日本の血管外科・血管内治療市場2025~2033年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表

2026-09-08 10:00
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の血管外科・血管内治療市場2025~2033年、英文タイトル:Japan Vascular Surgery and Endovascular Procedures Market Research 2025-2033」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

日本の血管外科・血管内治療市場は、2024年に1億3,160万米ドル規模となり、2033年には2億6,394万米ドルに達すると予測されている。2025~2033年の年平均成長率(CAGR)は8.1%であり、高齢化に伴う血管疾患の増加と、低侵襲な血管内治療技術の普及を背景に、比較的高い成長が見込まれている。

市場成長の最大の要因は、日本の急速な高齢化である。本文では、65歳以上が人口の約3分の1を占め、80歳以上も10人に1人を超えるとされている。高齢になるほど末梢動脈疾患(PAD)、大動脈瘤、静脈瘤、脳卒中などの血管疾患リスクが高まるため、血管外科手術および血管内治療の需要が構造的に増加している。特に頸動脈疾患などに関連する脳卒中リスクは加齢とともに上昇するため、高齢化はこの市場にとって長期的な需要基盤となっている。

今後も高齢者人口の増加は続く見通しで、2045年には高齢者が総人口の36%超に達すると予測されている。年齢調整後の心血管疾患死亡率は治療や予防の進歩によって低下していても、高齢者の絶対数そのものが増えるため、血管疾患患者数や治療件数への需要は高水準で維持される可能性が高い。つまり、日本市場では疾病率だけでなく、人口構造そのものが市場成長を支える重要な要因となっている。

治療技術の面では、従来の開腹手術から、より低侵襲な血管内治療へとシフトが進んでいる。血管内治療は、小さな切開や穿刺で実施できるため、患者への身体的負担が少なく、術後回復が早く、入院期間も短くできる点が大きな利点である。特に高齢患者は複数の基礎疾患を抱えていることが多いため、全身への負担が少ない低侵襲治療のメリットが大きい。

技術革新も市場成長を後押ししている。高度なステントグラフト、薬剤溶出バルーン、ロボット支援ナビゲーション、先進的な画像診断・ナビゲーション技術などの導入により、血管内治療の安全性、精度、効率性が向上している。こうした技術は、従来は治療が難しかった症例への適用範囲を広げ、血管内治療をより多くの患者に提供できるようにしている。

特に、画像技術とナビゲーション技術の統合は重要である。血管内治療では、カテーテルやステントを細い血管内で正確に操作する必要があるため、高精度な画像誘導が治療成績を左右する。リアルタイム画像や高度なナビゲーションを活用することで、病変部位への到達精度を高め、合併症リスクを抑えながら治療できる可能性が高まっている。

一方、市場成長を抑制する最大の要因は治療費の高さである。特にEVAR(腹部大動脈瘤に対する血管内ステントグラフト内挿術)は、特殊なステントグラフトや高度な画像装置を必要とするため、従来の開腹手術より高額になる場合がある。本文では、EVARの平均医療費として患者1人当たり約35万2,000円という数値が示されているが、別の研究ではより詳細なコスト比較が提示されており、治療全体ではEVARの方が高コストとなっている。

具体的には、開腹手術とEVARを比較すると、DPC関連費用はそれぞれ63万2,370円と49万50円、麻酔費は12万3,540円と8万6,220円で、これらの項目ではEVARの方が低い。一方、材料費は開腹手術が25万7,770円なのに対し、EVARでは211万3,280円と大幅に高い。この差が総費用を押し上げ、平均総費用は開腹手術が182万5,830円、EVARが315万9,270円とされている。

このため、EVARは患者の身体的負担や入院期間を抑えられる可能性がある一方、医療材料費の高さが大きな経済的課題となっている。日本には国民皆保険制度があり、患者の自己負担額には一定の上限が設けられているものの、高額な治療費は医療保険財政や政府補助に大きな負担を与える。さらに、自己負担上限の引き上げが検討される場合、患者が治療をためらう要因になる可能性もある。

市場は主に、治療手技、製品タイプ、エンドユーザー別に分類されている。治療手技別では、血管内修復が2024年に市場の31.67%を占めると予測されており、主要セグメントの一つとなっている。血管内修復が支持される理由は、開腹手術と比べて侵襲が小さく、患者の回復が速く、入院期間を短縮しやすい点にある。

