「第60回 東京都公園協会賞」受賞作が決定しました!


第60回東京都公園協会賞について、次のとおり入賞作品15点が決定しましたのでお知らせいたします。
今回は前回を上回る応募の中から、河川事業と都市公園事業が連携した一体的整備により魅力的な水辺空間を創出した事例が最優秀賞を受賞しました。
また、第60回を記念して新たに設立された技術部門「緑と水のデザイン特別部門」について、U25部門では3点が、U18部門では1点が、それぞれ入賞作品に選ばれました。

最優秀賞受賞作品
「高尾山ふもと公園と案内川の一体的整備による、高尾山麓の魅力ある水辺空間の創出」
八王子市まちなみ整備部公園課、東京都南多摩西部建設事務所
(写真:八王子市まちなみ整備部公園課撮影)
東京都公園協会賞とは
東京都公園協会賞は、東京市の公園課長であり当協会の2代目理事長である(故)井下清(いのしたきよし)氏の寄付を基金として、1964年(昭和39年)に制定されました。1965年4月に第1回贈呈式が行われて以来、毎年実施しています。東京を緑豊かな都市にするため、「緑と水」の普及啓発等に参加・貢献した個人または団体を対象に、「技術」「論文」「実施記録及び報告」「ボランティア・社会貢献活動」の4部門に分けて作品を公募し、優れた作品を表彰しています。
第60回を迎えた今回は、技術部門に「緑と水のU25デザイン特別部門」、「緑と水のU18デザイン特別部門」を新設し、若手世代からの作品を積極的に募りました。
入賞者および入賞作品
※情報は令和7年3月31日現在
1.最優秀賞 1点
≪技術部門≫
八王子市まちなみ整備部公園課、東京都南多摩西部建設事務所
「高尾山ふもと公園と案内川の一体的整備による、高尾山麓の魅力ある水辺空間の創出」
河川事業と都市公園事業が連携した一体的整備により、魅力的な水辺空間を創出したもので、計画作成から事業の実施に至るまで工夫が凝らされている。実現のプロセスにおいて、住民・管理者・民間事業者・有識者等による協働がなされるなど公共空間整備にかかる今後の模範となる好事例であり、高い評価に値する。
2.優秀賞 4点
≪論文部門≫
(1)ERDEMBILEG TAMIR (千葉大学大学院 園芸学研究科 ランドスケープ学コース)
「日本庭園の3Dモデルの作成と実空間との印象比較に関する研究 ―旧芝離宮恩賜庭園を例に―」
旧芝離宮恩賜庭園の3Dデータを作成し、3D空間体験と実空間体験の比較から3Dモデルの利点を明らかにしたユニークな研究。今回の調査対象だけでなく、他の庭園や都立施設において有効に活用できる内容。明治期の図面をもとに、江戸期の樋門を復元するなど造園史の観点からも価値のある研究であり、評価に値する。
(2)山本 瞳 (日本女子大学 家政学部 住居学科)
「雑司ケ谷霊園の形成過程に関する研究 -従前の土地利用と墓地政策の観点から-」
雑司ケ谷霊園の歴史的変遷等について、大量の文献、記録等を丁寧に調べ、霊園前史、霊園の通史を詳細にまとめ上げた秀逸な論文。当該霊園の開園までの計画の経緯等、既往の研究が少ない中、都立霊園史として、非常に有意義な研究である。
≪実施記録及び報告部門≫
特定非営利活動法人 あらかわ学会 里帰り桜調査チーム(理事長:大平 一典)
「東京都足立区立小中学校に記念植樹された里帰り桜の現況と継承」
植栽後40年を経て消えゆく「里帰り桜」の足立区立小中学校における植栽状況について、桜が現存するうちに、丁寧に調査したことは実施記録として価値がある。客観的根拠に基づき、活動している点が素晴らしく、今後の継承に向けての一助となる調査記録である。
≪ボランティア・社会貢献活動部門≫
特定非営利活動法人 荒川クリーンエイド・フォーラム(代表者:赤城 稔)
「社会貢献の場としての荒川河川敷-都市の水辺空間の産学官民協働持続管理手法」
30年間、環境保全活動を継続し、市民と行政、自治体や企業といった多様な主体を取り込んで持続的な活動体制を構築している点は高く評価できる。企業の体験型研修として環境教育の場としても活用しており、社会への意識啓発にも積極的に寄与している。
3.奨励賞 6点
≪論文部門≫
(1)岡本 花子(東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科)
「世田谷区内4神社の樹木管理に関する基礎的研究」
神社の樹木管理と地域コミュニティの活発さの相関に着眼した点がユニークである。コミュニティ点数という新たな視点で世田谷区内の神社の管理のあり方に迫った点は興味深く、分類結果についても納得できる。
(2)塩澤 敬祐(千葉大学大学院 園芸学研究科 ランドスケープ学コース)
「樹林の活用と文化的生態系サービス等に対する認知度の関係-丘陵地の3つの公園を例に-」
丘陵地公園に残された樹林の価値を文化的生態系サービスという視点から捉えた実に有意義な研究。市民活動も含めたその膨大な活動調査データをもとに論考されている。生態系サービス(生態系が提供する様々な恩恵)と生態系ディスサービス(生態系が人間の活動によって負の影響を受ける現象)を同時に評価する手法が興味深い。
(3)松田 侑理加(千葉大学 園芸学部 緑地環境学科)
「隣接小学校が公園内で農園を共同管理することの効果と可能性-都立猿江恩賜公園を例に-」
猿江恩賜公園に設けられている教育用花壇の実態把握と活動歴、アンケート、ヒアリング調査等を通じた教育的効果の検証など、分析例として有意義な研究である。公園が環境教育の場として有用であることを説明した点は評価に値する。
(4)吉武 美智(日本女子大学大学院 家政学研究科 住居学専攻)
「子どもの外遊び場における騒音感と住民の意識について」
公園を取り巻く社会的問題をテーマに取り上げ、豊島区の公園等70か所を対象に地域住民の声を収集して分析した結果は大変興味深く、今後の公園のあり方を考える重要な知見を見出している。
≪ボランティア・社会貢献活動部門≫
(1)井荻公園 野草園 育て組(代表者:舟木 都)
「人里にある和の野草を育てる」
和の野草を取り上げたコンセプトがユニーク。花の無い時期は雑草と間違われてしまう野草に、花の写真を掲載したカードを設置するという工夫は特に素晴らしい。保育園や他のボランティア団体への体験・活動の場の提供で、地域にも貢献している点が評価に値する。
(2)中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 東名高速事務所(代表者:鬼束 大平)
「芝公園でのシバザクラ花壇整備CSR活動の報告」
高速道路の緑の管理に関する経験を活かした芝公園での花壇整備活動であり、企業としての社会貢献活動として高く評価できる。都心ならではのコミュニティ活動の事例として貴重である。
ご案内
東京都公園協会 緑と水の市民カレッジ事務局が発行する公園の専門誌「都市公園」の 247号(7月号)に受賞者紹介を、248号(9月号)以降の号に作品の詳細を順次掲載いたします。
また、今回の受賞作品は日比谷公園内にある緑と水の市民カレッジ3階「みどりのⓘプラザ」にて、7月29日(火)から8月30日(土)までパネル展示を行います。
緑と水の市民カレッジについて
【開館時間】9時~ 17時
【休館日】日曜・祝日・年末年始(12月29日~ 1月3日)
【住所】千代田区日比谷公園 1-5
【交通】
・東京メトロ丸ノ内線・千代田線・日比谷線「霞ケ関」下車 B2・C1出口徒歩3分
・都営地下鉄三田線「内幸町」下車 徒歩5分
・JR山手線「有楽町」下車 徒歩15分
【入館料】無料
【問い合わせ先】
緑と水の市民カレッジ事務局
TEL:03-5532-1306

