近畿大学発スタートアップが創薬プロセスの革新に挑戦 「ネットワーク創薬」により医薬品の研究開発を加速

近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)食品安全工学科准教授 白木琢磨は、令和8年(2026年)4月、人工的に作製したヒト細胞群を用いた独自技術で「ネットワーク創薬※」を提供するスタートアップ、ミネット創薬株式会社(本社:大阪府東大阪市、代表取締役:佐伯俊介)を設立しました。「ネットワーク創薬」により、薬効探索だけではなく副作用も幅広く把握できるようになるため、創薬プロセスの加速化が期待されます。
※細胞ごとに異なる遺伝子の働きと薬への反応の違いを解析し、薬の効果や副作用を幅広く調べる手法
【本件のポイント】
●近畿大学生物理工学部准教授 白木琢磨の研究成果を用いて、創薬プロセスの加速化をめざすミネット創薬株式会社を設立
●人工的に100万種類のバリエーションを持つヒト細胞を作製し、薬効・副作用に関わる遺伝子ネットワークを約2週間で解析
●より効率的な新規医薬品の研究開発を実現し、医薬品業界への貢献をめざす
【本件の内容】
医薬品の開発には、長い時間と多額の費用がかかるうえ、開発途中で有効性や安全性の課題が見つかることも少なくありません。
近畿大学生物理工学部の白木研究室では、動物栄養学の研究を通じて、同じ栄養素でも個体によって反応が異なることに着目しました。人体には約270種類の細胞が存在し、それぞれ役割や性質が異なるため、培養したヒト細胞においても、細胞の違いによって薬剤への反応が異なると考えました。そこで、人工的に100万種類のバリエーションを持つヒト細胞を作製し、それぞれの細胞が薬剤にどう反応するかを単一細胞レベルで解析する技術を確立しました。この技術により、薬の効果や副作用に関わる遺伝子ネットワークを、約2週間で解析できるようになりました。
この技術はこれまでに3社からの受託研究で活用され、ヒト細胞における薬効や副作用に関わる遺伝子ネットワークの解明実績があります。また、特許庁委託事業の知財戦略デザイナー派遣事業(令和5年度)を始め、HVC KYOTO 2024、MedTech Actuator 2025、iAca事業(令和7年度)に採択され、事業化に向けた検証を進めてきました。こうした取り組みを進める中で、国内製薬企業から本技術に対する関心が寄せられ、活用や協業の可能性についての協議も進んだことから、当該技術の社会実装をさらに推進するため、起業に至りました。
【ミネット創薬株式会社の事業内容】
国内外の製薬会社や医薬品メーカーに対し、ヒト細胞を用いて薬の効果や副作用を幅広く解析する技術を提供します。これにより、有望な候補物質の効率的な選定、既存薬の新たな用途開発、開発中の薬の副作用につながる可能性のある作用の確認、さらには動物実験に代わる評価手法としての活用をめざします。
創薬の初期段階では、検証に使える細胞の種類が限られているため、薬の効き方や副作用を事前に十分確認することが難しいという課題がありますが、人工的に100万種類のバリエーションを付加したヒト細胞を用いることで、薬の種類を問わず、効果だけでなく副作用につながる可能性のある作用も幅広く解析し、医薬品の研究開発の加速化に貢献します。
【ミネット創薬株式会社】
所在地 :大阪府東大阪市小若江三丁目6番9号 近畿大学 KINCUBA Basecamp
代表者 :代表取締役 佐伯俊介
創業 :令和8年(2026年)4月
事業内容 :医薬品・動物医薬品等の研究開発、関連技術の販売・使用許諾、
各種試験・研究開発業務の受託、企業・大学・研究機関等との連携
資本金 :400万円
ホームページ:https://sites.google.com/view/meanet/home
【プロフィール】
白木琢磨(しらきたくま)
ミネット創薬株式会社 取締役
所属:近畿大学生物理工学部食品安全工学科
職位:准教授
学位:博士(人間・環境学)
佐伯俊介(さえきしゅんすけ)
ミネット創薬株式会社 代表取締役
経歴:Northwestern University School of Law (LL.M.)
修了、Kirkland & Ellis LLP、ジョーンズ・デイ法律事務所、アレン・アンド・オーベリー外国法共同事業法律事務所、フロンティア・マネジメント株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社を経て 現在弁護士法人マーキュリー・ジェネラル所属。また、株式会社MycHunter TherapeuticsでCEOを務める
【近畿大学発ベンチャー起業支援プログラム「KINCUBA」】
近畿大学が全学をあげて取り組んでいる起業支援プログラムで、令和8年(2026年)4月現在、208社の近畿大学発ベンチャー企業が登録されています。医学から芸術まで網羅する多様な研究分野や、60万人を超える卒業生ネットワーク、モノづくりのまち東大阪市・八尾市の地域特性、最先端のDX技術など、総合大学としての強みを生かして学生や研究者の起業を支援します。起業をめざすために必要な学びやマッチングのサポート、各分野のメンターによる相談受付、キャンパスを活用した実証実験など、起業マインドの醸成から法人設立・事業展開まで一貫した支援を行っています。活動拠点は、学生が24時間利用でき、法人登記も可能なインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」です。なお、「KINCUBA(キンキュバ)」とは、"KINDAI"と"INCUBATION"を組み合わせた造語です。
【関連リンク】
生物理工学部 食品安全工学科 准教授 白木琢磨(シラキタクマ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/840-shiraki-takuma.html