臭みを軽減する新たな近大式鴨肥育法を確立し合鴨の肉質改良に成功 「近大鴨」を2/14(水)から都内レストラン2店舗で提供開始

学校法人近畿大学
「近大鴨胸肉のロースト 赤ワインソース」(左)、「塩麹でマリネした近大鴨のロースト 柑橘のソース ビーツのピュレ」(右)

近畿大学附属生石農場(和歌山県有田郡有田川町)は、日本振興株式会社(大阪府大阪市)と共同で、平成30年(2018年)4月から合鴨(チェリバレー種)の肉質改良に取り組んでいます。このたび、薬草と廃棄されていた未利用資源を餌として利活用する新たな合鴨肥育法「近大式鴨肥育法」を確立し、肉質改良に成功しました。この肉質改良した合鴨を「近大鴨(きんだいかも)」と命名し、令和6年(2024年)2月14日(水)から、東京都内のレストラン2店舗で提供します。

【本件のポイント】
●薬草と未利用資源を一定比率でブレンドし合鴨に給餌する新たな肥育法により、鴨肉の臭み成分(ノナナール)を激減させることに成功
●近大酒の酒粕や、従来は廃棄されていた醤油粕など和歌山県産の未利用資源を利活用することでSDGsに寄与
●「ミシュランガイド東京2024」掲載のイタリア料理店「リストランテ アクアパッツァ」を含む都内2店舗で提供

【本件の内容】
近畿大学附属生石農場では、高地の冷涼な気候を生かして、昭和58年(1983年)から合鴨(チェリバレー種)を肥育し、「近大おいし鴨」として販売しています。
「近大おいし鴨」のさらなる肉質改良をめざして、平成30年(2018年)4月から近畿大学附属湯浅農場(和歌山県有田郡湯浅町)准教授 伊藤仁久や日本振興株式会社と共同で研究をスタートし、給餌する素材の選定やその配合比率の検討、肥育環境の改善などを行ってきました。給餌する素材は、食品としても使用される和歌山県産を中心とした薬草5種〔サンショウ(種皮)、チンピ(みかんの皮)、ソヨウ(紫蘇の葉)、トチュウ(葉)、ウコン(根茎)〕や、髙垣酒造株式会社(和歌山県有田郡有田川町)で製造している近大酒の酒粕、株式会社角長(和歌山県有田郡湯浅町)の醤油製造時に廃棄される醤油粕、株式会社梅丹本舗(和歌山県紀の川市)の使用予定のない規格外の梅エキスなど、和歌山県産の未利用資源を利活用して配合しています。また、合鴨のストレス軽減を目的に、一羽あたりの肥育面積の拡大や、クラシック音楽を流すなどの工夫を行うことで肉質の改良に努めています。
こうした取り組みにより完成した合鴨肉を、食味試験で従来の「近大おいし鴨」と比較したところ、肉質がより柔らかく、甘みもより強いという結果が得られ、鴨肉独特の獣臭さも軽減されていました。そこで、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)食品工学科准教授 白木琢磨や、生物工学科准教授 松川哲也らとともに、獣臭さの軽減要因について鴨肉中の香気成分を分析した結果、チンピ(みかんの皮)由来のリモネン※が特異的に検出され、香りが強く感じられるとともに、鴨肉の臭み成分の一つといわれるノナナールが激減していることが明らかになりました。
この研究成果を特許化するため、近畿大学と日本振興株式会社は、令和5年(2023年)3月にこの合鴨肥育法「近大式鴨肥育法」を共同で特許出願(特願2023-034162)しました。今後、この特許化した合鴨肥育法を、和歌山県内をはじめ全国の畜産農家に普及させ、新たなブランド鴨肉として国内外の市場に流通させることで、地域活性化および日本の畜産業の発展に寄与することをめざします。なお、この近大式鴨肥育法で育てられた合鴨を、「近大鴨」と命名しました。
この「近大鴨」を使用したメニューを、株式会社近畿日本ツーリスト商事(東京都千代田区)を介して、「ミシュランガイド東京2024」掲載のイタリア料理店「リストランテ アクアパッツァ」(東京都港区)と、イタリアンとフレンチを融合させたイノベーティブ料理を提供する「Arcon 二子玉川」(東京都世田谷区)の2店舗にて、令和6年(2024年)2月14日(水)からコース料理の一品として提供します。
※柑橘の皮に多く含まれる香気成分


