耐震診断実施者の【約7割が高齢者】~木造住宅の耐震性と年齢に関する調査データより~

木耐協 調査データ最新版<2024年2月15日版>

木耐協(正式名称:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合/事務局:東京都千代田区/理事長:小野秀男/組合員:全国約1,000社)は、木造住宅の耐震化を推進するために全国で耐震診断・補強を実施しています。耐震診断については次のページをご覧ください。https://www.mokutaikyo.com/taishin/
今回は、調査データ最新版(2024年1月版)として、実施した耐震診断のうち詳細を把握している28,940棟のデータをまとめました。また、診断後のアンケートから確認できた診断実施者の年齢層と住宅が建てられた年代について分析を行った結果を発表いたします。

◆ 耐震診断基本データ

【対象の住宅】
・1950(昭和25)年~2000(平成12)年5月までに着工された木造在来工法2階建て以下の住宅
・木耐協で2006年4月1日~2023年12月31日の間に耐震診断を行い、詳細が確認できている28,940棟

【耐震性の評価方法】
・(一財)日本建築防災協会の一般診断法に基づいて行った耐震診断
・診断結果(総合評点)により4段階で集計(①及び②が現行の耐震性を満たしている住宅)

◆ 耐震診断結果(全体)

全体の割合
全体の割合
全体グラフ
全体グラフ

「9割超」の住宅が現行の耐震性を満たさず
全体を見ると、総合評点が1.0を下回る、いわゆる耐震性が不足している棟数が91.7%となりました。耐震基準は「1981年6月」と「2000年6月」の2度にわたって大きく改正されています。耐震診断では、現行の耐震基準を満たしているかどうかで判断するため、以前の基準で建てられた住宅が耐震性不足であるのは当然ともいえます。


なお、本調査データでは1980年以前に建てられた建物を「旧耐震基準住宅」、1981年以降2000年までに建てられた建物を「81-00住宅(新耐震基準住宅)」と区分しています。本来であれば「1981年6月」をもって区分すべきではありますが、診断依頼者から詳細な建築時期を確認することが困難なケースもあることから、木耐協では上記のように区分しています。
続いて、診断結果を「旧耐震基準住宅」と「81-00住宅(新耐震基準住宅)」に分けて集計しました。

◆ 耐震診断結果(旧耐震基準住宅)

旧耐震の割合
旧耐震の割合
旧耐震グラフ
旧耐震グラフ

耐震性が不足している割合が「約97%」
旧耐震基準で建てられた木造住宅は、最も新しい住宅でも築43年が経つことになります。現行の基準から考えると2つ前の基準である事や、築年数がかなり経過していることなど、耐震性が低い住宅が圧倒的多数であることがわかります。
2024年1月1日に発生した「能登半島地震」で犠牲になった方の死因は、大地震によって倒壊した住宅による「圧死」が最多でした。これは1995年の阪神・淡路大震災と同様の傾向でした。

◆ 耐震診断結果(81-00木造住宅)

81-00の割合
81-00の割合
81-00住宅 診断結果
81-00住宅 診断結果

81-00木造住宅も耐震診断・補強が必要
新耐震基準のうち1981年から2000年までに建築された「81-00木造住宅」でも築42年~23年となり、2000年の現行基準を満たしていないため耐震性は低くなります。2016年に発生した熊本地震では、81-00木造住宅でも約2割が“倒壊・大破”しており、耐震診断・補強の必要性が高いことが分かります。
大阪府や千葉県、そして東京都など「81-00木造住宅」に対する診断・補強費用の補助金制度が年々整備・拡充されつつあります。


診断実施者の年齢と住宅の築年数について

・木耐協に耐震診断をお申し込みいただいた方のうち、アンケートにご協力いただき年齢が把握できている7,941人
・年齢層については、75歳以上を「後期高齢者」、65歳以上75歳未満を「高齢者」、40歳以上65歳未満を「中高年」、40歳未満を「若年層」としています

診断実施者の年齢と築年数

診断実施者の61%が高齢者・後期高齢者

診断実施者の年齢層
診断実施者の年齢層

65歳以上となる高齢者が診断依頼者の61%を占めました。木耐協で診断を受け付けている住宅が昭和25年~平成12年以前の住宅であるため、30~40歳で住宅を購入し、30年ほどお住まいになったと考えると当然の結果といえます。

