熊本県菊池市の地域活性化に向けて〜故郷の熊本へ戻り子育て・ビジネス、地域貢献を両立〜#3 【福田政隆】
※2022年2月22日「YJ STYLE( https://yjstyle.jp/)」にて下記の情報を公開しました。
ウェブやマーケティングの専門家として活躍をする一方で、自身の生まれ故郷である熊本県菊池市で地域活性化に向けた積極的な取り組みをはじめている福田政隆さん。
前回は、過去の挫折や人生の転機、そこから理想と現実の間で葛藤しながらも起業家として新たな挑戦を続けていくストーリーを語ってもらった。
今回は、沖縄から出身地である熊本県菊池市へ戻り、廃校になった小学校を拠点として、ビジネスをすることになった経緯や、シングルファザーとして二人の息子を育てながら、地域との関わりや貢献活動を大切にしている福田さんに、地方に住みながら実現する自分らしいライフスタイルについて話を聞いた。
故郷である熊本県菊池市へ
ウェブやマーケティングコンサルタントとして起業し、経営が安定してきたタイミングで、生まれ故郷である熊本県菊池市へ戻ることにしました。仕事が、オンライン上でのサービス提供だったので、全国どこにいても場所を選ばずに自分の仕事をすることができたからです。
私が住む熊本県菊池市は、昔は子供も多くにぎやかな印象でした。でも最近は、帰省するたびに商店街でシャッターを閉めているお店が年々増え、まちに活気がなくなっていく様子に寂しさと危機感を感じていたのです。
「もっとインターネットの力を活用することによって状況は変わるのではないか・・・」「自分だったらどうやって菊池市を活性化するだろうか・・・」などと考えはじめていました。
日本の地域社会全体の課題である過疎化問題は、菊池市も例外ではなく、地元では就職先が少ないため若者は仕事を求めて地元を離れ、人口が年々減り続けています。
私自身も20歳から40歳まで県外に出て仕事をしていましたが、その間もずっと、いつかは必ず帰ってきたいと考えていました。特に結婚して子供に恵まれてからは、菊池市のような、自然豊かで人との絆を感じられる環境で子育てをしたいと考えていたので、その想いはどんどん強くなっていきました。ただ、戻っても仕事がないことがネックとなっていたのです。
私の場合は、運良くオンラインビジネスで起業することができたため、場所にとらわれる必要がなくなって、菊池市に戻ることができました。一方で、進学や就職などのために一度県外に出てはいるものの、仕事さえあれば、地元の菊池市に帰りたいと考えている人は、今も予想以上に多いのではないかと考えています。
そして、新型コロナウィルスの影響で、ビジネスのオンライン化が急速に進んだことにより、「仕事がないので地方から都心部に移住しなければならない」というこれまでの概念が崩れ、「地方に住みながら好きな仕事をする」というライフスタイルを選ぶ人も多くなっていく可能性があると私は考えています。
地域との深いつながりと子育て
熊本に戻ってきてからは、シングルファザーとして二人の息子を育てながら、PTAや地域の活動などに積極的に取り組むことができていて、これは、沖縄にいたころには感じられなかった充実感です。
私自身が子供の頃、地域の人々との深いつながりの中で、多くの人に囲まれながら、時には厳しく、時には家族のような優しさで、励まし見守ってもらっていたことが、私の心に今も温かい記憶として残っています。そして、自分もいつかこういう環境の中で子育てをしたいと考えていました。
もちろん、仕事をしながら子育てをすることの大変さなども、シングルファザーとして感じることはあります。しかし日々の生活のなかで、両親や兄弟、古くからの友人や地域の人々など、多くの人に助けてもらいながら、豊かな自然の中で子供を育てられることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
そして日々の子育てだけでなく、学校行事や、地域の役割など毎日が忙しく過ぎていく中で、「子育てしやすい環境」とはどういうものなのかということを考えることが多くなりました。
同時に、将来「地元で働きたい」「故郷で好きな仕事をしたい」と願う人たちのために、自分ができることは何だろうかと、子育てをしながら自分自身に日々問いかけています。
オンラインの有効活用と発信力
地域に活気を取り戻すためには、今何が重要なのかを考える機会が、私自身増えました。日本の大きな課題となっている地方創生に関して、政府は新たに「デジタル田園都市国家構想」を掲げています。これは、地方でのデジタル化やデジタルの実装を進めることで、地域の魅力はそのままに、都市に負けない利便性と可能性を実現するための取り組みとなっています。
実際、これまでは「リアルの場で出会い」そして「オンラインの場で交流する」という流れが一般的でした。しかし、コロナの影響により、「オンラインで出会い、リアルで交流する」という流れが加速し始めています。なぜなら、リアルでの交流が制限されるという状況が起こったからです。
もはや多くの人の中で曖昧になりつつある「リアル」と「オンライン」の境目は、今後さらに融合して、新たな価値やサービスを生み出していくと思われます。私自身、オンラインビジネスを専門としていますが、コロナの影響により、社会全体のオンライン化が急速に進んだとはいえ、人材や情報が集まる都市部と、担い手が少なく情報も届きにくい地方との差は、未だに大きな開きがあると私自身は感じています。
しかし、地方でのデジタル化が進めば、もはや都市部に住む必要性を感じなくなる人が今以上に増えてくると思われます。地方に住んでいても、日本全国または海外とのビジネスが可能になるからです。
だからこそ、今後、地域が活性化していくためには、この「オンライン」をいかに有効活用して新たな取組みや場作りができるかが、カギを握るのではないかと感じています。そして、新しい取り組みをしただけでは誰もその存在を知ることができません。それらを積極的にアピールし、多くの方に興味をもってもらうための「マーケティング力・発信力」も大変重要なのです。