IDaaS(Identity as a Service)の日本市場(2026年-2035年)、市場規模・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「IDaaS(Identity as a Service)の日本市場(2026年-2035年)、英文タイトル:Japan Identity-as-a-Service (IDaaS) Market 2026-2035」調査資料を発表しました。本資料には、IDaaS(Identity as a Service)の日本市場規模、動向、セグメント別予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場は、2025年時点で1億4,762万米ドル規模に達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)18.7%で拡大し、2035年には約8億1,970万米ドルに達すると予測されている。約10年間で5倍超に拡大する高成長市場であり、サイバー攻撃の増加、クラウド移行、リモートワーク、EC拡大、データ保護・コンプライアンス対応、パスワードレス認証や生体認証への移行が成長を支えている。
IDaaSは、ユーザーや従業員のデジタルIDをクラウドベースで管理し、誰がどのシステムやデータへアクセスできるかを制御するサービスである。代表的な機能にはSingle Sign-On(SSO)、Multi-Factor Authentication(MFA)、ユーザーProvisioning、Password Management、Directory Services、Audit・Compliance・Governanceなどが含まれる。
日本企業のIT環境がオンプレミス中心からSaaS・クラウドを組み合わせた構成へ移行する中、従来の社内ネットワーク境界だけではアクセスを保護しにくくなっている。そのため、ユーザーIDを中心にアクセス権を確認し、必要な人だけに必要なサービスへのアクセスを許可するIDaaSの重要性が高まっている。
市場成長を直接押し上げている要因の一つが、サイバーセキュリティリスクの増大である。レポートでは、2023年に日本がランサムウェアグループから標的とされた国の中で16位となり、14グループによる45件のインシデントが発生したとしている。業種別では製造業が31%、テクノロジーが19%、サービスが10%を占めたとされる。
こうした攻撃では、盗まれたID・パスワードや過剰なアクセス権限が侵入経路になる可能性があるため、MFA、アクセス監視、自動的なアカウント管理などの需要が高まりやすい。IDaaSはネットワークそのものを防御する製品とは異なり、「ユーザー本人であること」と「そのユーザーにアクセス権があること」を継続的に確認する役割を持つ。
特にMFAは市場の中心的な機能である。パスワードだけではなく、ワンタイムコード、認証アプリ、端末情報、生体認証などを組み合わせることで、パスワード流出時にも不正ログインのリスクを抑えられる。
SSOも企業の利便性とセキュリティを両立する重要機能である。従業員が多数のクラウドサービスごとに異なるパスワードを管理する必要を減らし、一つの認証基盤を通じて複数アプリへアクセスできるようにする。結果として、パスワード使い回しの抑制やIT部門の管理負担軽減につながる。
Provisioningは、従業員の入社・異動・退職時にアカウントとアクセス権限を自動的に付与・変更・停止する機能である。特に退職者のアカウントが残ると不正アクセスリスクになるため、HRシステムなどと連携した自動化の価値が高い。
Audit、Compliance and Governanceも重要である。誰がどのデータへアクセスしたかを記録し、アクセス権が適切かを定期的に確認できれば、内部統制や監査への対応が容易になる。日本企業がクラウド利用を拡大するほど、アクセス権管理を部門ごとに個別運用する方法では限界が生じやすい。
規制・プライバシー対応も市場を支える。レポートでは、データ保護やプライバシー関連規制が強化される中、企業が個人情報を安全に管理し、適切なアクセス制御を維持するためにIDaaSを採用しているとしている。
ECの拡大も顧客向けID管理需要につながっている。レポートでは、METIの2022年調査を引用し、2021年の日本のB2C物販EC市場が前年比8.6%増の約1,881億米ドル、米国事業者からの越境EC購入が31億米ドルで前年比9.3%増だったとしている。
ECでは、ログイン時のセキュリティを高めながら、認証を複雑にし過ぎないことが重要である。購入のたびに過剰な認証を求めれば離脱が増える一方、認証が弱ければアカウント乗っ取りや不正購入のリスクが高まる。そのため、IDaaSはセキュリティだけでなく、Customer Experienceを改善する基盤としても利用される。
なお、資料では日本のB2B EC市場が「3兆米ドルに達する」とも述べているが、対象年や算出範囲が明確ではないため、この数字をIDaaS市場の直接的な定量根拠として使う場合には注意が必要である。
