遠隔操作移動式コンベヤの開発 - 山岳トンネルにおける「掘削～ズリ出し」の無人化を目指して -
安藤ハザマ(本社：東京都港区、代表取締役社長：国谷 一彦)は、ICTにより山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取り組みとして「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM(R)／アイナトム)」の開発を推進しています(注1)。
この一環として、トンネル掘削の進捗に合わせて建設機械の離隔が変化することを補う「遠隔操作移動式コンベヤ(写真1)」を株式会社リョーキ(本社：広島県広島市、代表取締役：森川 英樹)と共同で開発しました。また、株式会社三井三池製作所の試験ヤードと当社で施工中の山岳トンネル現場にて実証試験を実施し、その有効性を確認しました。
- 開発の背景
山岳トンネル工事において切羽作業は最も危険な作業であるとともに、作業の多くが粉じんを伴うことから健康被害も懸念されます。
山岳トンネル工事におけるズリ出し手法の一つである連続ベルトコンベヤ工法は、切羽で発生したズリをホイールローダにより積込み運搬し、移動式クラッシャーへ投入する方法であり(写真2)、当社は移動式クラッシャーの遠隔操作システムを導入し、作業の省人化に取り組んできました(注2)。
また当社は、機械掘削工法において切羽での作業を削減する「積込み機能付きAI-ロードヘッダ」(注3)や、連続ベルトコンベヤの延伸作業を効率化する「日々延伸テールピース台車」(注4)などを開発してきました。これらの技術と、遠隔操作移動式コンベヤを組み合わせることで、山岳トンネル工事における掘削からズリ出しに至る工程の無人化を実現します(図1)。
- 遠隔操作移動式ベルトコンベヤの特長
山岳トンネル工事では、掘削の進捗に伴い連続ベルトコンベヤが切羽から離れていきます。日々延伸テールピース台車の導入により、連続ベルトコンベヤは切羽に近い位置を保つことが可能になったため、1日の中での距離の変化を遠隔操作移動式コンベヤにより調整対応します。
遠隔操作移動式コンベヤは以下の特長があります。
・タッチパネル式の遠隔操作装置により、現場詰所など快適な環境での運転が可能です(写真3)。
・周囲確認用カメラおよび衝突防止用ミリ波レーダーを装備しており、安全な作業を実現します。
・トンネル掘削の進捗に応じたズリ受け入れを容易にする、大型ホッパーを備えています(写真4)。
3.実証試験の結果
株式会社三井三池製作所の試験ヤードと当社で施工中の山岳トンネル現場坑内における実証試験では、遠隔操作移動式コンベヤを使用することで各種建設機械の適切な移動と、掘削ズリのスムーズな受け渡しが可能となることを確認しました(写真5、6)。
4.今後の展開
これまでに開発した各種建設機械の現場での実証実験により、さらなる改良を進めます。
安藤ハザマは、これからも自動化・無人化技術の開発を推進し、山岳トンネル工事の安全性、生産性向上を目指して取り組んでいきます。
(注1)山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM(R)／アイナトム)
自動化、遠隔化技術を活用して施工技術の高度化を図るとともに、施工情報を集中管理するプラットフォームを構築し、山岳トンネル施工の抜本的な合理化を進めるもの。
(注2)移動式クラッシャー遠隔操作システム
安藤ハザマ2021年4月5日リリース資料を参照
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2021/20210405.php
(注3)積込み機能付きAI-ロードヘッダ
安藤ハザマ2025年2月28日リリース資料を参照
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2025/20250228.php
(注4)日々延伸テールピース台車
安藤ハザマ2022年3月22日リリース資料を参照
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2022/20220322.php
