インドのブラックチューズデー(大停電):2012年7月31日

2012-08-17 16:30
株式会社グローバルインフォメーション

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7月31日に発生した「ブラックチューズデー」と呼ばれる大停電は、おそらく史上最大規模の停電となったでしょう。この停電はインド全28州のうち20州で発生し、国内に5つある電力網のうち3つの電力網(北部・東部・北東部)に影響を及ぼしました。人口の50%を占める推計約6億人が電気の供給を断たれたこの大規模な事故は、インドの電力系統がここ10年に渡って逼迫状態であったことを明確に示しています。

インドの電力消費は2002年以降、年間8.3%と飛躍的な成長率で推移しています。これは国内経済の実質成長率と相互に強く相関したものですが、電化率は依然として66%程度にとどまっています。電力価格は、農業利用者および低所得世帯に対して大幅な助成が行われており、増大する燃料費(および人件費)をカバーできるほど大幅なタリフの引き上げは行われていません 。この問題は、送配電ロスの多さや発電所の低い負荷率とあわせ、インド各州の州電力庁に、長い間困難な財政状況を強いる結果となっています。同国は1991年以降、自由化政策の施行に意欲的であり、垂直的なアンバンドリングに関する法の施行や独立系発電事業者の新設の奨励、外国投資誘致のための減税、早期着工が可能な発電プロジェクトの奨励などを行っています。この取り組みは、近年、大規模IPP数社を誕生させる(多くの場合Tata、Reliance、JSW、GMRといった大手グループと関係を持つ)など、電力部門に大きな変化をもたらしています。

しかし、送配電ロスと電力の盗難(無断使用)は依然として発電量の20%に近い割合を示し、設備発電容量の拡大は国の必要量を満たすに至っていません。過去の5カ年計画で打ち出された目標はほとんど満たされておらず、過去3期の計画容量は推計必要量を下回り、有効設備発電容量の実現率は50%に落ち込んでいます。2007年から2012年までの第11期計画で設定された78.7GWのうち、2011年11月までに稼動していたのは44.7GWでした。目標容量を下方修正し、2012年中の拡張容量を17.2GWとしたため(7月時点で実際に稼動していたのは約7.8GW)、実現率には明らかな改善が見られたものの、増え続ける国内需要を満たすには十分であるはずがありません。これらの遅れは多くの場合、長いリードタイムや環境許可の取得に関する論争によるものですが、燃料不足という原因も徐々に増大しています。

TataおよびAdaniは先頃、石炭供給と石炭価格に関する法規制環境の明確さが不足しているとして、数ギガワット規模の新たな石炭火力発電プロジェクトの延期を行いました。石炭の増産は、国内の石炭品質の悪さや選炭場の限られた処理容量、輸送インフラの障害、生産と消費の場の距離、高い国際価格の中での生産者、IPP、政府間の石炭価格の法規制に関する論争などが障害となり、電力部門で拡大する需要を満たすまでには至っていません。

インドは石炭供給を十分なものにするため、段階的な輸入への切り替えを行っています。同国の石炭輸入量は大幅に拡大し、(2006年にドイツ、2011年に韓国を抜き)、世界の石炭輸入国トップ3にランク入りしました。また、国内消費量に占める輸入量のシェアは10年前の6%から2011年には21%と、過去10年で大幅に拡大しています。インドの企業各社はインドネシア、オーストラリア、アフリカにおいて、石炭供給量の確保を巡り、中国、ブラジル、その他の国籍の企業と厳しい競合を繰り広げています。現在、世界の石炭貿易の半分以上は主要4ヶ国で行われていますが、これらはすべてアジアの国々です。

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2010年、インドは化石燃料消費の助成に220億米ドルを費やし、イラン、サウジアラビア、ロシアに次ぐ世界第4位の地位を得ています。この4ヶ国はすべて大規模生産国です。[出典:IEA, WEO11]

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