【名城大学】建築学科の生田・萩原研究室が古民家「旧竹屋」(豊川市)の公開イベントを開催

「旧竹屋」でイベントを開催した学生たち

理工学部建築学科の生田京子教授と萩原拓也准教授の両研究室が共同で8月3、4日の2日間、かつて東海道五十三次の宿場町として栄えた愛知県豊川市御油町に残る築150年以上とも言われる古民家「旧竹屋」(旧森家)で、古き良き伝統的な建築を一般公開して見学・体験してもらうイベントを開催しました。地元の「御油夏まつり」に合わせての開催で、地域住民や観光客ら多くの来場者でにぎわいました。

東海道の宿場町の面影を今に伝える貴重な建物の保存・活用に向けて企画

建築学科では2023年度から「学びのコミュニティ創出支援事業(地域資源の発掘と活用)」として、豊川市御油町での取り組みを始め、さらに2024年度からは、地域の関係者と協働して、歴史的な景観や建築の価値、その使い方を検討する「歴史的景観の保全にむけた地域ネットワークづくり」を実践しています。その一環で、御油町の街道沿いにある「旧竹屋」について、豊川市の教育委員会や町内会組織である御油連区、所有する(株)イチビキなどと議論を重ね、合同で現地調査なども行い、建物の歴史的価値の調査や活用方法などを検討しています。

光が差す光景が印象的な吹き抜け

「旧竹屋」は、江戸時代に「竹屋」の屋号で定飛脚所を担っていた土井家が所有していた木造二階建ての建物です。近年、建替えが進むなか、宿場町の面影を今に伝える貴重な建物ですが、地元住民でも知らない人が多いため、生田・萩原研究室では「まずはその存在を知ってもらい、保存・活用に向けた機運を盛り上げよう」と今回のイベントを企画。学生たちは6月ごろから「旧竹屋」の建物を調査したり、郷土史に詳しい地元住民から街の歴史などを聞き取りしたりして、準備を進めてきました。

箱階段に神棚、吹き抜け、通り土間 学生の視点で魅力的な特徴が伝わる会場構成に

イベントには2日間で約20人の学生が参加し、往時のまま残る神棚やタンスなどの家具、薄暗い土間に光が差し込む吹き抜け、玄関から建物の奥まで抜ける通り土間、箱階段の収納など、学生たちの視点で魅力的と感じた建物の特徴が伝わるように会場を構成し、パネル展示や御油の昔の写真などを使った動画も活用して紹介。学生たちは来場者に作成したパンフレット「見どころフォトブック」を渡して丁寧に説明していました。

「旧竹屋」の歴史を紹介するパネル
「〇」で奥の庭に視線を誘導

「もともと部屋にあった昔の家具を利用したり、部屋の奥の庭に視線が行くように展示を工夫したりしました。現代では見られない造りを見て歴史を感じてもらえれば」と説明に汗を流した天野竜太朗さん(修士1年)。来場者の評判も上々で「昔はここで学習塾が開かれ、子供の頃に通っていました」と懐かしむ住民もいれば、「ここで古民家カフェを開いたら」と語る来場者もいました。

また、大勢の人出でにぎわった御油夏まつりの休憩所も兼ねてのイベントで、休憩スペースには「地元の方々と話し合い、国の天然記念物に指定され、今も御油の街道の両側に続く松並木をモチーフにして3種類ともデザインしました」(修士1年の川上依吹さん)という3パターンの暖簾を壁に掲示。来場者にお気に入りの暖簾を投票してもらい、今後、「旧竹屋」を活用していく際に「シンボル」として吊り下げることにしています。

萩原准教授「正確な築年数や構造など建築物としての調査も進めていければ」

「御油に住んでいても初めて『旧竹屋』を知ったという子ども連れの方がいましたが、見学して新鮮に捉えてもらいました」と、現地で学生とともに2日間、イベントに携わった萩原准教授。「現時点で建物の保存や活用の方針は未定ですが、今回の展示のような機会を増やして地元の方々に広く知ってもらい、豊川市や御油連区、所有者と連携して保存につなげていければ。また、正確な築年数や構造など建築物としての詳細な調査も進めていければ」と意欲を見せています。

来場者に説明する学生たち
3種類のデザインの暖簾
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