特に高齢者にとって、低侵襲性は非常に重要である。心疾患、糖尿病、呼吸器疾患などの併存症を持つ患者では、大規模な外科手術のリスクが高まるため、血管内治療の相対的な利点が大きくなる。その結果、医師と患者の双方が、条件が許せば血管内治療を選択する傾向が強まっている。

腹部大動脈瘤(AAA)の治療では、EVARがすでに主流の選択肢となりつつある。本文では、日本血管外科学会に登録されたAAA 2万160例のうち、61.6%がEVARで治療されたとされている。この数字は、血管内治療が一部の特殊な症例に限られた手技ではなく、日本の大動脈瘤治療においてすでに広く普及した標準的な治療選択肢になっていることを示している。

今後も血管内修復セグメントは、高齢患者の増加、低侵襲治療への嗜好、デバイス技術の改良を背景に、市場で重要な位置を維持すると考えられる。特に、より細径のデバイス、柔軟性の高いカテーテル、複雑な血管解剖に対応できるステントグラフトなどが開発されれば、これまで外科手術が必要だった症例にも血管内治療を適用できる可能性が広がる。

薬剤溶出バルーンも重要な技術の一つである。血管を拡張するだけでなく、再狭窄を抑制する薬剤を局所的に送達できるため、末梢動脈疾患などでの治療成績改善が期待される。こうしたデバイスは、単純なバルーン拡張から、病変の再発リスクまで考慮した高機能治療へと市場を進化させている。

ロボット支援ナビゲーションも将来的な成長領域である。血管内手技では繊細なカテーテル操作が必要であり、ロボット支援によって操作精度を高めたり、術者の被曝を減らしたりできる可能性がある。現時点では普及段階にある技術だが、デジタル化やAIとの統合が進めば、高度な血管内治療をより標準化する手段となる可能性がある。

市場競争では、Terumo、Olympus、FUJIFILM Holdings、Mizuho Medical、Nipro、Shimadzu、SB-KAWASUMI LABORATORIES、ASAHI INTECC、Medtronic、Boston Scientificなどが主要企業として挙げられている。日本企業とグローバル企業の双方が、カテーテル、ガイドワイヤー、ステント、ステントグラフト、画像機器、手術関連機器など幅広い領域で競争している。

日本企業の強みとしては、カテーテルやガイドワイヤーなど精密医療機器の製造技術、国内医療現場との強い関係、細かな操作性や品質への対応力が挙げられる。一方、MedtronicやBoston Scientificなどのグローバル企業は、世界規模の臨床データ、研究開発力、豊富な製品ポートフォリオを強みにしている。今後は、単一デバイスの性能だけでなく、画像診断、ナビゲーション、デバイス、術後管理を組み合わせた総合的な治療ソリューションが競争力を左右する可能性が高い。

日本市場では、医療機器そのものの性能だけでなく、医師の操作性も非常に重要である。特に血管内治療では、病変まで到達するガイドワイヤーやカテーテルの操作性、屈曲した血管への追従性、デバイスの柔軟性などが治療成績に直結する。そのため、微細加工や材料工学に強い企業にとっては、継続的な技術改良が大きな競争優位になる。

また、今後は患者選択の最適化も重要になる。すべての患者に血管内治療が適するわけではなく、病変の位置、血管径、石灰化、全身状態などを踏まえて、開腹手術と血管内治療を使い分ける必要がある。画像診断やAIを用いて患者ごとに最適な治療法を選択する仕組みが進めば、治療成績を高めながら医療費を適正化できる可能性がある。

市場の将来性を考えるうえでは、治療件数の増加だけでなく、より複雑な症例への適応拡大も重要である。高齢患者が増えるほど、単純な病変だけでなく複数血管にまたがる疾患、重度石灰化、複雑な大動脈瘤などが増える可能性がある。こうした症例に対応できる高性能デバイスへの需要が、市場単価の上昇につながる可能性もある。

一方で、高額なデバイスコストが市場拡大の制約になるため、今後は「低侵襲で高性能」であることに加え、「総医療費をどこまで抑えられるか」が重要になる。初期の材料費が高くても、入院期間短縮、合併症減少、早期社会復帰、再手術リスク低減などを含めた総合的な医療経済効果を示せれば、血管内治療の採用はさらに進む可能性がある。

