古代寺院3DGIS科研研究集会「遺跡地図GISの現在地」
開催趣旨
考古遺跡は、土地に直接刻まれた過去の人類社会の営為の痕跡であり、文字史料の乏しい古代史研究において「どこで」に関する情報の基盤です。特に古代東国では、文字史料の記録・編纂が遠く離れた畿内中心で行われていたことから、考古遺跡記録の現地性が注目されます。一方で、「いつ」「誰が」「何を」「なぜ」に関する具体性、情報密度の点では個別遺跡の記録は文字史料に及日ません。それを補うことができる網羅性が、考古遺跡記録のもう一つの特徴であると考えます。
日本では、自治体ごとに遺跡地図・台帳が整備されています。これは約60万件とされる考古遺跡の所在・範囲と時代、種別を含む考古学ビッグデータです。発掘調査が行われた遺跡・地点については、報告書の抄録データ約22万7千件が全国文化財総覧に集積されています。これは遺跡地図・台帳よりさらに解像度の高いデータセットです。これらをGISに統合し、さらに発掘調査等で得られる遺構配置・形状・層位・時期などを組み込むことで、古代史研究における計量的・データサイエンス的アプローチが可能になるでしょう。科研費基盤研究(B)「考古学ビッグデータの統合と3D-GISによる古代寺院立地・造営・景観論」が目指すその方法論の可能性について、研究期間2年目の進捗を報告し、今後の展開について議論します。
なお実際のデータとその取り扱いについてのハンズオンワークショップも別途(8月19日)に開催します。
主催
古代寺院3DGIS科研*、奈良文化財研究所文化財情報研究室
後援
国分寺市教育委員会
日程
2025年8月18日(月):研究集会、19日(火):ハンズオンワークショップ
場所
奈良文化財研究所平城宮跡資料館講堂 ※18日研究集会のみオンライン併用
参加方法
以下の申込サイトから申込ください。(イベントに関する最新情報・詳細についても以下のサイトをご覧ください)
参加費:無料
定員:研究集会(18日)会場80名(うち学生30名)、オンライン90名(うち学生30名)
ハンズオンワークショップ(19日)会場30名(うち学生15名)
対象:文化財行政担当者、学生、考古学・歴史学研究者
※ハンズオンワークショップに参加される方はQGISをインストール済みのコンピュータが必要です
その他
行動規範:古代寺院3D-GIS科研グループによるイベントでは行動規範を提示しています。参加される方は、ご確認いただき、規範に沿って行動されるようお願いいたします(古代寺院3D-GIS科研研究グループページをご参照ください)
バリアフリー:会場の設備に準じます。
※お子様連れの参加を歓迎します
注意事項:8月18日(月)は平城宮跡資料館の展示は休館です。会場の講堂にのみ立入可能です。ご注意ください
【プログラム】
8月18日(月)研究集会
10時30分 開場
10時55分 開会挨拶 高田 祐一(奈良文化財研究所文化財情報研究室)
11時00分 趣旨説明「考古学・古代史研究のベースレジストリとしての遺跡地図」野口 淳(公立小松大学次世代考古学研究センター)
11時30分 報告1 「国分寺市遺跡GISの構想と構築、現状と課題」寺前 めぐみ(国分寺市教育委員会)
12時00分 昼食休憩
13時00分 報告2 「遺跡地図公開の現状と文化財総覧webGIS」高田 祐一
13時30分 報告3 「遺跡地図GISと文化財総覧データの連携」武内 樹治(奈良文化財研究所文化財情報研究室)
14時00分 休憩
14時15分 パネルディスカッション パネラー:寺前 めぐみ、高田 祐一、武内 樹治、瀬戸 寿一 司会:野口 淳
14時20分 コメント(TBA) 瀬戸 寿一(駒澤大学文学部)
14時40分 ディスカッション(会場質疑含む)
15時55分 閉会挨拶
16時00分 終了
8月19日(火)ハンズオンワークショップ
9時30分 開場
10時00分 アイスブレイク・ハンズオン準備
10時20分 GISの基本とQGISの基本操作(武内 樹治)
・GISデータとCRS
・QGISの基本操作
・タイル地図の読み込みと表示
・ベクタデータの読み込みと表示(行政区域・河川・地形区分)
11時00分 広域遺跡地図データ・抄録データの利用(武内 樹治)
・配布遺跡地図・抄録データ(CSV)の読み込みと表示
・フィルタ、統計等
11時50分 昼食休憩
12時50分 詳細遺跡地図データの利用(野口 淳)
・配布遺跡地図データ(gpkg)の読み込みと表示
・検索、フィルタ
13時20分 意見交換・ラップアップ
14時00分 終了
※日本学術振興会科学研究費基盤研究(B)24K00142「考古学ビッグデータの統合と3D-GISによる古代寺院立地・造営・景観論」(研究代表者:野口 淳)