2025年春季特別展 「うつくしき かな―平安の美と王朝文化へのあこがれ―」 3月15日(土)より開催

古筆の名帖 『ひぐらし帖』公開

MIHO MUSEUM
2025-03-14 10:30

MIHO  MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300  館長:熊倉功夫)は
2025年(令和 7 年)3月15日(土)~ 6月8日(日)までの期間、
春季特別展「うつくしき かな―平安の美と王朝文化へのあこがれ―」を開催いたします。
当館初公開となる「ひぐらし帖」の始まりは、名筆の断簡を集めて冊子にし、書道のお手本や書の鑑定に使用した「手鑑」としてつくられたものでした。その後、昭和の実業家・菅原通済によって軸装され、三十一幅の「ひぐらし帖」になりました。
本展では、古筆の名帖「ひぐらし帖」をはじめとする平安の名筆とともに、王朝文化への憧れが込められた蒔絵や屏風、歌仙絵などの作品を展観します。

 ■開催主旨    

本年、「いのち輝く未来社会のデザイン」と題して大阪・夢洲を舞台に2025年日本国際博覧会が開催されます。これは世界に向けて「クールジャパン」と呼ばれる日本の魅力を発信するとともに、私たちにとって改めて日本の文化を見つめ直す機会にもなるでしょう。この“魅力”が生まれた背景を考えるとき、そこには先例を知り未来へ受け継がれてきた日本人の美意識があったことに気づかされます。
古来、わが国は大陸文化に倣い、仏教や律令を取り入れて発展してきました。遣唐使を停止した後も、大陸との交流を続けながら和様化の道を進み、日本独特の情緒を表す和歌やひらがなが誕生して、日本の美意識の代名詞もといえる王朝文化が花ひらきました。この文化は武家が台頭する世を迎えて影を落としますが、絶えることなく受け継がれて再び太平の世の到来によって憧れへと変容しました。
本展では、MIHO  MUSEUM所蔵の『ひぐらし帖』を当館で初めて公開します。『ひぐらし帖』はすぐれた鑑賞家であった吉田丹左衛門によって、元は手鑑としてつくられたものでした。手鑑とは主に名筆の断簡を集めて冊子様に仕立てたもので、書の道を志す人が手本とします。その後安田善次郎に愛蔵された同帖は、株式会社鉄道工業の社長を務めた菅原通済(1894ー1981)の手に渡り、氏の所蔵する歌切の中から亡妻の十三回忌に合わせて精選して軸装し、三十一葉の『ひぐらし帖』となしたのでした。古筆切の最高峰とも謳われる「高野切」や、料紙に金銀泥で花鳥文や草花文を描いた「栂尾切」、平安の雅を体現したかのような「石山切」など、名だたる能筆が五・七・五・七・七のみそひともじに因んで三十一幅が収載されています。この『ひぐらし帖』に、MIHO MUSEUM所蔵の工芸品や仏教美術、琳派の源氏物語図屏風、歌仙絵など、平安の貴族文化の誕生から桃山初期に興る王朝文化への憧れがこめられた作品を織り交ぜて展観いたします。
今なお現代に残る都人の洗練された美の息吹、“風流(みやび)”に思いを馳せていただければ幸いです。

■開催概要

展覧会名:
 2025年春季特別展「うつくしき かな―平安の美と王朝文化へのあこがれ―」
 古筆の名帖 『ひぐらし帖』公開
会 期: 2025年3月15日(土)~ 6月8日(日)
会 場: MIHO MUSEUM
 〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
 TEL.0748-82-3411  URL: https://www.miho.jp
開館時間: 午前10時~午後5時 【入館は午後4時まで】
休館日: 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
入館料: 一般1300円、高・大生1000円、中学生以下 無料
 【20名以上の団体は各200円割引】
交 通: JR琵琶湖線「石山駅」より帝産バスMIHO MUSEUM行50分、    
 お車で新名神「信楽IC」より約15分
主 催: MIHO MUSEUM、京都新聞
後 援: 滋賀県、滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、BBCびわ湖放送、
 エフエム京都、帝産湖南交通    
監 修:名児耶 明(筆の里工房 副館長)    
担当学芸員:畑中 章良(MIHO MUSEUM学芸部長)
 辻上 祐貴(MIHO MUSEUM学芸員)三浦 友莉(MIHO MUSEUM学芸員補)
 南部 美帆(MIHO MUSEUM学芸員補)         
展示総数: 208件 うち重要文化財5件、重要美術品17件、    
 ※ 会期中、一部展示替えがあります。
展示構成: 
 第1章 大陸文化のおとずれ    
 第2章 王朝文化へのあゆみ
 第3章 うつくしき かな―ひぐらし帖を中心に―
 第4章 茶の湯と古筆
 第5章 宮廷の日(にち)にち
 第6章 王朝文化へのあこがれ
 第7章 デザインと化した王朝文化
講演会:
 「古筆の魅力について」 2025年4月20日(日)13:30~15:00            
 講師:名児耶 明 (筆の里工房 副館長)  
 定員:100名 参加費無料(入館料要)
 場所:南館レクチャーホール     
 予約不要。当日美術館受付棟にて整理券配布。   
演奏会:
 雅楽演奏「平安の美 宮中音楽の世界」    
 出演:久恒壮太郎、増山誠一、小山貴紀
 2025年4月5日(土)13:30開演 (演奏とお話 約1時間半)
 定員:100名
 場所:南レクチャーホール
 参加費:2000円
   事前オンライン予約、空きがあれば当日受付可。
ワークショップ:
 王朝継ぎ紙 うつくしき料紙をつくろう
 2025年3月23日(日)、4月12日(土)、5月11日(日)
 いずれも13:00-15:00
 講師:近藤陽子、ほか数名(王朝継ぎ紙研究会)    
 定員:20名 材料費:2200円 場所:北館回廊
 事前オンライン予約、空きがあれば当日受付可
ワークショップ:うつくしきかなを綴ろう ー平安の仮名     
1.対象:高校生以上、書道経験者
 2025年5月24日(土) 11:00~/14:00~ (1時間半程度)             
 講師:高木厚人(大東文化大学名誉教授、奈良市杉岡華邨書道美術館館長)
 定員:20名(予定)
 参加費:2000円    場所:北館回廊     
 事前オンライン予約、空きがあれば当日受付可         
2.対象:小学校高学年以上
   2025年4月13日(日)、4月27日(日)
 いずれも10:30~/14:00~(1時間半程度)
 講師:書家 西口青咲    定員:10名(予定)  
 参加費:500円    場所:北館回廊
 事前オンライン予約、空きがあれば当日受付可    
朗読ワークショップ:
 「復元音」で読んでみる    『源氏物語』~宇治十帖「橋姫」より~    
 2025年5月31日(土) 14:00~15:15
 講師:馬場精子(朗読家、馬場精子朗読教室主宰)
 定員50名 参加費:無料 場所:南レクチャーホール
 事前オンライン予約、空きがあれば当日受付可         
※すべて別途入館料が必要

