抗菌薬(抗生物質)に関する行動には一部改善が見られるが、 AMRに関する知識はまだまだ不足している。 「抗菌薬意識調査レポート 2024」発表
AMR臨床リファレンスセンターは、「抗菌薬意識調査レポート 2024」を発表しました。
感染症治療に使われる抗菌薬(いわゆる“抗生物質”)が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化しています。
日本でもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌と薬剤耐性大腸菌の感染症による死亡者数が、年間8,000人を超えるとの推計も出ており、1日あたり約22人が薬剤耐性菌により亡くなるという深刻な影響が懸念されています。AMRの問題は抗菌薬の不適切な使用が一因であり、その対策として私たちにできることは、抗菌薬の正しい知識を持って適切に使うことです。
AMR臨床リファレンスセンターでは、今年も一般の方727人を対象に抗菌薬に関する意識と行動の調査を行いました。その結果、意識の面では、一般の方の抗菌薬やAMRに対する認知度は昨年より改善がみられましたが、抗菌薬の適正使用やAMR、薬剤耐性菌への正しい知識は未だ不十分であることが判明しました。行動の面では、処方された抗菌薬を飲み切る人の割合が昨年より増加していました。
調査概要
- 調査方法 :インターネット調査
- 調査機関 :国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院
AMR臨床リファレンスセンター - 調査対象者:全国の15歳以上の男女
- 有効回答数:727サンプル
(10代/104名、20代/101名、30代/102名、40代/105名、
50代/103名、60代/108名、70代/104名) - 調査実施月:2024年7月
「抗菌薬意識調査レポート 2024」
【意識】抗菌薬、薬剤耐性の認知度は改善したが、正しい知識はまだまだ不足
●認知度
抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがある人は89.1%(昨年より8.2ポイント増加)
薬剤耐性、薬剤耐性菌という言葉を聞いたことがある人は42.8%(昨年より7.4ポイント増加)
●知識
「抗菌薬はウイルスに効かない」と正しい知識を持つ人は約6人に1人(16.0%)
「抗菌薬はかぜに効かない」と正しい知識を持つ人は約4人に1人(25.9%)
【行動】抗菌薬を適切に飲み切っている人が増えており、一部改善が見られる。
処方された抗菌薬を最後まで飲み切ったという人は74.1%で昨年より3.8ポイント増加した。適切ではない行動(自己判断で抗菌薬を飲むことをやめた)をした人は24.7%で昨年より5.0ポイント減少した。
詳しくは下記URLより「抗菌薬意識調レポート2024」をご参照ください。
URL: https://amr.ncgm.go.jp/pdf/20241004_report.pdf