ルテチウム-177(Lu-177)市場規模の成長推移2026:2032年7188百万米ドル到達を予測
図. ルテチウム-177(Lu-177)の製品画像

ルテチウム-177(Lu-177)市場は、標的型がん治療の普及と放射性リガンド治療(RLT)の適応拡大を背景に成長が加速している。YH Researchによると、世界のルテチウム-177(Lu-177)市場は2025年の25億8,200万米ドルから2032年には71億8,800万米ドルへ拡大し、2026~2032年のCAGRは15.8%に達する見通しである。
図. ルテチウム-177(Lu-177)世界総市場規模

ルテチウム-177(Lu-177)の医療用途と技術的特性
ルテチウム-177(Lu-177)は、原子番号71の希土類元素ルテチウムの放射性同位体で、約6.6日の半減期を持ち、β線およびγ線を放出する。標的分子やキレート剤と結合させることで、腫瘍細胞へ放射線を選択的に届けられる点が特徴である。特にソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍や、PSMAを標的とする前立腺がん治療で活用されている。
2026年7月には米FDAがLu-177製剤Pluvictoについて、PSMA陽性の転移性ホルモン感受性前立腺がんへのARPI併用療法を承認した。これにより治療対象の拡大が進み、ルテチウム-177(Lu-177)の臨床需要を押し上げる要因となっている。
供給網・競争環境が市場成長を左右
世界市場ではAdvanced Accelerator Applications(Novartis)、Eckert & Ziegler Strahlen、SHINE Technologiesなどが主要企業で、上位3社のシェアは約98%に達する。地域別では北米が約44%で最大、欧州33%、アジア太平洋18%が続く。製品タイプではNon-carrier-addedが約99%、用途では核医学治療が約98%を占め、市場の集中度が極めて高い。
ルテチウム-177(Lu-177)は放射性核種として半減期が短いため、製造能力だけでなく、放射性医薬品への加工、品質管理、輸送、医療施設への時間内配送までを一体化した供給体制が重要となる。実際、Novartisは2026年に米国でRLT製造拠点を拡張し、供給能力の増強を進めている。
今後の市場機会と課題
2025年に米国の関税政策が戦略的に再調整されたことも、放射性医薬品を含む重要物質の国際調達、地域生産、投資判断に影響を与える可能性がある。ルテチウム-177(Lu-177)市場では、核種の安定供給、非担体添加型製品の高純度化、標的分子との結合技術、患者別投与に対応する物流体制が競争力を左右する。
今後は前立腺がんだけでなく、神経内分泌腫瘍などへの適応拡大や新規RLT開発が需要創出につながる一方、原料調達、放射線安全管理、製造設備への投資、短い半減期を考慮したコールドチェーン管理が市場拡大の制約となる。したがって、ルテチウム-177(Lu-177)の成長性を評価する際には、販売量だけでなく、核種生産から最終投与までのサプライチェーン統合度を継続的に分析することが重要である。
本記事の内容は、YH Research株式会社の調査レポート「グローバルルテチウム-177(Lu-177)のトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」のデータを基に作成しています。
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