リモートワークも市場拡大を促している。従業員がオフィス外からSaaSや社内システムへアクセスする機会が増えると、物理的な社内ネットワークにいることだけでは本人確認ができない。そのため、ユーザーID、デバイス、認証強度などを中心とするアクセス管理が重要になる。
この流れはZero Trust型セキュリティとの親和性も高い。今回の資料ではZero Trustを独立セグメントとして扱ってはいないが、「場所を問わずユーザーの身份を確認してアクセスを制御する」というIDaaSの役割は、こうしたセキュリティモデルの基盤になると考えられる。
デジタルトランスフォーメーションも重要な成長要因である。企業がCRM、ERP、コラボレーション、データ分析など複数のクラウドサービスを利用するほど、それぞれのアカウントを個別管理する負担が増える。IDaaSを中央認証基盤として利用すれば、ユーザー管理とアクセス制御を統合しやすい。
導入形態別ではPublic Cloud、Private Cloud、Hybrid Cloudに分類される。このうちHybridが予測期間中CAGR20.4%で成長するとされ、市場全体の18.7%を上回る。
Hybrid型が伸びる背景には、日本企業がすべてのシステムを一度にパブリッククラウドへ移行するのではなく、オンプレミスやPrivate Cloudに残る基幹システムと新しいSaaSを併用するケースが多いことがある。IDaaSが両方の環境を横断して認証できれば、段階的なクラウド移行を支援できる。
生体認証の導入も大きな市場トレンドである。顔認証や指紋認証をIDaaSへ組み込み、パスワードへの依存を減らすことで、セキュリティとユーザー利便性を同時に改善する動きが広がっているとされる。
将来的には、生体認証、端末情報、ログイン場所、行動パターンなど複数の要素を組み合わせてリスクを判断し、低リスク時には簡単な認証、高リスク時には追加認証を求めるような仕組みの価値が高まる可能性がある。
エンドユースでは、BFSI、IT・通信、政府、医療、エネルギー・公益、製造などが挙げられている。一方、別の表ではRetail & Consumer Electronics、Transportation & Logistics、Automotive、Media & Entertainmentなども含まれており、レポート内で業種分類が統一されていない点には注意が必要である。
成長率の数値にも不整合がある。レポート冒頭のサマリーではRetail & Consumer ElectronicsがCAGR18.9%として強調されているが、詳細表ではIT & Telecommunicationが22.4%、Healthcareが20.9%、BFSIが19.3%となっており、いずれもRetail & Consumer Electronicsの18.9%を上回っている。したがって、「Retailが最も高成長」と解釈するのは適切ではない。
この詳細表に従えば、少なくとも数値が示された業種ではIT & TelecommunicationのCAGR22.4%が最も高く、Healthcareの20.9%、BFSIの19.3%、Retail & Consumer Electronicsの18.9%が続く構造となる。
IT・通信では、多数の従業員、開発者、顧客、パートナーがクラウド環境へアクセスするため、ID管理が複雑化しやすい。SaaSやクラウドインフラを多用する企業ほど、SSO、MFA、自動Provisioningへの需要が大きい。
BFSIでは、顧客情報や金融資産を扱うため認証強度への要求が高く、MFA、生体認証、アクセス監査などの導入価値が大きい。また、従業員向けIAMだけでなく、オンラインバンキングなど顧客向け認証との接点もある。
Healthcareでは、医師、看護師、事務職、患者、外部医療機関など複数のユーザーが機密性の高いデータへアクセスするため、役割に応じたアクセス権管理が重要となる。詳細表では予測CAGR20.9%とされており、IDaaSの高成長用途の一つとして位置付けられている。
製造業でも重要性が高い。ランサムウェア攻撃の対象になりやすいだけでなく、工場、サプライヤー、本社、クラウドシステムなど複数環境にまたがってユーザーアクセスを管理する必要があるためである。
政府分野では、重要インフラや公共データを扱うため、セキュリティ基準への適合が需要を支える。2023年12月にはRSAが、日本の公共・民間組織が新たなサイバー脅威へ対応し、重要インフラ保護に関する政策ガイドラインへ準拠できるよう、日本への戦略投資を発表したとされる。
競争環境では、NEC、Thales、Oracle、Microsoftが主要企業として紹介され、このほかBroadcom、Fujitsu、Authlete、Digital Arts、Atos、Oktaなどが挙げられている。
NECは日本企業としてIT・ネットワーク技術に長い実績を持ち、国内企業や公共機関との関係性を活用できる点が強みとなる。IDaaS市場では、認証単体よりもネットワーク、セキュリティ、公共・企業システムとの統合能力が重要になる。