【提供店舗概要(2店舗)】
店舗名 :リストランテ アクアパッツァ
     (東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山2階、
      東京メトロ銀座線「外苑前」駅1a出口から徒歩約2分)
メニュー:「近大鴨胸肉のロースト 赤ワインソース」
※「Specialeコース」内の一品
鴨ムネを皮目から香ばしくじっくり焼き上げ、季節の焼き野菜とともに仕上げています。赤ワインとフォンドヴォーのコクのあるソースをかけて提供します。
提供価格:コース 15,000円(税込)
お問合せ:リストランテ アクアパッツァ 担当:瀬川 TEL(03)6434-7506

店舗名 :Arcon 二子玉川
     (東京都世田谷区玉川3-22-10 ALDEBARAN1階、
      東急田園都市線「二子玉川」駅から徒歩約5分)
メニュー:「塩麹でマリネした近大鴨のロースト 柑橘のソース ビーツのピュレ」
※「近大鴨と一本釣りアブラボウズのディナーコース」内の一品
塩麴を使用し、国内でも栽培が盛んな柑橘、自然と土の香りのイメージでビーツのピュレと野菜を添えました。 また、コース内でともに提供する一本釣りアブラボウズは、シェフ自ら釣り上げ血抜きなどの加工をした大変珍しい料理です。近大鴨との組合せとして最上級の食材をセットにしました。
提供価格:コース 13,100円(税込)
お問合せ:Arcon 二子玉川 担当:小倉 TEL(03)6431-0722

【日本振興株式会社】
昭和50年(1975年)、51年(1976年)に四国地方に多大な被害をもたらした台風災害復旧事業をきっかけに創業した建設コンサルタント。ダム建設、河川工事や道路工事といった社会資本整備事業における事業監理部門を柱に、調査設計部門や災害復旧・復興部門など、専門的な知識と経験を必要とする土木技術サービスを提供しています。また、持続可能な社会の実現に向けた社会基盤整備だけでなく、地方の活性化と自然環境保全の重要性を認識し、農業にフォーカスした新規事業をスタートしています。

所在地 :大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばスカイオ20階
代表者 :代表取締役 伊達多聞
設立  :昭和52年(1977年)3月
事業内容:建設コンサルタント・補償コンサルタント
資本金 :1億円
URL:https://www.nihon-shinko.com/index.html

【株式会社近畿日本ツーリスト商事】
近畿日本ツーリストグループの商事会社として、国際的にも評価の高い日本の宿泊施設を中心に観光業を側面から支えています。平成31年(2019年)4月締結の「近畿大学とKNT-CTホールデイングス株式会社の包括連携協定」に基づき、グループ内の唯一の商社として、さまざまな新たな価値創出を図っています。

所在地 :東京都千代田区神田和泉町1-13 住友商事神田和泉町ビル14階
代表者 :代表取締役 柴田雅貴
設立  :平成23年(2011年)9月
事業内容:旅館・ホテル向け販売、運輸・観光施設・休憩店・一般企業向け販売など
資本金 :1億円
URL:https://www.knts.co.jp/index.html

【リストランテ アクアパッツァ】

平成2年(1990年)のオープン以来、徹底して「素材」を重視しています。旬の素材には、最上級の美味しさと栄養があり、結果的に自然栽培やオーガニック食材に辿りつきました。平成30年(2018年)11月に「オーガニックレストラン認証」(認証機関リーファース)を取得し、令和2年(2020年)には、国が認定する「オーガニックJASレストラン認証」も取得しました。また、日本の農業や漁業従事者を支援し、海や森の自然を次の世代へ繋げていけるような取り組みをしています。

所在地:東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山2階
代表者:オーナーシェフ 日髙良実
設立 :平成2年(1990年)11月
URL:https://acqua-pazza.jp/

【Arcon 二子玉川】

究極の一本釣り鮮魚と手打ちパスタのイノベーティブレストランです。鮮度の高い魚の扱いでは、「食彩の王国」をはじめ各種メディアにも取り上げられており、イタリアンとフレンチを融合させたイノベーティブ料理を創り上げています。洗練された臨場感を味わえるカウンターで、上質なひとときをお楽しみいただけます。

所在地:東京都世田谷区玉川3-22-10 ALDEBARAN1階
代表者:オーナーシェフ 最上翔
設立 :令和4年(2022年)8月
URL:https://www.do-ro.com/arcon/

【関連リンク】
附属農場 准教授 伊藤仁久(イトウキミヒサ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/1206-itou-kimihisa.html

生物理工学部 食品安全工学科 准教授 白木琢磨(シラキタクマ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/840-shiraki-takuma.html

生物理工学部 生物工学科 松川哲也(マツカワテツヤ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/904-matsukawa-tetsuya.html

近畿大学附属生石農場
https://www.kindai.ac.jp/farm/