◆緑と水の市民カレッジ講座
緑と水に関する知識が学べる講座を実施し、多くの方々にご参加いただいています。講座はカレッジ講座教室のほか東京都内の公園や緑地、河川などのフィールドでも行っています。
【緑と水の市民カレッジHP】https://www.tokyo-park.or.jp/college/
◆みどりの図書館 東京グリーンアーカイブス
動植物や環境、公園、庭園、都市計画等に関する図書、雑誌だけでなく、東京を中心とした公園に関する古写真、図面などを所蔵している緑の専門図書館です。窓口では、図書、資料探しのお手伝いをするレファレンスサービスや資料複写(有料)、図面資料等のデータ貸出を行っています。
その他所蔵している貴重な資料の一部を特別公開する所蔵資料紹介コーナーを設置しています。
また、インターネット上から資料を検索することができます。
【みどりの図書館HP】https://www.tokyo-park.or.jp/college/green/#library
【E-mail】green-archives@tokyo-park.or.jp
◆HIBIYA PARK BIZ
公園の中のマイルームとして、ワーク&スタディにご利用ください。
緑と水の市民カレッジ開館時間内にご利用いただけます。
・カウンターテーブル席(電源あり)12席
・ソファ席4席
・丸テーブル席6席
【HIBIYA PARK BIZについて(緑と水の市民カレッジHP内)】
https://www.tokyo-park.or.jp/college/green/index.html#a03