Microsoftは、クラウドサービスや業務アプリケーションとID管理を統合できる点で競争力を持つ。企業が日常的に利用するクラウド環境と認証を一体化できれば、導入・運用負担を抑えやすい。
Oracleもエンタープライズシステムやデータベースとの連携を通じてID管理市場に関与する。ただし、資料にある「世界最大のデータベース管理企業で、sales reaching US$100 million」という説明は企業規模を示す数字として明らかに不自然であり、古い情報または編集ミスの可能性が高い。この部分を現在の企業規模の根拠として扱うべきではない。
Thalesは、セキュリティや認証技術を航空宇宙、防衛、交通など幅広い分野で展開する企業として紹介されている。高度な認証やデータ保護を必要とする企業・公共分野との親和性が高い。
OktaもIDaaS専業に近い代表的企業として主要プレイヤー一覧に含まれる。ただし、今回のレポートでは企業別市場シェアは示されていないため、NEC、Microsoft、Oktaなどの実際の日本市場順位を判断することはできない。
総合すると、日本のIDaaS市場は2025年の1億4,762万米ドルから2035年には8億1,970万米ドルへ約5.6倍に拡大し、CAGR18.7%という高成長が見込まれる。特にHybrid deploymentがCAGR20.4%で伸び、企業の段階的クラウド移行とオンプレミス環境の共存を支える構造が重要になる。
市場の本質的な変化は、セキュリティ管理の中心が「ネットワークの内外」から「誰がアクセスしているか」へ移ることにある。リモートワーク、SaaS、EC、クラウドが拡大するほど、IDを企業セキュリティの中心に据える必要性が高まる。
2035年に向けた主要テーマは、「MFA」「SSO」「Hybrid Cloud」「生体認証」「Passwordless」「アクセスガバナンス」「Remote Work」「Cybersecurity」「E-commerce」「IT & Telecom」「Healthcare」「BFSI」に集約できる。日本のIDaaS市場は、単なるログイン管理サービスから、従業員・顧客・パートナーのデジタルIDを横断的に管理するクラウドセキュリティ基盤へ発展していくと考えられる。
※目次構成
エグゼクティブサマリー
1.1 市場規模(2025~2026年)
1.2 市場成長予測(2026年予測~2035年予測)
1.3 主な需要促進要因
1.4 主要企業と競争構造
1.5 業界のベストプラクティス
1.6 最新動向と最近の展開
1.7 業界見通し市場概要およびステークホルダー分析
2.1 市場動向
2.2 主要産業分野
2.3 主要地域
2.4 サプライヤーの交渉力
2.5 買い手の交渉力
2.6 主な市場機会とリスク
2.7 ステークホルダーによる主要施策経済概要
3.1 GDP見通し
3.2 一人当たりGDPの成長
3.3 インフレ動向
3.4 民主主義指数
3.5 政府総債務比率
3.6 国際収支(BoP)の状況
3.7 人口見通し
3.8 都市化動向カントリーリスク分析
4.1 カントリーリスク
4.2 ビジネス環境アジア太平洋地域のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場概要
5.1 主要業界ハイライト
5.2 アジア太平洋地域のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場の過去実績(2019~2025年)
5.3 アジア太平洋地域のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場予測(2026~2035年)日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場概要
6.1 主要業界ハイライト
6.2 日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場の過去実績(2019~2025年)
6.3 日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場予測(2026~2035年)コンポーネント別・日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場
7.1 シングルサインオン
7.1.1 過去の推移(2019~2025年)
7.1.2 予測推移(2026~2035年)
7.2 多要素認証
7.2.1 過去の推移(2019~2025年)
7.2.2 予測推移(2026~2035年)
7.3 プロビジョニング
7.3.1 過去の推移(2019~2025年)
7.3.2 予測推移(2026~2035年)
7.4 パスワード管理
7.4.1 過去の推移(2019~2025年)
7.4.2 予測推移(2026~2035年)
7.5 ディレクトリサービス
7.5.1 過去の推移(2019~2025年)
7.5.2 予測推移(2026~2035年)
7.6 監査、コンプライアンスおよびガバナンス