総じて、日本の血管外科・血管内治療市場は、高齢化による血管疾患患者の増加を基礎需要としながら、低侵襲治療へのシフトとデバイス技術の高度化によって拡大する市場である。特にEVARを含む血管内修復はすでに広く普及しており、AAA症例の61.6%がEVARで治療されていることからも、血管内治療が日本で主流化していることが分かる。

今後の成長領域は、高機能ステントグラフト、薬剤溶出バルーン、高性能カテーテル・ガイドワイヤー、ロボット支援ナビゲーション、高度画像診断などである。一方で、EVARをはじめとする血管内治療は材料費が非常に高く、開腹手術より総費用が大きくなるケースもあるため、医療経済性が最大の課題となる。日本市場では今後、「低侵襲性」「治療精度」「高齢者への適応性」に加え、「総治療コストを正当化できる臨床的・経済的価値」を示せる製品や企業が、競争上優位に立つ可能性が高い。

※目次構成

  1. 市場の導入および調査範囲
    レポートの目的
    レポートの対象範囲および定義
    調査範囲
  2. エグゼクティブインサイトおよび主要ポイント
    市場ハイライトおよび戦略的示唆
    主なトレンドおよび将来予測
    手技別市場概要
    製品タイプ別市場概要
    エンドユーザー別市場概要
  3. 市場動向
    市場への影響要因
    成長要因
    高齢人口の増加
    低侵襲治療技術の進歩
    阻害要因
    血管外科手術および血管内治療に伴う高コスト
    規制上の課題
    市場機会
    技術革新およびAIの導入
    血管閉鎖デバイス市場の拡大
    影響分析
  4. 戦略的インサイトおよび業界展望
    市場リーダーおよび先駆的企業
    新興の先駆的企業および主要プレイヤー
    売上上位ブランドを有する有力企業
    確立された製品を有する市場リーダー
    最新動向および技術的ブレークスルー
    日本における規制および償還制度の動向
    ポーターの5フォース分析
    サプライチェーン分析
    SWOT分析
    アンメットニーズおよび市場ギャップ
    市場参入・事業拡大に向けた推奨戦略
    価格分析および価格動向
  5. 日本の血管外科・血管内治療市場 — 手技別
    はじめに
    手技別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    手技別市場魅力度指数
    動脈瘤修復術*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    バイパス手術
    頸動脈形成術およびステント留置術
    血管内修復術
    その他
  6. 日本の血管外科・血管内治療市場 — 製品タイプ別
    はじめに
    製品タイプ別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    製品タイプ別市場魅力度指数
    ステントおよびステントグラフト*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    血管内治療用デバイス・器具
    手術用ハサミ・鉗子
    持針器
    その他
  7. 日本の血管外科・血管内治療市場 — エンドユーザー別
    はじめに
    エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    エンドユーザー別市場魅力度指数
    病院*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    手術センター
    大学・研究機関
    その他
  8. 競争環境および市場ポジショニング
    競争環境の概要および主要市場プレイヤー
    市場シェア分析およびポジショニング・マトリクス
    戦略的提携、M&A(合併・買収)
    製品ポートフォリオおよびイノベーションに関する主な動向
    企業ベンチマーキング
  9. 企業プロファイル
    9.1 Terumo Corporation(テルモ株式会社)*
    企業概要
    製品ポートフォリオ
    製品概要
    製品主要業績評価指標(KPI)
    財務概要
    企業売上高
    地域別売上構成比
    売上高予測
    主な動向
    M&A(合併・買収)
    主な製品開発活動
    規制当局による承認など
    SWOT分析
    9.2 その他の主要企業
    Olympus Corporation(オリンパス株式会社)
    FUJIFILM Holdings Corporation(富士フイルムホールディングス株式会社)
    Mizuho Medical Co., Ltd.(ミズホ株式会社)
    Nipro Corporation(ニプロ株式会社)
    Shimadzu Corporation(株式会社島津製作所)
    SB-KAWASUMI LABORATORIES, INC.
    ASAHI INTECC CO., LTD.(朝日インテック株式会社)
    Medtronic plc
    Boston Scientific Corporation

※企業一覧は網羅的なものではありません。

  1. 前提条件および調査方法
    データ収集方法
    データ・トライアンギュレーション
    予測手法
    データの検証および妥当性確認
  2. 付録
    当社およびサービスについて
    お問い合わせ

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