文化財オンラインライブラリーの公開
1、文化財オンラインライブラリーの概要
(1)システムの概要と背景
日本には、遺跡、建造物や有形文化財など豊かな文化財があります。それらは丁寧に調査研究され、膨大な調査研究報告書(以下、報告書)が発行されています。インターネットや図書館で報告書を閲覧でき、文化財の発信あるいは、次なる調査研究の基礎資料として貴重なものです。 報告書の電子公開では、近年PDFによる公開が増えています。しかし、PDF形式においては、画像などのデジタルコンテンツと本文が癒着しているため、機械可読性が低く非構造化データであることが課題でした。そこで、まずはデータと本文を分離するために文化財データリポジトリを2024年1月に公開しました。そして本文を掲載するためのプラットフォームを今回公開いたします。
文化財オンラインライブラリー(2024年3月28日公開)
検索
https://sitereports.nabunken.go.jp/search-online-library/
一覧
https://sitereports.nabunken.go.jp/online-library/
2、本文データと機能
(1)本文データの登録
【主な活用例】
・雑誌 論文
・報告書
(2)検索機能
各記事は、タイトル、著者名、データ登録機関、文化財所在地、文化財種別、主な時代、遺跡種別、遺物種別、学問種別、テーマ、フリーワードで検索可能です。
(3)PDF出力
オフライン環境で閲覧するためや必要に応じて印刷できるようPDF出力機能があります。PDF生成は夜間の日次処理にて自動生成されますので、登録の翌日に利用可能になります。
(4)文化財データリポジトリとの連動
記事内で画像等のコンテンツを挿入する場合は、文化財データリポジトリに登録したコンテンツを利用します。
3、期待される効果
(1)アクセス性の向上:Webページ化と検索機能
記事がWebページ化することで、検索エンジンから劇的にアクセスされやすくなります。またブラウザにて多言語翻訳アプリも利用可能になることから、海外からもアクセスされやすくなることが見込まれます。
各記事には専門情報を付加しています。文化財所在地や時代等によって検索でき、必要な記事を探すことができます。これらの属性情報は、今後のコンピュータ処理の際に、様々な展開や応用が可能となります。
(2)再利用性および業務効率の向上
記事内のコンテンツは、文化財データリポジトリから挿入します。文化財データリポジトリに一度登録すると、何回も再利用できることから、よく使われる画像を何度も捜索し登録することはありません。
(3)コストの圧縮
近年、様々な事情で印刷を取りやめ電子公開になる刊行物が増えつつあります。しかしPDFを主体とした公開であるため、組版は必要でした。Webページにて公開することで組版作業は不要になります。また登録作業がWeb画面で行われるため、これまでの組版等のDTP専門スキルは不要です。DTPスキルがない方でも登録が可能になります。
4、今後の展開
(1)データ登録
現時点では奈良文化財研究所のみ登録可能となっています。今後、全国遺跡報告総覧の発行機関ユーザーでも登録可能にする予定です。
(2)引用関係の可視化
文化財論文については、文化財論文ナビにて個別論文にIDを付与しています。文化財オンラインライブラリーの各記事に、個別論文IDを付与し整理することで、文化財論文同士の引用関係をネットワーク的に分析可能となります。調査研究支援のツールとなりえます。
お問い合わせ先 奈良文化財研究所企画調整部 高田 Mail soran_nabunken@nich.go.jp