旧耐震基準と「81-00木造住宅」に住む診断実施者の年齢層

旧耐震基準に暮らす高齢者が約7割、「81-00木造住宅」でも過半数が高齢者

年齢層別 旧耐震と81-00住宅の割合
年齢層別 旧耐震と81-00住宅の割合

旧耐震基準住宅と「81-00木造住宅」に分けて、診断依頼者の年齢層を集計しました。その結果、旧耐震基準では69%を高齢者以上が占め、後期高齢者だけでも36%(3人に1人)でした。81-00住宅では後期高齢者の割合が減少し、中高年が41%と増加しました。

住宅の年代と年齢層

築年数に比例して年齢も上昇 1991年~2000年の住宅は約半数が中高年

住宅が建てられた年代別 年齢層の割合
住宅が建てられた年代別 年齢層の割合

住宅の築年数を10年ごとに区切り、年齢層の割合の変化をまとめました。最も古い1950年~1960年の住宅では約半数が後期高齢者でしたが、築浅になるほど後期高齢者の割合が減少。81-00住宅になると中高年の割合が多くなり、1991年~2000年では約半分が中高年でした。

同じ震災被害を繰り返さないために、耐震化待ったなし

石川県による発表によれば、能登半島地震で亡くなった129人のうち、7割以上が65歳以上の高齢者でした。阪神・淡路大震災では高齢者の割合が49.6%だったのに対し、能登半島地震では20ポイント以上も高かったのです。また、輪島市と珠洲市の耐震化率は全国平均の87%に比べて低く(輪島市45%/珠洲市51%)、高齢化率(輪島市46%/珠洲市52%)も高いことが分かっています。
このようなリスクは石川県に限らず、日本全国で高齢化が進む中で大地震が起きると同様の悲劇が繰り返される可能性があります。家族や実家の両親が倒壊した住宅で亡くなる悲劇を避けるためには、住宅の耐震化が不可欠です。

◇ お住まいの耐震性については、木耐協へご相談ください

旧耐震基準住宅は98%、81-00木造住宅でも86%の住宅が現行の耐震基準を満たしていませんでした。木耐協では「81-00プロジェクト」として、この「81-00木造住宅」の耐震化を推進しています。耐震性を確認したい方、リフォームを考えていて耐震性向上も検討したいという方は、お気軽にご相談ください。


【81-00木造住宅とは】

2016年4月に発生した熊本地震では、1980年以前に建築された「旧耐震基準」の住宅だけではなく「新耐震基準」のうち接合部等の規定が明確化される以前の「81-00木造住宅」にも倒壊・大破といった大きな被害が見られました。このため、国土交通省の依頼を受けた(一財)日本建築防災協会が2017年5月16日に「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」を公表しました。木耐協では、2019年12月より「81-00木造住宅」の耐震化を進める「81-00(ハチイチゼロゼロ)プロジェクト」に取り組んでいます。

【建築基準法と耐震診断の考え方の違い】

建築基準法では、耐震計算する際に想定する地震を大地震と中地震の2段階に分けています。大地震とは建物が建っている間に遭遇するかどうかという極めてまれな地震(数百年に一度起こる震度6強クラスの地震)のこと、中地震とは建物が建っている間に何度か遭遇する可能性のある地震(震度5強程度)のことです。「大地震時には人命を守ること」「中地震の場合には建物という財産を守ること」を目標とするのが、建築基準法の考え方です。
これに対し、耐震診断では人命を守ることに重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目標に据えることを明示しました。大地震・中地震という2段階を設定する建築基準法と異なり、耐震診断では大地震への対応という1段階で考えることになります。

◇ 木耐協 組合概要 ◇

木耐協は、全国約1,000社の工務店・リフォーム会社・設計事務所などから構成される団体です。
【地震災害から国民の生命と財産を守るため、「安全で安心できる家づくり・まちづくり」に取り組み、耐震社会の実現を目指す】ことを基本理念とし、地震災害の備えに対する啓発活動や木造住宅の耐震性能向上のための活動を行っています。

団体名:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)
本部所在地:〒102-0083東京都千代田区麹町2-12-1グランアクス麹町7階
TEL:03-6261-2040
URL:https://www.mokutaikyo.com/
<国土交通省 住宅リフォーム事業者団体登録制度 登録団体>


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