歯科用合着セメント市場分析レポート:2026年783.47百万米ドル規模、成長率6.01%推移

2026-08-31 16:18
QY Research株式会社

歯科用合着セメントとは、クラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ベニア、インプラント上部構造などの間接修復物を歯質や支台歯に固定するための歯科用材料です。歯科用合着セメントは、修復物と歯質との接着強度、辺縁封鎖性、耐久性、審美性などを左右する重要な材料であり、歯科医院や病院における補綴治療の品質に直結します。QYR(恒州博智)の統計および予測によると、2025年の世界歯科用合着セメント市場の売上高は741百万米ドルに達し、2032年には1,112百万米ドルへ拡大すると予測されています。2026~2032年のCAGRは6.01%となる見通しです。

歯科用合着セメント市場と中国需要
地域別に見ると、中国の歯科用合着セメント市場は過去数年間で比較的速い変化を遂げています。2025年の中国市場規模は59.69百万米ドルで、世界市場の約8.05%を占め、2032年には104.65百万米ドルへ拡大し、世界市場に占める割合は9.41%に達すると予測されています。歯科用合着セメントの需要拡大には、補綴治療件数の増加、審美歯科への需要、ジルコニアやセラミックなどの間接修復材料の普及が影響します。特にデジタル印象やCAD/CAMによる補綴物製作が普及するにつれて、修復材料と合着材料を一体的に評価する必要性が高まっています。
製品タイプ別の競争構造
歯科用合着セメントは、グラスアイオノマーセメント、レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント、その他に分類されます。グラスアイオノマー系は、歯質との親和性やフッ素徐放などの特性を持つ一方、レジンセメントは高い接着性能と審美性を背景に、セラミックやジルコニアなどの間接修復物への適用範囲を拡大しています。
近年の歯科用合着セメントでは、接着強度だけでなく、操作工程の簡略化、余剰セメントの除去性、湿潤環境への対応、硬化安定性などが重要な技術評価項目となっています。例えばGC AmericaのG-CEM ONE™は、自己接着型レジンセメントとして幅広い修復物への対応を掲げ、セルフキュア性能や余剰セメント除去の容易性を訴求しています。
ジルコニア・CAD/CAM修復と歯科用合着セメント
歯科用合着セメント市場では、CAD/CAMによるデジタル修復治療との適合性が重要な成長要因となっています。ジルコニア、高強度セラミック、レジン系材料など修復物の多様化に伴い、材料ごとに異なる接着特性へ対応できるユニバーサル型製品への需要が高まっています。
現在の製品開発では、ジルコニアに対する接着力、審美性、色調安定性、低膜厚、耐久性を同時に実現することが技術課題となっています。GC AmericaのG-CEM LinkForce®は、セラミック、ジルコニア、金属、レジンなど多様な間接修復物を対象としたデュアルキュア型レジンセメントとして展開されています。
レジン強化型グラスアイオノマーの高機能化
レジン強化型グラスアイオノマーセメントも、歯科用合着セメント市場における重要な製品カテゴリーです。従来型グラスアイオノマーの特性に加えて、機械的強度、接着性能、操作性などを改善することで、金属、PFM、ジルコニアなど幅広い間接修復物への適用が進んでいます。
近年の製品では、オートミックスやシリンジ供給による混和工程の簡略化、タックキュアによる余剰材料の迅速な除去、高いX線不透過性など、臨床ワークフローを効率化する機能が強化されています。GC FujiCEM® Evolveは、レジン強化型グラスアイオノマーとしてジルコニアへの接着性能、タックキュア、耐湿性などを特徴としています。
主要メーカーと市場競争
世界の歯科用合着セメント市場では、Solventum、Dentsply Sirona、Ivoclar、Kuraray Noritake、Shofu、Voco、Bisco、Envista、GC Corporation、Coltene、Mitsui Chemicals (Kulzer)、Hugel Dental、SDI Limited、Shanghai New Century Dental Materials、Sun Medicalなどが主要メーカーとして挙げられます。原文では2025年の世界Top 5メーカーが合計54.57%の市場シェアを占めており、市場は一定の集中度を形成しています。
競争軸は製品価格だけではなく、接着強度、硬化方式、審美性、操作性、修復材料との適合性、臨床エビデンスなどへ広がっています。特に歯科用合着セメントでは、治療時間を短縮しながら再現性を高めることが歯科医療現場の重要なニーズとなっており、自己接着型やユニバーサル型製品が製品開発の主要方向となっています。GC Americaも、自己接着型レジンセメントについて、工程簡略化と幅広い修復物への対応を打ち出しています。
病院・歯科診療所向け需要
用途別では、病院と歯科診療所が主要市場となります。歯科診療所ではクラウン、ブリッジ、インレー、オンレーなど日常的な補綴処置への対応力が重要であり、歯科用合着セメントには短時間で安定した操作ができることが求められます。一方、病院では複雑な補綴治療やインプラント治療などへの対応が求められるため、接着耐久性、材料適合性、長期安定性などがより重視されます。
本調査では、北米、欧州、中国、日本、インド、東南アジアを重点地域として、歯科用合着セメントの生産能力、生産量、販売数量、売上高、価格および将来動向を分析しています。過去データは2021~2025年、予測データは2026~2032年を対象としています。
今後の歯科用合着セメント市場では、デジタル歯科治療、CAD/CAM修復、ジルコニア・高強度セラミックの普及に加え、臨床工程の簡略化と治療再現性の向上が市場成長を支える重要な要素となります。製品メーカーにとっては、単なる高接着強度の追求から、修復材料との適合性、操作性、審美性、耐久性を統合した「ユニバーサル性能」の実現へと競争軸を移すことが、中長期的な市場競争力を形成する鍵となるでしょう。
本記事は、QY Research発行のレポート「歯科用合着セメント―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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