【岡山理科大学】廃材を利用してミニチュア商店街再現/初等教育学科・竹内さんの卒業制作
今、話題になっているミニチュアの世界。岡山理科大学の教育学部初等教育学科4年、竹内綾さんは卒業制作で廃材を利用したミニチュア商店街(作品名:「モチツモタレツ商店街」)を作りました。家庭で出る卵パックや包装紙、さらに土木建築工事会社から譲り受けた建材サンプルなどを利用。商品の一つ一つまで凝りに凝った作品です。完成度のあまりの高さから、材料を提供したこの企業の本社受付前に展示されることになりました。
竹内さんは当初、小学校の図画工作科授業を想定して、包装紙や牛乳パックなど子どもたちでも集められる廃材を使って商店づくりに取り掛かりました。そんな中で、岡山市の土木建築工事会社「アイサワ工業」が数年前から、不要になった床や壁などの建材サンプルを造形活動用として、幼稚園などに提供していることを知り、指導教員の妻藤純子教授とともに同社を訪れ、床材、壁材などの建材サンプルを大量に入手しました。
豊富な材料を得て、商店街をつくりたいという目標達成に向けた創作意欲は全開に。縦195センチ、横89センチの“商店街”の地面は床材サンプル数百枚をすき間なく貼り付け、道の両側に八百屋、瀬戸物屋、肉屋、喫茶店、和菓子屋、パン屋、花屋など計10店舗を“出店”。
アイサワ工業の本社受付前に展示予定
その品揃えに驚かされます。樹脂粘土と紙粘土で、肉屋では霜降り肉、サーロイン、鶏肉、ハンバーグ、ウインナーなどを一つ一つ実物そっくりに仕上げ、フライヤーによる壁の油汚れまで再現。和菓子屋では、草もち、桜もち、大福、カステラ、ようかんなどが同様に作られ、瀬戸物屋では備前焼、愛媛の砥部焼、佐賀の有田焼などがズラリ。カーペットやカーテンのサンプルもふんだんに使い、徹底した作り込みが特徴です。
徳島県美馬市出身の竹内さんは、地元の伝統建築である防火用の「うだつ」を屋根に施した紺屋さんも作りました。美馬は藍染めでも有名で、店内には藍甕(あいがめ)も再現しています。
「人と人のつながりの大切さを表現」
竹内さんの作品について、アイサワ工業は「通常なら廃棄するはずの建材サンプルが、こんな形でよみがえってうれしいし、SDGsにもつながります。細部にこだわった素晴らしい出来栄えだと思います」といい、3月上旬から岡山市北区表町1の岡山シンフォニービル11階の本社受付前で展示する予定です。
竹内さんは「コロナ禍で友人と一緒に学び、遊べるありがたさを痛感したのを受けて、人と人のつながりの大切さを表現したうえ、商店街の店同士が交流して助け合って互いに尊重し合っているという思いも込めて『モチツモタレツ商店街』としました。親しみのある温かい昔ながらの商店街のイメージ通りに出来たと満足しています」と話しています。
竹内さんは今年4月から高知県で小学校教諭になります。