企業が労働者に対して行う「安全配慮義務」とは? 違反となるのはどんな時 当社専属の保健師が紹介します

セントラルメディエンス、コラム更新のお知らせ

 産業医と企業をマッチングするサービスを展開するなど、企業のヘルスケアをサポートする産業医ラボ.comを運営する株式会社Central Medience(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:中川隆太郎)は、「安全配慮義務」についてご紹介するコラムを更新いたしましたのでお知らせいたします。  

 
 昨今、職場内の環境を整えていないことによる事故や、過重労働の管理が行き届いておらず、過労死(脳血管疾患や心疾患)される例など、様々な場面で「安全配慮義務」という言葉を聞くことが増えてきたと思います。よく耳にする言葉ですが、具体的にどんな内容で、どう配慮すべきなのか、そして違反をするとどんなペナルティがあるのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。簡単ではありますが、「安全配慮義務」について一緒に学んでいきましょう。  

■安全配慮義務とは、守らないとどうなる?

 企業には、労働者の生命や身体等の安全、健康に配慮する義務、いわゆる「安全配慮義務」があり、民法の労働契約法第5条、労働者の安全への配慮の観点から来ています。
具体的には「第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」となっています。

民法と刑法の違いを簡単に述べると、民法は「個人間の紛争」、刑法は「犯罪における国が処罰する刑罰」となります。そのため、刑法は罪を犯すと警察に逮捕され、検察に起訴されて裁判を行いますが、民法の場合は個人が訴えを起こし、示談や裁判を行うことになります。

つまり、「安全配慮義務を違反」すると、個人間による紛争となり、損害賠償もしくは裁判による結審となるのです。

出典:厚生労働省 労働契約法
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73aa9536&dataType=0#:~:text=%E7%AC%AC%E4%BA%94%E6%9D%A1%20%E4%BD%BF%E7%94%A8%E8%80%85,%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82  

■安全配慮義務違反になるのはどんな時?

 では、どのような内容が、『安全配慮義務』になるのでしょうか。
よくある内容としては下記になります。  

①作業環境整備

②労働契約、就業規則の改定

③従業員の健康管理

④ハラスメント等の対応

 

①作業環境整備

従業員が働く中で危険が及ばないように配慮する内容で、機器のメンテナンスや業務中の危険性の排除、作業場の室温や湿度の管理、毒物や劇物、有毒物質を扱う際の防具や換気の実施などの働く上での職場環境の整備に当たります。これらの環境整備がなされず従業員がケガや病気、命を落とすことになると、安全配慮義務違反となります。  

②労働契約、就業規則の改定

労働契約、就業規則の改定は、使用者が労働者と合意なく変更をすることによって、労働者が不利益になる場合です。例えば、就業規則の改定で、給与体系が大幅に変更され、今までの給与より不当に下がった場合で、合理性がないとされた場合は、安全配慮義務違反とされる判例があります。  

③従業員の健康管理

年1回以上の定期健康診断や従業員50人以上の事業所におけるストレスチェックの実施を行っていないことは労働安全衛生法第66条の違反になりますが、それに加えて安全配慮義務違反にも当たります。また、過重労働に関しても、法令で定められている時間を超えた人への産業医面談を行わなかったり、産業医面談への勧奨を行わなかったりした場合にも、安全配慮義務違反となります。
さらにさらに過重労働の管理が出来ておらず、死に至った場合等、企業のみならず管理者の部課長に対しても損害賠償命令が生じる場合があります。  

④ハラスメント等の対応

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメント行為に対して、防止措置を行わず、さらに起きたハラスメントに対応を怠った場合に安全配慮義務違反とされます。

出典:厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳 専門家が事例と共に回答~職場のメンタルヘルス対策Q&A~
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-pro-qa/mh-pro-qa014/  

■まとめ

 普段の業務上で安全配慮義務について考える企業や従業員は少ないかと思いますが、企業と管理者、従業員が理解をしておかないと取り返しのつかないことになりかねません。まずは日々の業務を振り返り、安全配慮義務について学んだことが実際に配慮されているか振り返ってみましょう!

労働安全衛生法により、従業員数50名以上の事業場にストレスチェックが義務付けられています。さらに、高ストレス判定を受けた労働者が申し出た場合、医師・産業医による面接指導の対応も必要です。  

 


 
■ 執筆 ■
富谷圭佑
とみやけいすけ

株式会社Central Medience 専属保健師

一般企業で6年間営業として働き、介護職2年、
その後看護大学に入学した後に大学病院で臨床(ICU、内科)を4年経験。
現在は、当運営会社 株式会社セントラルメディエンスに入社し、専属保健師として勤務している。  

株式会社Central Medience

代表者:代表取締役 中川隆太郎
所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング EAST棟8階
事業内容:メディカルサポート、メディカルキャリア、医療経営等のソリューション提供 他
公式HP:https://centralmedience.com/   

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