■作品画像

石山切 伊勢集 平安時代 12世紀 ひぐらし帖収蔵

石山切 伊勢集 平安時代 12世紀 ひぐらし帖収蔵

石山切 伊勢集 ひぐらし帖収載 平安時代 12世紀 MIHO MUSEUM蔵  

石山切 貫之集下 伝 藤原定信筆 ひぐらし帖収載 平安時代 12世紀 MIHO MUSEUM蔵 ※会期中展示替えあり

石山切 貫之集下 伝 藤原定信筆 ひぐらし帖収載 平安時代 12世紀 MIHO MUSEUM蔵 ※会期中展示替えあり

石山切 貫之集下 伝 藤原定信筆 ひぐらし帖収載 平安時代 12世紀
MIHO MUSEUM蔵 ※会期中展示替えあり

小倉色紙 伝藤原定家筆 鎌倉時代 13世紀 MIHO MUSEUM蔵 ※会期中展示替えあり

小倉色紙 伝藤原定家筆 鎌倉時代 13世紀 MIHO MUSEUM蔵 ※会期中展示替えあり

小倉色紙 伝藤原定家筆 鎌倉時代 13世紀 MIHO MUSEUM蔵
※会期中展示替えあり

檜扇 室町時代 14-15世紀 重要美術品 MIHO MUSEUM蔵

檜扇 室町時代 14-15世紀 重要美術品 MIHO MUSEUM蔵

檜扇 室町時代 14-15世紀 重要美術品 MIHO MUSEUM蔵

色絵和歌陶板(8枚のうち) 尾形乾山作 江戸時代 18世紀 MIHO MUSEUM蔵

色絵和歌陶板(8枚のうち) 尾形乾山作 江戸時代 18世紀 MIHO MUSEUM蔵

色絵和歌陶板(8枚のうち)尾形乾山作 江戸時代 18世紀 MIHO MUSEUM蔵

■MIHO MUSEUMについて

自然・建築・美術品が調和した桃源郷    
MIHO MUSEUMは1997年11月に琵琶湖の南、信楽の山中に誕生しました。建築設計は、パリ・ルーヴル美術館のガラスのピラミッドを設計したことで知られるI.M.ペイ。
枝垂れ桜のプロムナードを通り、銀色に輝くトンネルをくぐると、吊り橋の向こうに美術館棟が現れる設計は、中国詩に描かれた桃の花に導かれ洞窟を抜けた先に現れる楽園「桃源郷」をテーマにしています。
美術館棟は、建築容積の80%以上を地中に埋設し、建物の上にも自然を復元しています。
フランス語版のミシュラン・グリーンガイドで「わざわざ旅行する価値がある」として三ツ星を獲得しており、2017年には世界的ブランドのファッションショーの舞台ともなりました。

コレクション・常設展示・特別展    
所蔵品は、エジプト、ギリシア・ローマ、西アジア、中央アジア、南アジア、中国、朝鮮、古代アメリカなどの古代美術と、仏教美術、茶道美術をはじめ、絵画、漆工、陶磁器などの日本古美術をあわせて約3,000件からなります。
北館では、季節により国内外からの出陳を加えて、開館ごとにテーマ性を持った特別展を開催しています。
南館では、エジプト、西アジア、南アジア、中国・西域の4つのギャラリーで古代美術の名宝を展示しています。