野菜や果実の発酵エキスがアレルギー抑制に役立つことを発見!近畿大学農学部水産学科講師・伊藤智広と株式会社バイオバンクの共同研究

近畿大学農学部水産学科(奈良県奈良市)水産利用学研究室講師の伊藤智広は、株式会社バイオバンク(岡山県岡山市)との共同研究により、野菜や果実などを発酵させたエキス(商品名:OM-X)が、アレルギー症状の抑制に役立つことを新しく発見しました。
このエキスには乳酸菌や食物繊維などが含まれ、その高い栄養価からサプリメントとしても使用されていましたが、今回の研究ではその発酵過程において生じる「メラノイジン」と呼ばれる成分が、花粉症や気管支ぜんそくなどのアレルギー症状の緩和に有効であることが分かりました。
なお、本研究に関する研究成果は、平成26 年(2014 年)3 月27 日~30 日に熊本大学で行われる日本薬学会第134 年会にて、発表を予定しています。


【本研究の概要】

近畿大学農学部水産学科水産利用学研究室では、魚介類などの水産資源を水産食品や美容健康素材として有効利用することを目的に、食品化学、生化学、組織学および分子生物学的な手法を用いて研究を進めています。
また株式会社バイオバンクでは野菜、果物、海藻、茸類などを乳酸菌で長期間発酵・熟成させた植物発酵エキス(OM-X)を製造し、商品化してきました。OM-X は乳酸菌や食物繊維など栄養価に富み、腸内細菌の活性化により免疫機能を高めることも知られています。
カプセル化した製品はサプリメントとして世界各国で販売され、元プロ野球選手の工藤公康さんやモデルの三浦りさ子さんにも愛用されています。
今回、近畿大学農学部水産学科水産利用学研究室講師の伊藤智広とバイオバンクはOM-X が持つ高い効能に注目し、共同検証を進めました。すると、OM-X 中に多く含まれる「メラノイジン」という成分が、アレルギー症状の原因である脱顆粒(だつかりゅう:花粉などの抗原が体内に侵入し、抗体が反応した際に化学物質を放出する現象)を抑制することが判明しました。この研究成果により、OM-X は花粉症や気管支ぜんそくなどのアレルギーの改善に役立つ食品・素材であることが期待されます。


【今後の展望について】

日本では全人口の約2 人に1 人が何らかのアレルギーを持っているといわれており(1)、その中でも代表的なアレルギー疾患として、花粉症や気管支ぜんそくなどがあります。現在ではアレルギーに関する数多くの研究がすすめられており、海藻やお茶から抽出されたポリフェノールなどの天然植物成分が有用である、という研究報告はこれまでにも出されています(2,3)。
今後、今回の研究成果である「メラノイジンが脱顆粒現象を抑制する」という性質を用いた、アレルギー症状緩和食品やサプリメントの開発が期待されます。

(参考文献)
1) 厚生科学審議会疾病対策部会. リウマチ・アレルギー対策委員会「リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書」、p15-33 (2011).
2) Quang-To L., Yong L., Zhong-Ji Q., Moon-Moo K., Se-Kwon K. Inhibitory effects of polyphenols isolated from marine algaEcklonia cava on histamine release. Process. Biochem. 44, 168-176 (2009).
3) Matsuo N., Yamada K., Mori M., Shoji K., Ueyama T., Yunoki S., Yamashita K., Ozeki M., Sugano M. Inhibition by Dietary TeaPolyphenols of Chemical Mediator Release from Rat Peritoneal Exudate Cells. Biosci. Biotechnol. Biochem. 64, 1437-1443 (2000).


<補足資料:アレルギー発症のメカニズム>

花粉症や気管支ぜんそくなどのアレルギー反応はいくつかの過程を経て起こります。はじめに、花粉などの抗原が体内に入り、免疫細胞を刺激することで抗体ができます。この抗体は肥満細胞に結合することで、花粉などの抗原に対する免疫反応が記憶されます。
抗原が再び侵入すると、抗体が反応し肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます(脱顆粒現象)。これらの化学物質が、花粉症や気管支ぜんそく等のアレルギー性疾患を引き起こす原因になっていると考えられています。