球状フェノール樹脂系活性炭「鷹の羽」シリーズ 水中PFOAの高効率吸着・高保持能を実証

~ 振とう5分で約99%吸着・脱離率30%未満の高保持能を両立、市場流通4種の活性炭比較で最高水準を確認 ~

2026-05-29 10:15
株式会社TAKANOHA

報道関係者各位


満栄工業株式会社(本社:岡山県加賀郡吉備中央町、以下「満栄工業」)と株式会社TAKANOHA(本社:岡山県岡山市、以下「TAKANOHA」)は、国立大学法人愛媛大学 沿岸環境科学研究センター(野見山 桂 准教授チーム、以下「愛媛大学」)との共同検証により、両社が開発・展開するフェノール樹脂系活性炭「鷹の羽」シリーズが水中のPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を高効率で除去できることを確認しました。
1~100 ppbの濃度範囲で実施した振とう試験において、5 ppb以上の濃度域では振とう開始わずか5分で約99%という高い吸着率を達成。さらに、吸着後のPFOA脱離率は全条件で30%未満に留まり、捕捉したPFOAを安定的に保持し続けることを確認しました。市場で流通する4種類の代表的な活性炭(果殻系・石炭系・ヤシ系・ヤシ添着系)との比較試験においても、全濃度域で最高水準の吸着性能と、サンプル間のばらつきの少ない高い再現性を示しました。

■ 本リリースのポイント


● 当社開発のフェノール樹脂系球状活性炭「鷹の羽」シリーズが、水中PFOAに対して高い吸着性能を発揮することを愛媛大学との共同検証により確認。
● 5~100 ppbの濃度範囲で、振とう開始5分の時点で約99%の吸着率を達成。短時間処理を可能にする高速吸着性能を実証。
● 吸着後のPFOA脱離率は全条件で30%未満、100 ppb条件下でも20%以下に留まり、捕捉したPFOAの70~80%以上を安定的に保持。
● 市場流通する果殻系・石炭系・ヤシ系・ヤシ添着系との比較において、全濃度域で最高水準の吸着性能を実現し、サンプル間のばらつきの少ない高い再現性も確認。
● 流通式(通液)試験でも5 ppb以上の濃度域で90%以上の吸着率を達成し、実装置運用への適用可能性を示唆。

■ 開発の背景


PFAS(有機フッ素化合物の総称)は、その高い化学的安定性ゆえに環境中で分解されにくく、生体内蓄積による健康影響が世界的な課題となっています。特にPFOAは2020年代以降、各国で規制強化が急速に進行しており、飲料水・地下水・工業排水分野において、低濃度域まで対応可能な実用的除去技術への需要が高まっています。
当社が満栄工業の活性炭製造技術をベースに開発・展開してまいりました「鷹の羽」シリーズは、フェノール樹脂を原料とする球状活性炭です。製造プロセスにおいて細孔径を0.4~2 nmの狭い範囲に制御することで、低分子量物質に対する選択吸着性と高い吸着速度の両立を実現しました。本検証では、同シリーズの「MOA-M1600」および「MOA-X1600」の2グレードを用いて評価を実施しています。これまで主に毒素吸着・ウイルス吸着といった医療・健康分野での応用開発を進めてまいりましたが、その細孔特性がPFAS分子サイズとも適合性が高い可能性に着目し、今回PFOA吸着への適用検証に着手いたしました。
吸着性能を客観的かつ専門的視点から評価するため、PFAS等の化学汚染物質研究において豊富な実績を有する愛媛大学 沿岸環境科学研究センターの野見山 桂 准教授チームに試験を委託し、共同で検証を実施しました。

■ 検証試験の概要と結果


実用化を見据え、回分式と流通式の2方式を組み合わせて多角的に吸着性能を評価しました。

【振とう試験(回分式)】
PFOA標準溶液(1 ppm)を超純水で1・5・10・50・100 ppbの5段階に調製し、各サンプル液を「鷹の羽」シリーズ0.25 gが充填されたチューブに注入。290 rpm・5分/10分/30分/60分の各条件で振とう後、吸着割合を測定しました。
その結果、5 ppb以上の4濃度域においては振とう開始5分の時点で約99%の吸着率に到達し、以降60分まで同水準を維持しました。1 ppbの低濃度域においても安定した高吸着率が確認されています。

【通液試験(流通式)】
グラスウールと「鷹の羽」シリーズ0.25 gを充填したシリンジに、各濃度のPFOA水溶液を通液する形式で評価を実施。実際の浄水処理装置における運用条件に近い形での吸着挙動を確認しました。1 ppbサンプルで79%、5 ppb以上の濃度域では90%以上の吸着率が得られています。

