年成人のヒトパピローマウイルス（HPV）ワクチン接種率を高めるという長期的な目標を掲げ、HPV VAX NOWキャンペーンを開始しました。
また、同国の予防ワクチン開発を加速させるための政府機関や国際機関からの資金提供の増加も、市場の成長を後押しすると期待されています。例えば、米国HHSは2021年1月、COVID-19パンデミックへの国の対応を支援するため、州、地方、地域に2,200万米ドル以上の資金を提供しました。このうち1,900万米ドル以上が、コロンビア特別区と国内の主要5都市を含む米国内でのCOVID-19の蔓延を監視・抑制するための検査、契約追跡、監視、封じ込め、緩和の取り組みに使用されました。
さらに、協業、提携、契約、上市、施設の拡大など、さまざまな事業戦略の採用に注力する企業が増加していることから、同市場における予防ワクチンの機会創出と入手可能性が期待されています。このことは、予測期間中の市場の成長を促進すると予想されます。例えば、2022年2月、カナダ保健省はCOVID-19に対する植物ベースのワクチンを成人への使用を承認しました。これは、ウイルスを模倣した非感染性粒子を生成する開発プロセスで植物を使用する技術に基づいています。さらに2021年4月、メキシコの保健規制当局COFEPRISは、インドのCOVID-19ワクチンであるCovaxinの緊急使用を承認しました。
したがって、感染症の発生率の高さ、予防接種プログラムやキャンペーンの増加、予防ワクチン開拓のための資金調達の増加、企業活動の活発化といった要因から、予測期間中に市場は成長すると予想されます。
予防ワクチン産業概要
予防ワクチン市場は細分化された競争市場であり、複数の大手企業で構成されています。市場シェアの面では、現在、少数の大手企業が市場を独占しています。主要参入企業には、AstraZeneca PLC、Emergent BioSolutions Inc.、第一三共、GSK PLC、Johnson &Johnson、Merck &Co.、Novavax Inc.、Pfizer Inc.、Sanofi SA、武田薬品工業などがあります。
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