高校化学グランドコンテスト文部科学大臣賞は 簡易アルカリろ紙法を用いた桜島火山地域における火山ガス測定 学校法人池田学園池田高等学校(鹿児島県)が受賞
芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)が、主催する「高校化学グランドコンテスト」の最終選考会が10月28日、29日芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催され、1位の文部科学大臣賞は学校法人池田学園池田高等学校の「簡易アルカリろ紙法を用いた桜島火山地域における火山ガス測定」が受賞しました。
この研究は現在鹿児島県や鹿児島市などで行われている二酸化硫黄の測定に加え、塩化水素、フッ化水素についても観測し、各成分濃度や組成比変動を調べ将来的には火山活動の指標となる現象の解明を目指すものです。そのために多くの地点で簡易に測定できるようにアルカリろ紙を用いた火山ガス捕集装置と自作吸光光度計を用いて実験を行い、新しい測定法を提案しました。
学校法人池田学園池田高等学校SS部(SSH地象気象班)の受賞コメント
「桜島の火山ガスをどう測るか?」これが私たちの課題です。「酸性ガスなので中和して集めてみては?」「大気汚染ガスの測定法は使えないか?」などと生徒間で議論を進めながら、先行文献を学び、1年かけて「簡易測定法」を確立しました。その中で一番大変だったのは吸光光度計の自作です。「無ければ作れ」がSS部の方針。光源、光センサーを数種類選び、回路計で光電流を測って、一番吸光度変動を大きくできる組み合わせを模索し、完成させました。昨年の5月頃から学園の仲間に協力をもらい、本格的に測定開始。鹿児島市の協力もいただき、桜島でも測定。それから1ヶ月毎にろ紙の製作・回収・分析作業を繰り返しました。苦しいこともありましたが、私たちの方法で未知なものを解明する醍醐味を味わいました。
今回初めて参加した最終選考会では、レベルの高い内容での英語発表がほとんどで圧倒されました。しかし、分析や試行錯誤の数では負けない気持ちで、日本語で堂々と発表できましたが、「文部科学大臣賞、池田高校」と聞いたときは信じられませんでした。今後は研究を続けながら、国際大会に向けてさらに研究内容を向上させ、私たちの研究を支えてくださった皆様に恩返ししたいと思います。(池田高等学校2年 SS部 部長 吉井 由さん)
●高校化学グランドコンテスト 最終選考会
高校化学グランドコンテストとは…
全国の高校生および高等専門学校生(3年生以下)が行っている「学習研究活動」を支援し、高校生自らが自主的な探究活動を楽しみながら科学的な創造力を培い、将来、科学分野で活躍できる人材の育成を念頭に置いて行っている教育支援プログラムです。2004年から大阪市立大学を中心に実施してきましたが、コロナ禍を経て、2023年度からは芝浦工業大学が主催しています。10月28日・29日に芝浦工業大学豊洲キャンパスで高校化学グランドコンテスト最終選考会が開催され、第1次審査を通過した全国の高校生80チーム304名と海外から招へいした3チーム13名が日ごろの成果を発表しました。2日間で延べ約800人が来場する大盛況のイベントとなりました。
審査対象80チームのうち、10チームが口頭発表、70チームがポスター発表を行い、最終審査は以下の結果となりました。
(1位)文部科学大臣賞
池田高等学校SS部「簡易アルカリろ紙法を用いた桜島火山地域における火山ガス測定」
(2位)化学未来賞
静岡北高等学校科学部水質班「銅を用いた亜リン酸イオンの酸化回収法の開発」
(3位)化学技術賞
富山県立富山中部高等学校スーパーサイエンス部「媒晶剤のカルボキシラートイオンのpHによる変化でコントロールするNaCl型結晶の形」
芝浦工業大学は、上記3チームの海外国際フォーラム(シンガポールまたは台湾で開催されるサイエンスフェア※)への参加を支援します。
※シンガポールで行われるサイエンスフェア「16th International Science Youth Forum @Singapore 2024(ISYF)」
台湾で行われるサイエンスフェア「Taiwan International Science Fair(TISF 2024)」
●高校化学グランドコンテスト 特設サイト
https://www.s-gracon.jp/
芝浦工業大学とは
工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科
https://www.shibaura-it.ac.jp/
理工系大学として日本屈指の学生海外派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の大学です。東京都(豊洲)と埼玉県(大宮)に2つのキャンパス、4学部1研究科を有し、約9,500人の学生と約300人の専任教員が所属。2024年には工学部が学科制から課程制に移行し、従来の教育の在り方を根本から変えていきます。創立100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学トップ10を目指し、教育・研究・社会貢献に取り組んでいます。