■ 既存活性炭との比較試験


市場で広く流通している活性炭素材との性能差を明確化するため、果殻系・石炭系・ヤシ系・ヤシ添着系(ヤシ系の表面に薬剤付加)の4種類を対象に比較試験を実施しました。各濃度のPFOA水溶液を各活性炭充填チューブに入れ、1時間振とう後の吸着割合を測定しています。
「鷹の羽」シリーズは1~100 ppbの全濃度域において約99%という最高水準の吸着率を達成。一方、果殻系・ヤシ系・ヤシ添着系の3種は1 ppbで80%台、100 ppbで90%台と、濃度上昇に伴って吸着率が向上する挙動を示しました。石炭系については1 ppbの80%台から100 ppbの40%台へと、濃度上昇に伴って吸着率が逆に低下するという特異な傾向が確認されています。
これらの結果から、「鷹の羽」シリーズは低濃度から高濃度まで安定した高吸着率を発揮できる点において、既存の活性炭素材とは異なる特性を有することが明らかになりました。

【サンプル間の再現性】
各活性炭について3つの並行サンプルで試験を実施した結果、「鷹の羽」シリーズは全濃度域においてサンプル間の吸着率のバラつきが小さく、製品ロットとしての高い再現性が確認されました。一方、他の活性炭については粒子サイズや粒子形態の不均一性に起因すると考えられる試験結果の変動が観察されています。この点は、実装置への適用における処理性能の安定性に直結する重要な特性です。

【石炭系活性炭で確認された物理的劣化】
石炭系活性炭の試験では、1時間の振とう後に活性炭の粉体が水中に浮遊し、容器(PPチューブ)にも黒色の付着・変色が確認されました。これは活性炭表面の摩耗による粒子の脆さに起因すると考えられ、吸着済みPFOAの再溶出につながる懸念も指摘されています。これに対し、球状形態の「鷹の羽」シリーズでは振とう試験後も粉化や容器汚染は確認されておらず、機械的耐久性の面でも優位性を有しています。

当社では、この性能発現の要因について、「鷹の羽」シリーズの狭く制御された細孔径分布と、球状粒子形態に由来する有効比表面積の最適化が、PFOA分子のサイズと適合性を高めているものと考えております。今後、吸着メカニズムのさらなる解明に向けた研究を継続してまいります。

■ 高い保持能 — 吸着PFOAを安定的に保持


実用浄水処理においては、活性炭がPFOAを吸着する性能と同時に、いったん捕捉したPFOAを離脱(脱離)させずに保持し続ける能力が極めて重要です。脱離が発生すると処理水への再汚染を招くため、保持能は実装置の信頼性を左右する要素となります。
本試験では、PFOA吸着後の「鷹の羽」シリーズを新たな超純水中で1時間振とうし、PFOAの脱離率を評価しました。その結果、1~100 ppbの全濃度区・全振とう時間条件において脱離率は30%未満に留まりました。特に、吸着総量が最も多くなる100 ppb条件下においても脱離率は20%以下にとどまり、吸着したPFOAの70~80%以上を安定的に保持し続けることが確認されました。
この高い保持能は、「鷹の羽」シリーズの細孔構造によるPFOAの強固な吸着と、球状粒子形態に由来する機械的安定性の両立によるものと考えております。吸着性能と保持能の両立は、長期運用における処理水質の安定化、および活性炭の交換頻度の最適化に貢献するものと期待されます。

■ 今後の展望


満栄工業とTAKANOHAは、本試験で得られた知見をもとに、「鷹の羽」シリーズを水中PFOA吸着用途として展開するべく、採用検討企業の探索および事業化を進めてまいります。

【PFOSへの適用に向けた今後の調査】
水中のPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に対する「鷹の羽」シリーズの吸着性能についても、引き続き愛媛大学との連携のもとで調査を進めてまいります。PFOSはPFOAと並ぶ主要なPFAS規制対象物質であり、両物質に対応した除去技術の確立は、上下水道・工業排水・環境浄化分野において重要な意義を持つと考えられます。

【共同研究・実証パートナーの募集】
満栄工業とTAKANOHAは、「鷹の羽」シリーズの実用化を加速するため、PFAS除去に関する共同研究および実証試験にご関心のある企業様・研究機関を広く募集しております。浄水処理、地下水・土壌浄化、工業排水処理など、用途を問わずお問い合わせを歓迎いたします。

■ 各社・研究機関の概要


満栄工業株式会社(活性炭の製造)
所在地:岡山県加賀郡吉備中央町/事業内容:活性炭の製造・販売

株式会社TAKANOHA(PFAS除去活性炭の販売・企画)
所在地:岡山県岡山市/事業内容:PFAS除去活性炭の販売・企画

国立大学法人 愛媛大学 沿岸環境科学研究センター(LaMer)
所在地:愛媛県松山市/研究内容:化学汚染・毒性解析等の沿岸環境科学研究/担当:野見山 桂 准教授

■ 本件に関するお問い合わせ先


株式会社TAKANOHA

担当:高山

TEL(携帯):080-3473-6365

TEL(固定):086-250-2234

E-mail:n_takayama@takanoha-labo.com

― 以上 ―