日本メナード化粧品、肌の美しさを低下させる 「色ムラ」が生じるメカニズムを解明!
~紫外線によって「毛細血管の拡張・消失」が不均一に起こる~
日本メナード化粧品株式会社(名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、美しい肌色について研究を進めるなかで肌の美しさを低下させる「色ムラ」に着目し、肌の赤色の主要素である毛細血管が紫外線によって拡張したり、消失したりすることで、肌内部の毛細血管の分布が不均一になり、肌表面にまだらな赤みが現れ、色ムラが引き起こされることを解明しました。
肌の色ムラは肌の美しさを低下させる要因のひとつです。今回メナードでは、色ムラの中でも特に血液の色に由来する赤色のムラ(赤ムラ)に着目し、その発生メカニズムについて研究を進めました。
色ムラは頬など紫外線が当たりやすい部分で目立ちます。今回の研究では、紫外線が当たりやすい部分(露光部)と、紫外線が当たりにくい部分(非露光部)の肌について比較しました。
紫外線が肌内部の「毛細血管」を異常に拡張・消失させ「赤ムラ」を引き起こす!
露光部と非露光部の肌の内部を観察したところ、非露光部では毛細血管が均等に存在しているのに対し、露光部では毛細血管が異常に拡張している部分や消失している部分があることが分かりました(参考資料1)。毛細血管は肌の赤色の要素であるため、拡張して赤みが強く表れている部分と消失して赤みが失われている部分が不均一に点在することが、色ムラ(赤ムラ)を生じさせる原因であると考えられました。
さらに、紫外線によって、毛細血管の内皮細胞において、毛細血管の拡張に関与する「エンドセリン受容体B」が増加することを明らかにしました(参考資料2)。このエンドセリン受容体Bが増加することで、紫外線により毛細血管の異常な拡張が起こることが分かりました。今後、本研究成果を、素肌をより美しく見せるための新しい美容提案や商品開発に応用してまいります。
参考資料
- 毛細血管の異常な拡張や消失が、色ムラを引き起こす
肌における色ムラは、紫外線が当たりやすい部分において見られます。そこで、紫外線が当たりやすい部分(露光部)および当たりにくい部分(非露光部)の肌の内部構造を組織透明化技術(※1)によって観察し、その違いについて比較しました。
その結果、色ムラが生じやすい露光部では、毛細血管が異常に拡張していたり、逆に消失していたりする部分があることが分かりました。一方、非露光部では、毛細血管が肌の表面に向かって均等に伸びていました。毛細血管を通る血液の色は肌の赤色の要素であるため、露光部にみられた毛細血管の拡張と消失が不均一に点在する状態が、肌の赤ムラの原因だと考えられました。
※1 試薬を用いて皮膚組織を透明化し、特殊な顕微鏡を用いて内部構造を観察する技術。
- 毛細血管は紫外線によって拡張し続ける
露光部でみられる毛細血管の拡張の原因を調査したところ、毛細血管を作る血管内皮細胞において、紫外線によって「エンドセリン受容体B」(※2)の遺伝子発現量が増加することが分かりました。エンドセリン受容体Bは、毛細血管拡張に関与することが知られているため、この受容体が紫外線によって増加することで、毛細血管が拡張しやすくなっていることが分かりました。そして、この毛細血管の拡張によって肌の赤みが増してしまうため、色ムラの一因となると考えられました。
※2 特定の物質(エンドセリン)と結合し、特定の作用を引き起こすタンパク質。
なお、今回の研究成果は昨年10月21日~30日に開催された化粧品技術者の国際学術大会「The 31st IFSCC Congress 2020」(Web開催)にて発表しました。