7.6.1 過去の推移(2019~2025年)
7.6.2 予測推移(2026~2035年)
- 導入タイプ別・日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場
8.1 パブリッククラウド
8.1.1 過去の推移(2019~2025年)
8.1.2 予測推移(2026~2035年)
8.2 プライベートクラウド
8.2.1 過去の推移(2019~2025年)
8.2.2 予測推移(2026~2035年)
8.3 ハイブリッドクラウド
8.3.1 過去の推移(2019~2025年)
8.3.2 予測推移(2026~2035年)
- 業種別・日本のIdentity-as-a-Service(IDaaS)市場
9.1 BFSI(銀行・金融サービス・保険)
9.1.1 過去の推移(2019~2025年)
9.1.2 予測推移(2026~2035年)
9.2 通信・IT
9.2.1 過去の推移(2019~2025年)
9.2.2 予測推移(2026~2035年)
9.3 政府
9.3.1 過去の推移(2019~2025年)
9.3.2 予測推移(2026~2035年)
9.4 ヘルスケア
9.4.1 過去の推移(2019~2025年)
9.4.2 予測推移(2026~2035年)
9.5 エネルギー・公益事業
9.5.1 過去の推移(2019~2025年)
9.5.2 予測推移(2026~2035年)
9.6 製造業
9.6.1 過去の推移(2019~2025年)
9.6.2 予測推移(2026~2035年)
9.7 その他
- 市場ダイナミクス
10.1 SWOT分析
10.1.1 強み
10.1.2 弱み
10.1.3 機会
10.1.4 脅威
10.2 ポーターの5フォース分析
10.2.1 サプライヤーの交渉力
10.2.2 買い手の交渉力
10.2.3 新規参入の脅威
10.2.4 競争の激しさ
10.2.5 代替品の脅威
10.3 主要需要指標
10.4 主要価格指標
- 競争環境
11.1 サプライヤー選定
11.2 主要グローバル企業
11.3 主要地域企業
11.4 主要企業の戦略
11.5 企業プロファイル
11.5.1 NEC Corp.(日本電気株式会社)
11.5.1.1 企業概要
11.5.1.2 製品ポートフォリオ
11.5.1.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.1.4 認証
11.5.2 Microsoft Corp.
11.5.2.1 企業概要
11.5.2.2 製品ポートフォリオ
11.5.2.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.2.4 認証
11.5.3 Broadcom Inc.
11.5.3.1 企業概要
11.5.3.2 製品ポートフォリオ
11.5.3.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.3.4 認証
11.5.4 Fujitsu Ltd.(富士通株式会社)
11.5.4.1 企業概要
11.5.4.2 製品ポートフォリオ
11.5.4.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.4.4 認証
11.5.5 Authlete Inc.
11.5.5.1 企業概要
11.5.5.2 製品ポートフォリオ
11.5.5.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.5.4 認証
11.5.6 Oracle Corp.
11.5.6.1 企業概要
11.5.6.2 製品ポートフォリオ
11.5.6.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.6.4 認証
11.5.7 Digital Arts Inc.
11.5.7.1 企業概要
11.5.7.2 製品ポートフォリオ
11.5.7.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.7.4 認証
11.5.8 Thales S.A.
11.5.8.1 企業概要
11.5.8.2 製品ポートフォリオ
11.5.8.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.8.4 認証
11.5.9 Atos SE
11.5.9.1 企業概要
11.5.9.2 製品ポートフォリオ
11.5.9.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.9.4 認証
11.5.10 Okta Inc.
11.5.10.1 企業概要
11.5.10.2 製品ポートフォリオ
11.5.10.3 顧客・市場カバレッジおよび実績
11.5.10.4 認証
11.5.11 その他
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